1才の誕生日
誕生日をお祝いしてもらった。
「お誕生日おめでとう、ティティ」
「おめでとう。」
「ありがとー。」
単語は話せるようなった。
「おかーさま」「おとーさま」も言えるけど長文はまだ疲れるし噛むので感謝だけを伝える。
洋服や玩具、プレゼントの箱がたくさんあった。えっ、これ全部母からなの?と思ったけど違った。
「これはお父様から。それから、」
「おとーさま?」
父の方を見ながら言う。
「ティティにとってはお祖父様ね。お母様のお父様よ。伯父様達からもあるわ。」
吃驚した。母、家族いたの?
いままで会ったことないんだけど。
この家は、歴史がありそうな瀟洒な洋館だ。立派な前庭もある。 年配の使用人は母に丁重接していて、態度が母を主人だと言っている。
母は十代見えるのに、この家にはわたし達家族と使用人しかいない。なので、てっきり親族は死別してるのかと思ってた。
「おじーさま。」
「ティティなら大丈夫だと思うのだけど、まだ会えないの。その代わりにプレゼントをたくさん贈ってくださったのよ。」
お母様と御祖父様、仲良さそうだな。
なんで会えないんだろう。大丈夫って、やっぱり《まざりもの》のことかな。
たぶんいい意味じゃないから質問もできないんだよね。会う人が少ないから判断材料もないし。
両親はいつ会っても幸せそうに寄り添っていて、わたしに対する愛情も疑ったことはない。
母は裕福な貴族っぽいのでわたしの知ってる愛情とはちょっと違うけど。
精霊もわたしにすごく好意的だ。
いままで関わる使用人は、わたしのお世話をしてくれる数人の女性だけだった。行動範囲が広がったので、いまは他の使用人とも会う機会がある。
年配の使用人は母にすごく好意的だ。父のことは敬っていて、わたしのことは丁寧だけど事務的に接する。
わたしのお世話係は、わたしや家族に好意的じゃなかったと思う。彼女たちは乳児を世話する人だったんだろうし、もうここにはいないみたいだった。
自分でできることが増えた事と、大抵は精霊がしてくれるので、いまわたしには専属の使用人がいない。
人から好意的に見られてないからわたしも近付こうとは思わない。あまりよくない気がするけど、母も何も言わないしなぁ。
とりあえず意識を切り替えて笑顔でお礼を言おう。
「おじーさま、ありがとー」
頂いたプレゼントは全部高そうだった。




