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「……全く、腐れ縁過ぎるにも程がある」
今にも崩れ落ちそうな建物の中で、何とか無事だった壁の前に座り、傷だらけの身体を預けた。
もう身体中どこが痛いのかも分からないくらい、あちこち痛くって腕を動かすのも辛い、それでも……自分の隣に静かに横たわっている青年の頭を、自らの膝の上にそっとのせてあげた。
「……最期まで迷惑かけて、お前は本当に、どうしようもない奴だな」
もう開かれることの無いだろう瞳。瞼の上に掛かる血で固まってしまった前髪を、パリパリと剥がす様に手で漉いてやる。「痛い!」とか文句を言われたって構わない。むしろ今すぐ目を開けていつもの様に喧しく騒ぎ出して欲しかった。
壊され大きく抜けた天井から、ぱらり…と細かな破片が落ちてきた。
ふと見上げると、開いた屋根の穴から覗く夜空には、金色に耀く満月が見えた。
その金色に耀く満月にアイツの姿が重なって、じわりと瞳に涙が滲み、悔しくて瞼を閉じた。
「……ごめん、俺は最期までお前の英雄には、成れなかったな」