third.
時間かかった上にめちゃくちゃ短い!
千文字くらいしかないです。ごめんなさい!
third
「頼もぅ~!」
「やかましいっ、あなたは一々めんどくさいのよ。そのコロコロ変わるキャラに読者も当惑してしまうじゃないっ」
「なんの話だよ……」
ま、全くである。
「本当、少しは静かに、かつ従順に私に従いなさいよ」
「うおいっ、俺の立場は⁉ 泣く泣かないとかの問題を超えて死にたくなってきたわっ」
勢いで突っ込んだ、何も考えずに。言ってからすぐに気が付いた、自分が何を言ってしまったかのを。
『バカッ、あなたみたいな人でも、私以外に生きているただ一人の人間かもしれないのよっ! 勝手にそんなどうでも良い理由で死のうとしないで!』
多少状況が変わりはしたが、あの時の彼女が口にした言葉には、偽りなど無く俺に死んで欲しくないという想いが在った。だからーーーーーー。
「これ、見てくれ」
立華が手を延ばし、その彼の手にある日記を受け取る。暁には、彼女が肩を震わせていたことに気が付いはずだ。
辛かったのだろう。昨日の苦い記憶が彼女を取り巻いているのが見て取れるほどに、少女は震え、苦しみに顔を歪ます。
どの位時間が経ったか。暁にはかなり永く感じられたのだが。
「昨日の女性の物ね、これ」
ようやく、少女は打ち勝ったように見えた。自身の強さで。
「ああ……。それとは別に、使えない通信端末と、読めないくらいのレポート用紙があった」
立華がペラペラと日記をめくって行く。
「その日記からわかることをいくつかまとめておく。一つはあの女性はどこかの研究所の者であること。更に、原喰生物のタチの悪さ。最後に、おまえならもう気付いているだろうがーーーーーー」
「生き残りの可能性、でしょ」
「やっぱりわかってたか……。なら、俺が言いたいこともわかるか」
腕を組み問いかける暁は、ただバツの悪い思いをしている。少女が、あまりに哀しそうに、虚しそうにうつむいているから。
「ーーーーーー助けたい……わよ」
「ん?」
少女がボソッと零した一言を聞き取ることができずに、暁が訊き返す。
ーーーーーーもし、まだ飢えや恐怖に苦しむ人がいるなら……私は、助けたいよ。
今度はしかと聞き取ることができた。彼女の切実な想い……いや、決意と言うべきか。
そして、それに応えるように暁も力強くうなずく。
「なら、決まりだよ。助けるんだ、俺等が」
そう、俺が先輩に助けられたときと同じように、悲鳴をあげてる生命を、救うんだ。
自分の言葉を聞いて、少女は微笑む。そしてしばらく経つと、いつものように呆れたような顔になる。
「……それにしても、疲れないの?」
「何がだ」
「前にも行ったけど、いつもいつも無理にふざけた〝フリ〟するの。止めなさいよ、見てる方も痛いから」
「なんのことだっ、好い加減な事を言うのは止めたまえ。さて、夜までは別行動と行こうじゃないか。おまえはここにいろ」
「ちょっ、お昼は?」
「一人で済ましてよし。夕方に迎えに来るから、俺は寝るっ」
ただそう言い残して、暁はこのご時世では珍しい、独特な古い本の匂いがする場を離れる。
一人、少々を残して。