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縁結びの神様
昔、昔のその昔から、わしは小さな神社に、神様として祭られておった。
稲荷信仰と縁結びが合わさって、それはそれはよく崇められたの。
今でもこういう縁結びの神社は、全国に散らばっておるがの、最近の若者たちは、せっかく結ばれても、長続きせずに別れたり、こんなの違う、もうこの愛は冷めてしまっただの、この出会いは間違っていただの。
そのうち、ここを訪れる人たちもめっきり減ってしもうた。
時代が移り変わるたび訪れる人は変わる。人間の一生は長いようで短いのじゃ。
じゃが、今でもほそぼそと信仰を持ち続けて、訪れてくれる一族がおるでな。
今はその一族の者たちの、成長やら生活やら世代が移り変わる様を眺めているのが嬉しくて、楽しくての。
ほら、今日も来た。
あの娘、大きくなったの。この間までよちよち歩きで、石段も上手く登れず、まーままーま言っておったのに。
さて、お前には、誰を連れてこようか。
大丈夫、ちゃんと決めておるよ。生まれたときから、もうちゃんと決めておるからの。