拾壱
フラグクラッシャー亜漓栖
『お義兄様…… 何故そんなにいけずなのですかぁ……』
亜覇ちゃん…… それはさすがに古いよ!
あけちゃんや撫子も同じだったようで、残念な人を見る顔だった。
壺君だけ一人でニヤニヤしてます。何なんだ! 『亜覇、どけ』
『でっ、でも!』
『………… どけ』
何か惣福脇が本気で怒りモードに入ってらっしゃった。
えー、これで終わりなの終わりなんですか!? あたしは、修羅場が大好きだというのに!?
「亜漓栖さん、さすがにそれはないですわ!」 「同じ流れになるからもうそれに対してツッコミはしない!」
あけちゃんが隣に聞こえないくらいに小声であたしに話しかける。
あたしも、その大きさで返した。
『お義兄様!』
『あまりふざけるな』
……………… えっ?
これだけで終わり!? やっぱりこれで終わりなの!?
「撫子、とりあえず幼なじみポジションを活かして今から惣福脇の部屋に邪魔しにいってよ!」
「亜漓栖ちゃん、私を何だと思っているのかしら」
「撫子さんが行くくらいなら僕が女装して行くよ!」
「うん(ええ)、壺君(あなた)は黙ってようか(ましょうか)!」
あたしとあけちゃん、撫子のツッコミが重なる。
壺君は本気で落ち込んでました。今度何かおごってあげようかな。
相変わらずの扱いが不遇な壺君だね!
「仕方ないですわね! この小鳥遊曙がなんとかしてあげようではありませんの! おーほっほっほっほっ!」
「曙ちゃん、隣に聞こえるから少し静かにね」
「………… はい」
うん、あけちゃん打たれやすいよね!
シュンとなったあけちゃんは、ベッドの上にほっぽってあったノートから一ページ切り取る。
どこかから取り出した万年筆にやけに丁寧な字で何か書き出した。
「…… 出来ましたわ! 亜漓栖さん、これを大きな声で読みなさいませ! 括弧は読まなくて結構ですの!」
「いやいや、でも聞こえちゃ」
「いいから読みなさいませ!」
仕方なくあけちゃんからもらったメモを、あたしが出せる最大限の大きな声を出す。
「このあたし、鷹月亜漓栖は(ポケ○ン)のピカチュウが大好きです!」
おおお、あけちゃん分かってるじゃないか!
何故あたしがポ○モンでは、ピカチュウ好きということを知っているんだ!
「初めて見かけた時から、恋焦がれていました」
うんうん! やっぱピカチュウは初めて見た時から大好きだ!
「うん、分かってる…… ピカチュウとは、赤い糸があったんだよ」
アニメキャラでは、一番好きなキャラですよ、ピカチュウ。アニメキャラで、赤い糸があったと言っても過言ではないね。うんうん。
「一生、あたしと一緒にいてく…… むぐっ!」
何か、大声で読んでたら惣福脇と泣きそうな亜覇ちゃんが部屋に入ってきた。
惣福脇は、初めて見るような焦り具合であたしの口をふさいだ。