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『6章』 実体
◇◇◇◇
「どうやら見付けられたようですね。」
その時、再び闇の声が聞こえてきた。
「はい、これが私の身体です。」
「では、最後に一つだけ忠告させて戴きます。」
「もしあなたが偽りの申告をされた場合、あなたは神より相応の罰をお受けになられる事になります。」
「もう一度伺います。この実体があなたの身体で間違いありませんか?」
「はい、間違いありません。」
そう答えた瞬間、突然私の目の前に凄まじい渦を巻いた風が立ち昇り、あっという間に私の方に向かって来た。
「きゃあ-!」
私は逃げる間も無く、たちまちその竜巻の渦に巻き込まれていた。まるで私を包むように巻き込んだその渦の中に取り込まれても、不思議な事に苦しさは全然感じなかった。そして私を取り込んだまま、その激しい風の渦は、迷う事無く真っ直ぐに私の正面に止まっていた鏡に突進して、そのまま鏡の中に吸い込まれるように入って行った・・・。