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名前コンプレックス〜珍しい名前が集まる学校〜  作者: 紗楽
第弍話 そのラブコメをぶち殺す! …… して、よし、部活に入ろう。
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わたくしは友達が少ない

「まずは! ここ、ですの!」

バアン、とどこかの部室のドアを大きくたたく。

部室棟でも文化部っぽい部屋だし、まあ普通の部活だろう。

「ええと…… ここ、何部なのかしら」

撫子が不思議そうな顔で、あけちゃんに聞き返す。

うん、それあたしも凄く思ってた! 撫子グッジョブ。

普通ならドアの前に部活名が書かれているのに、この部だけは書かれてないのだ。

「ふっふっふっ…… そうおっしゃるのも当たり前というもの……! この部は、学校のほとんどの方に知られていませんのですわ!」

「まあ、部活多い学校だし、生徒全員が知ってるのなんて、ほんとにメジャーなスポーツ系だけじゃ……」

「そういうわけではありませんわ!」

目をギラーン、と輝かせたあけちゃんは久しぶりのような、いやでもたったの一日ぶりの高笑いをした。

「この部は………… エア部、ですわ!」

「エア部?」

「はい。エア部は、新入生用の部活説明大全にも載っていない、唯一の部活。ほとんどの生徒は、この部の存在を知らずに卒業していくのです……」

もったいぶったように、しんみりとうつむきながら寂しそうに言う。「ああ、お可哀想に……」とか言ってた。

「活動内容は?」

撫子もイライラしたのか、急かすように口を開く。

「名前の通りですわ。エアギターというものがありますでしょう? あれの活用版ですわ、おっほっほっほっ!」

「活用版?」

手をあごに当て、じゃじゃーんとつぶやく。あけちゃん、本人はギターを弾いているつもりなんだろうけど、ヴィイオリンになってますよ、それ。

「全てがエアですの。エア友達、エア顧問、エア部員」

「それもう部じゃないんじゃないの!?」

「エア服」

「おまわりさん、こっちです!」

「エア身体」

「魂だけ!?」

「エア魂」

「もう本体何!」

「エア世界」

「あたし達は今どこにいるんだ!」

「エア宇宙」

「ほんとにあたし達何!?」

すぅ、とあけちゃんが口を閉じた。はぁーとため息をつき、そしてあたし達に告げる。

「では、見学に……」

「行かないよ!?」

*

「結局、文化部でまともな部活ってないんじゃないの……?」

「そうね…… 文芸部では写経をやらされたしね」

惣福脇以外の皆がいっせいに、はあーと深いため息をつく。

惣福脇よ、君は疲れていないのか……?

「とりあえず部活の件は保留、ということで……」

「そうですわね…………」

「あはは…… 惣福脇君は、凄いね……」

壺君が、まったく疲れてなさそうな惣福脇に向けて言う。

すると、惣福脇はそうか? みたいな表情になって、こう告げた。

「もっと面倒事に巻き込まれてるからな」

「面倒事? 何それ」

どこか遠い目をして惣福脇に、軽い気持ちでたずねる。

すると、惣福脇は固まってしまった。

「ダメよ、亜漓栖ちゃん。それは、惣福脇君の現在進行形の黒歴史よ……」

「えっ…… あ、ごめん……」

何故か、撫子も虚ろな目で言う。

さっき惣福脇の幼馴染と言っていた、撫子もあまり触れたくはないらしい。

そして。

男子寮と女子寮へ行く、別れ道に来た。

「じゃあねー」

「また明日ですの! おーほっほっほっ!」

個々に別れを行って、道を進もうとする。

すると。 調度、別れ道の間にある木に。一人の黒髪の女の子が立っていた。

そして。

「ああ、何度もこの日を待ち望んだことか……! 会いたかったですわ、お義兄様!」

そう言って、惣福脇に抱きついた。



短めです。

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