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第三章 完全者の不完全性   【一九九九年・東京】  Ⅳ-ⅰ

週末になった。

 




今日、歩美ちゃんはどこかに出かけるらしい。


そして、僕はそのお供をしなければならない。

 




……はっきり言って、めんどくさかった。

 




一瞬、逃げようとも考えたが、戻る場所がこの館しかない僕は、歩美ちゃんの報復を確実に受ける運命にある。


そのことを考えると、結局歩美ちゃんと一緒に、その『どこか』に行くしかないという結論に達せざるを得なかった。


それに、この週末、僕はヒマだった。


部屋に閉じこもるよりも、その『どこか』に出かける方が暇つぶしとしても良いだろう。



……しかし、いつ出かけるのだろう……もう夕方の四時だぞ……。



今日は、昼まで寝ていたので、一日がひどく短く感じる。


起きたと思ったら、もう夕方だ。


確か、一度、誰かに起こされた気がするのだが、結局二度寝してしまった。

 

僕は、歩美ちゃんに確認するため部屋を出ようとした。


すると、扉の方が先に開いた。

 


扉の向こうには、歩美ちゃんが立っていた。



歩美ちゃんは、肩を出した黒いドレスに身を包んでおり、しっかりと化粧までしていた。


そして、その後ろには、歩美ちゃんと同じデザインで色違いの白いドレスを着た柚木さんの姿もあった。


彼女もしっかりと化粧をしている。

 




うっかり、僕は、二人の姿に見蕩れてしまった。

 




黒い幼き美少女。

 

白い艶やかな美女。

 




歩美ちゃんと柚木さんといるのが日常となっていたから普段はあまり気にしなかったが、やっぱり二人はとても綺麗だ。


今みたいにドレスを着て化粧をされると、変にドキドキしてしまう……二人の中身を知っているというのに……不覚だ。





「センセ、まだ着替えていないのか」と歩美ちゃんは、呆れたように言った。





二人に目を奪われていた僕は、「……えっ……なんのこと?」と間の抜けた声を返してしまった。


「はあー、しかたないな。蘭、やれ」歩美ちゃんは、指をならした。


「はい」





蘭さんは、僕の服を脱がせ始めた。





「え……えええっ! ちょっと待ってよ!」

 



僕は抵抗を試みた。


しかし、柚木さんは巧みに僕の服を脱がしていく。


僕は、柚木さんに巧みに服を脱がされていく。


そして、ついに僕はパンツ一枚にされてしまった。

 

意味わかんねぇ!

 

ほんと意味わかんねぇ!

 

セクハラ?

 

これってセクハラ!?





「やめてくれっ!」

 




貞操の危険を感じた僕は、激しく暴れた。


さすがの蘭さんも手を引いた。


しかし、すぐに「しかたありませんね……手荒なことはしたくないのですが」と言って、僕の目では捉えることができない程の速さで、拳を僕のミゾウチにめり込ませた。





「ぐほぉ……」

 




い、意味わかんねぇ……。

 




ほ、ほ、ほんと意味わかんねぇ……。


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