無限の落とし子たち―永遠は刹那に恋をする。時はそんな永遠に惹かれている。-
輝きは星々だけのものではない。暗闇は唯恐れるものではない。
人間は空想の翼でどこまでも飛ぶ。心の闇を突き抜け、憧れの星座を目指して。
「となりにおいでよ。」
永遠は刹那を誘う。刹那はその美しい大きな眼をくりくりさせたまま、
「だめよ。くっついたら好きになってしまうかも知れないじゃない。」
「それでいいじゃないか。」
永遠はいつも刹那を誘う。刹那は動くたびに色の変わる宝石のようなコートを翻して、
「そうなったら私、どこか違ってしまうわ。違ってしまった私をあなたは嫌いになるかも知れないから。」
「そんなことはないよ。」
永遠が刹那に触れようとしたとき、
「あっ。」
刹那は不意に飛び退いた。そして、
「もう行かなくちゃ。時が来たわ。」
遠く消えるように去って行った。入れ替わるように時が来た。
「またそんなことしているの。」
「いいじゃないか。好きなんだから。」
「だめよ。許されない。あの子と私とあなたは、等しく無限から生まれたのよ。」
時はすらりとした背を伸ばして言った。
「私ならお似合いなのにね。」
瞳に星々の無限を引き受けて、時は無邪気に誘う。
「だめだろう。僕たちはどこまでいっても並行だ。決して触れることはないから。」
「そんな理屈ばかり言って。」
時が我儘を言う。その時に刹那が帰って来た。
「おまたせ。二人は仲良しね。」
「違うよ。」
「そうよ。」
無限の愛に包まれて、遥か名も知れぬ銀河の彼方からこんなやりとりが聞こえてきます。ざわざわとした夜に一面の薄野原で見上げれば、夜空に大三角形が輝いていました。
我儘に詩を集めました。言葉たちが生きている内にお目通り願えれば幸いです。