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回復魔法が万能な異世界で、俺だけ治さない理由がある 〜触ると悪化するので、何もしない治療師やってます〜  作者: 夜凪レン


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第43話 神殿の結論

 それから数日後、街道沿いの宿に白い法衣が現れた。


 数は少ない。

 騒がせる気も、捕らえる気もない配置だ。


 神殿は、いつもそうだ。

 一番、現実的な手を選ぶ。


「話がある」


 調停官だった。

 第29話で会った男と、同じ種類の目をしている。


 俺は、断らなかった。

 断る理由も、意味もない。


 宿の裏庭。

 人目につかない場所。


「模倣が起きている」


「知っている」


「死者も出た」


「知っている」


 調停官は、頷いた。


「神殿は、君を責めない」


 意外でも、なかった。


「君は教えていない」

「体系化もしていない」

「正解を名乗っていない」


「だから、責任は問わない」


 合理的な判断だ。


「その代わり」


 調停官は、続ける。


「君の“痕跡”を封じる」


「記録は回収する」

「断片は、改変する」

「危険性だけを、強調する」


「正解を消すために?」


「正解が存在しないと、示すために」


 言い回しが違うだけで、やっていることは同じだ。


「それで、模倣は止まる」


「完全には、止まらない」


 調停官は、率直だった。


「だが、数は減る」

「それで十分だ」


 世界を守るには、十分だ。


「君には、二つの選択肢がある」


「一つ」

「神殿の管理下に入る」


「二つ」

「完全に、姿を消す」


 俺は、即答した。


「後者だ」


 調停官は、驚かなかった。


「だろうな」


 彼は、小さく息を吐く。


「君は、我々にとって“敵”ではない」


「だが、“危険”だ」


「善意で、前提を壊す」


「それが、一番困る」


 その評価は、正しい。


「最後に、一つだけ聞く」


 調停官が、真っ直ぐこちらを見る。


「君は、間違っていると思うか」


 少しだけ、考えた。


「分からない」


 正直な答えだ。


「だが」

「正しいとも、思わない」


 調停官は、静かに笑った。


「それでいい」


 彼は、背を向ける。


「君のような存在は」

「歴史に残らない」


「だが」

「歴史が歪む時」

「必ず、同じ場所に現れる」


 白い法衣が、去っていく。


 その背中は、最後まで敵意を見せなかった。


 夜、焚き火の前でルドと向き合う。


「……封じられるな」


「ああ」


「悔しくはないか」


「ない」


 即答だった。


「正解にならなかった」

「それで、十分だ」


 ルドは、しばらく黙っていた。


「……それでも」

「止まった人がいる」


「それが、すべてだ」


 神殿は、正しい。


 だから、壊れている。


 俺は、息を吐く。


 吐く方を、長く。


 結論は出た。


 俺は、

 世界の外に立つ存在として、

 これからも歩く。


 それが、

 この物語の、

 一つ前の終わりだった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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