【エッセイ】壊すだけ壊して逃げようとするおっさんの無責任な主張「若者よ、昔に戻ってもいいぞ」
これから無責任なおっさんが、無責任に持論を展開する。
なので、あなたも無責任に聞いてほしい。
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俺たちの世代は、いろんなものに反対した。
男はこうあるべき。
女はこうあるべき。
結婚して、子どもを持つのが普通。
夫は仕事、妻は家庭。
SEXなんて、人前で語るものじゃない。
そんな「当たり前」に、俺たちは片っ端からケンカを売った。
ジェンダーフリー。
男女平等。
個人の自由。
多様な生き方。
結婚しない自由。
子どもを持たない自由。
そして、SEXを愉しむ自由。
「俺の人生、誰からも指図されねー。俺自身で決めてやる」
「反体制とかよくわからんけど、かっこいいーー」
そんなノリも、かなりあった。
いや、むしろノリでしかなかった。
俺たちには、たいした思想なんてなかった。
「こんな社会を作りたい」なんて、別に考えていなかった。
ただ、今まであるものに反対した。
誰かに「こうしろ」と言われれば、「嫌だ」と言った。
「それが普通だ」と言われれば、
「普通って誰が決めたんだ」
と言った。
反抗をノリでやっていたのだ。
そうやって、俺たちはどんどん自由になっていった。
そして、それが妙に時代の空気にハマった。
メディアも面白がった。
「古い価値観をぶっ壊せ」
「もっと自由に」
「自分らしく生きよう」
そんな空気がどんどん広がっていった。
気がつけば、本当に世の中が変わっていた。
俺たちは、反対していたら革命を起こしていた。
……まあ、革命と言っても、俺たち自身はそんな大それたことをしているつもりはなかったんだけど。
そもそも、特定の誰かと戦っていたわけでもない。
「こいつを倒してやる」なんて相手もいなかった。
ただ、反対していた。
それが認められた。
認められたものが、また広がった。
そして気がついたら、
「あれ? なんか、すげー自由になってね?」
ということになっていた。
もちろん、俺たち自身も、その自由を楽しんだ。
恋愛も、結婚も、生き方も、以前よりずっと自由になった。
SEXだって、昔ほど隠す必要がなくなった。
楽しかった。
自由になったんだから、そりゃ楽しむ。
俺たちは、そうやって自由を満喫した。
じゃあ、その後どうするのか。
……そんなこと、考えていなかった。
だって、そもそも最初から「新しい社会を作ろう」なんて思想でやっていたわけじゃない。
古いものに、
「なんで?」
「嫌だ」
「俺の自由だろ」
と言っていただけなのだから。
だから、新しいものを作ることなんて考えていなかった。
「自由にすればいい」
「人それぞれ」
「他人の人生に口を出すな」
そうやって、どんどん自由になっていった。
何を選んでもいい。
何を選ばなくてもいい。
結婚してもしなくてもいい。
子どもを持っても持たなくてもいい。
SEXをしてもいい。
しなくてもいい。
そういう社会になった。
そして今、俺たちは若者ではなくなった。
昔、俺たちが楽しんだ「自由」は、もう俺たちだけのものじゃない。
社会全体に広がっている。
もう、俺たちがどうこうできるものでもない。
だから、若い人たちに、
「お前らが好き勝手やった結果、こうなったんだろ」
と言われても、
「いや……俺たちに言われても、もうどうにもできんぞ(笑)」
としか言えない。
「じゃあ、昔に戻せ」
と言われても無理だ。
俺たちは、そんな社会を作ろうと思って自由にしたわけじゃない。
反対していたら、なんだか認められた。
それが積み重なって、今の社会になった。
ただ、それだけなのだ。
……まあ、結果として何が起きたのかは、俺たちも見ている。
少子化だ。
結婚する人が減った。
子どもを持たない人も増えた。
SEXだって、結婚や子どもと必ずしも結びつかなくなった。
俺たちが若かった頃には、SEXはもっと隠されたものだった。
でも、俺たちはそれも嫌がった。
SEXだって自由に楽しめばいい。
好きな相手と付き合えばいい。
結婚するもしないも自由。
子どもを持つも持たないも自由。
そうやって、いろんなものを自由にしてきた。
後悔?
……別にない。
楽しかったんだから。
自由になったんだから、そりゃ楽しむだろ。
もちろん、SEXだけですべてが解決するわけじゃない。
少子化には、結婚、経済、仕事、住環境、子育て、教育、男女の関係など、いろんなものが絡んでいる。
だから、
「SEXを昔に戻せば少子化が解決する」
なんて単純な話ではない。
ただ、ひとつくらい考え直してもいいことはあるんじゃないかと思う。
SEXって、本当にただの「愉しみ」だったんだろうか。
好きな人とする。
大切な人とする。
その人と一緒に生きたいと思う。
そして、その先に子どもがいる。
そんな順番も、別に悪くないんじゃないか。
「純愛」とか、今さら古臭いと思われるかもしれない。
でも、若い人たちが、
「結婚って、いいじゃん」
「家族って、いいじゃん」
「子どもって、欲しいじゃん」
「SEXって、もっと大切な人とするものじゃない?」
と思ったのなら、それでいい。
俺たちが、
「昔の価値観に戻るな」
なんて言う必要はない。
だって、自由なんだから。
俺たちが反対して、認められて、広がっていった自由だ。
その自由を使って、若い人たちが俺たちとは違うものを選んだって、何の問題もない。
むしろ、
「俺たちが選ばなかったものを、お前らが選ぶのか」
と、ちょっと面白がって見ていたい。
俺たちが壊したものを、若い世代がもう一度作り直す。
それは「昔に戻る」ということなのかもしれない。
でも、それだって自由だ。
俺たちは反対していたら、自由になった。
だったら、若い人たちが自由に考えた結果、
「やっぱり結婚したい」
「家族を作りたい」
「子どもが欲しい」
「好きな人と一緒に生きたい」
となったっていい。
俺たちには、それを止める理由なんてない。
……というか、もう止められないんだよ。
俺たちが作ったわけでもない自由を、俺たちだけの都合でどうこうできるわけがない。
だから、若者よ。
好きにすればいい。
俺たちとは違うものを選んでもいい。
俺たちと同じものを選んでもいい。
そして、もしその答えが、
「昔に戻ることだった」
としても。
まあ、それも自由だ。
俺たちは反対していたら、なんだか自由になった。
それを楽しんだ。
楽しかった。
その自由がどうなっていくのかなんて、そこまで考えていなかった。
だから今さら、
「俺たちが責任を取ります」
なんて言われても困る。
そもそも、そんな思想でやってなかったんだから。
もう俺たちには、どうにもできん。
あとは、若い人たちが好きにすればいい。
できれば俺たちには思いつかなかった何かを、見せてほしい。
俺たちが「普通」に反対して作った自由の中で、
お前らが新しい「普通」を作ればいい。
それが、また俺たちには思いつかなかったものだったら面白い。
そして、その答えが、
「若者よ、昔に戻ってもいいぞ」
だったとしても。
……まあ、それも自由だ。




