意志疎通を試みました
━━━同族?えーと、主にどの事について同族なの?
その見知らぬ人は顔の造りは整っているが、どことなく冷たい印象がある中性的な男性だった。そして、肩口がざっくりと開いていて肘から手首にかけてコインの様な装飾がジャラジャラとついた踊り子みたいな服装をしていた。手首や足首にもコインの装飾がついたリングをつけている。
━━━さっきの音はあのコインの飾りかな?・・・うーん、年齢は20代後半くらい?多分。 ・・・私、人の年齢当てるの苦手なんだよね。それはまぁ、置いといて。 それよりも今はアレよアレ!本物?
その男性には獣の耳と尻尾がついていた。
「聞いているのか?・・・話せるのか?いや、そもそも私の言ったことをわかっているのか?」
確かに端から見れば私は赤子と思うだろう。けれど、中身は一応成人なんだけど。
━━━むしろ赤子に普通に話しかけている男性の方がおかしい事になっているはず。
首動かないし、どうしようかな・・・。
考えた末に、私はサムズアップをした。
「・・・・・・・・・・・・は?どういう意味だ?それは?」
━━━伝わらないか。ちゃんと形になってないものね。じゃあどうしたら意志疎通できるの?
持ちあがった小さな手は間に何か持っているのかと思うほどに隙間が開いていて、なにより目印の親指が立ち上がってすらいなかった。
「わかった。じゃあ、私の言葉はわかるか?わかるなら、手をたたいてくれ。」
その言葉を聞いて安心した。
トントン
私は地面を手で軽く叩いた。