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スフィーと聖なる花の都の工房 ~王立アカデミーのはぐれ綴導術士~  作者:
<3>魔王鳴動と開催前夜の狂争曲の章
58/123

■ プロローグ(3-01)

 滅びの風が吹き荒れている。

 すべて、すべて。

 彼が憎んだもの。

 彼が愛したもの。

 そして、彼が欲したものも。

 ――なにもかもが砕け、崩れ、消え去ってゆく。

 その圧倒的な破滅の洪水の中で、聞こえてくるものがあった。


〝ははははははははははははははは――〟


 哄笑が木霊している。


「か、な、ら、ず!」


 彼は嵐の中心で、自らの肺を握りつぶさんとするほどに強く、言葉を搾り出していた。


「かならず……滅ぼしてやる!」


〝ふははははははははははははははははは――!!〟


 哄笑が響いている。

 彼をあざ笑っている。


〝力を欲したのは、貴様だ!〟


 そう。


〝開放を望んだのは、貴様だ!〟


 そうだ。


〝貴様が――〟


「アアアアアアアアアアアアアアアア――――ッッッ!!」


〝貴様が――欲したのだ!!〟


「かならず――絶対に――てめぇを、滅ぼす。滅ぼして……やる!!」


〝よかろう〟


 声は、傲然と、言った。


〝貴様に、我の力を授けよう――この世の終焉を見届ける、我が『眼』となれ! 我を追ってくるがいい――〟


「かならず!」


〝我が名はエグゼルドノノルンキア。最果ての魔王のひと柱――『不死大帝』なり! この世の終焉に在る名であり、貴様の魂へ永劫に刻まれる名である!〟


「かならず――かならずだ!!」


〝ふははははははははははは!!〟


「かならず! かならず! かならずかならずかならずかならずかならず!」


 嵐は、まだしばらく、吹き荒れ続ける。

 この滅びの庭にあるものすべてが、終焉を迎えるまで。


「かならず!」




 その嵐の中で。この嵐が終わるまで。彼は叫び続けた。

 今でも、叫び続けている。

 いつまでも――ずっと。

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