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Organzatiom,T.B.M!

短いです&お待たせしてごめんなさい!

Organzatiom,T.B.M!


☆結成、T.B.M!~初期メンバーはたったの

二人ですが、何か?~☆


First.

2084年10月27日09時13分

「なぁ、暁。おまえ、記憶が無いとか言ってたが、やけに銃の扱いは上手くないかぁ。記憶が無い以前に何をやってたんだかわかったもんじゃにゃいにゃー」

少し前を歩く男が妙な語尾を付けて言う。

「ちょっ、先輩……アッキーだって辛いんですから、そんな事言わないで下さいっ」

もう一人、俺の隣を歩くツインテール少女が自分を庇うような体制でその男……というか、先輩だが。その先輩に食い下がる。

「あ、ちょっ……」

正直、その心遣いはありがたかったし、それなりとは言え、彼女の言う通りにやるせない気持ちだったりもするのだが。そこまで気を遣われても少々戸惑う。


「あ、いや。構わないから」

よって、苦笑いしてそう答えるしかないわけで。

「でも、こんなに早く銃の扱いを覚えて収集出るなんて、すげーんだぜ?」

「先輩のおかげッス。それに、小鳥遊たかなしも、そんな気の遣い方しなくても大丈夫だよ。このメンバーで来れて良かったし」

少女ーーーー小鳥遊 円佳まどかは不服そうに尖らせていた口を緩めて、笑う。

「うん……アッキーも私も、一応ラッキーだよね。最も生還率が高い人と初めての収集に出れるなんて。こんな人でも」

「かっ。円佳、テメェな……褒めんのか貶すのかどっちかにしやがれっ」


「だーっ、もう! 小鳥遊も、先輩もいい加減にしろってば!」




……2086年11月24日

眩しい。……何が?

日差しが? それとも、この記憶が?

起き上がり、伸びをすることで少しずつ現実に戻っていく。そして、いつものようにため息をついて自らの手を見つめる。

「今日も、生きてるんだな……」

「当たり前なこと言ってんじゃないわよ」

間髪入れずの鋭い突っ込みに耳を疑い、真横を伺う。カーテンの向こうに人影がある。


『初めまして、生存者さんっ』


昨日出会った少女は夢でも、幻でもない。そんな実感が湧いてくるのと同時に、やっと心からの安堵が訪れるようだった。

「ちょっと、カーテン開けないでよね。今着替えてるんだから」

朝一番のボケをかまそうとカーテンに手を伸ばした暁を、立華の声が制止させる。

ところが、彼にとっていたいけな少女のそのような一言は無用であり、むしろ日に油を注いだのと代わりは無いのだった。


「ほほぉう……ではでは、昨晩は触れることも出来なかった故、ご開帳~~」

「わかってるでしょうけど、殺すわよ?」

「あっはははは……。じょ、冗談に決まってるじゃないッスか。もー、女の子はこれだから……冗談が通じないなんて、人生損してるよぉ?」

結局は、かなり情けない男は、もはや諦め、部屋を後にする。

「おっと。何かしら済んだら屋上で集合な。今日何するか決めるっぺよ」

「わかったわ」


場面は代わって、屋上である。

暁は必ず毎朝ここに来る。暦や時間の把握、その日の状況を知る為なのだが。実は物思いに耽るには絶好の場所なのだ、ここは。

それだけで無く、今は珍しく安定した天気だ。これ以上に好都合な場など、そうは無いだろう。


昨日の死体……あれは?


一晩かけてもその謎は一切解決に向かわなかったのだが、放置できるわけが無い。

原喰生物が物を喰らう際、腹が膨れることは無い。あれは対象を捕食し、ある意味では取り込んでいる。つまりは、バクテリアを、核とし、肉体の構成を喰らい吸収した原子で補い、強化しているのだ。


なら、何故あの女性を喰い残した?


いくら喰ってもメリットしかない奴らが、それを放棄出来るはずは無いのだから。ただ、見つけ、標的とした獲物を貪り喰う。

それが、あいつらの生存意義……


「あっ、そういや昨日のポーチ……」

記憶に残る紅いポーチを思い出す。あれは恐らくあの女性の物。何かヒントになる物があるかもしれない。

「立華にはナイショで、後で見てみるかな」

独りつぶやく。

これ以外の解決法は無いのだ。よって、この問題は今、とりあえず放置するしかない。しかし、まだ残る問題がある。良くも、悪くもある問題が一つ。


「生き残り、かーーーー参ったな」


そう。あそこで一人の人間を見つけた。もうすでに動きはしなかったが。

あの死体はまだ新しかった。その手のプロではないが、だいたい死後半日は過ぎていなかったはず。要するに、その寸前まではあの人も生きていたのだ。

そう考えると、胸が痛む。

だが、あれは昨日一日で俺達の在り方を大きく変えた日となる証でもあったのだ。

俺は、もう自分以外に誰もが死んだ腐りきった世界に、ただ一人で生き続けるのだと、ずっと……ずっと思っていたのだ。

でも違った。

この世界に対する固定概念そのものが変わったのだ。


『もしかしたらまだ誰かが生きているかもしれない、腐りきった世界』


それが塗り替えられた概念せかい

つまり、俺達は一人でも、二人でもないかもしれないのだ。俺も、立華も。

ただ、それは希望なのだろうか。はたまた、理想なのだろうか。

正確に断言はできない。何より、それが最も大きな問題なのだ。昨日の出来事だけで、彼女は……立華は気付いてしまったのだろう。俺が今考える事と、全く同じ事に、だ。

彼女はどうするのだろうか。生き残りの捜索に出るか。それとも、この砦に残り、抗うのか……この現実に、いつか尽きる自らの命と言う名の運命に。


「あー、チクショウッ。腹減ったなァ! 立華の野郎はまだかっ」

「女性に対して『野郎』とは、どうなの、暁くん」

「ぐおっ。どっから湧いて出たんだよ⁉」

それはもう驚いた。

「どうしたのよ、カリカリしちゃって」

「うっせ! 思春期の男子は繊細かつ反抗期なんだよっ」

手をワキワキさせて言う暁だったが、痛過ぎて立華も突っ込みやしなかった。

「うわっ。うるさいわよ。それより、ほら。ご飯持ってきてあげたわ」

「あ、どーも……って、餌付けかっ⁈」

先ほどまでの空気と一転。そんな事をしばし繰り返し二人して笑う。


「で、今日はどうするのかしら?」

「あー、特にやる事はないんだ。だから、今日は休み!」

スープを一口飲んで、首をかしげる少女を横目に暁が続ける。

「昨日今日で働きづめも嫌だろ。つーわけで、自由行動っぺよ」

「自由、行動?」

「そ。気分転換とか、情報収集は図書館がオススメだねっ」

「ーーーーいいの?」

「ああ。色々あるから見てごらんさァ。けっこーおもしろいぞよ~。ほら、校舎出て脇にあるあの建物。あれが図書館だからにょ」


相変わらず意味不明な口調だが、暁の厚意だと素直に受け取り、立華はそれ以上何も言わなかった。

「わかったわ、そうする」

彼女なりに安心したのだろう。立華はやや気の抜けた笑顔で、屋上を後にした。


「まったく。俺はまだ若いんだぞ。こんな心労抱え続けたら老けちまう……」

立華が屋上を出てすぐ、暁が涙ながらにそんな事を口にする。それでも、不思議と嫌な気はあまりしない。

目を瞑ると、まぶたの裏に満天の星空が広がる。


(大丈夫、覚えてる。忘れてない……)


暁は独り、手を握り締めて立ち上がり、しんみりとした空気を振り切るように歩き出すのだった。


Secondへ続く……

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