表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

彼女を寝取られそうになったので、俺は100倍返しにする事にした〜遊びで女を弄ぶのは俺が許しません!〜

作者:

「京ちゃん。 ごめんなさい。 私、好きな人ができました」


 誰もいない教室で唐突にカミングアウトを切り出したのは間宮ひかり(・・・・・)、俺の彼女だ。

 高校1年の時から付き合い始め、いつの間にかもう2年になる俺には勿体ないくらい可愛い彼女だ。


 学校でも人気な彼女は生徒会の書紀までやっている、いわゆる生徒の模範になる優等生的な存在だ。


 確かに近頃はマンネリ化してきたとは少し感じてはいたけれど、それを理由に別れを切り出されるほど末期ではなかったはず。


 それに急に好きな人が変わるタイプでもないひかりが他の男を好きになるなんてどう考えてもおかしい。


「どうしたんだよ急に。 それに他の人が好きになったって誰の事だよ。 同じクラスのやつか? それとも俺の知らないやつか?」


「……同じクラスの加瀬(かせ)悠太(ゆうた)君」


「よりにもよって加瀬って」


 いやいや、これまたとんでもない名前が出てきた。

 ひかりは知らないかも知れないが、同じクラスの加瀬悠太は女垂らしで有名な、いわゆるやり◯ンだ。

 俺もひかりも加瀬とは同じクラスで俺も普通に加瀬とは話したりはするが男からの評判はすこぶる悪い。


 文化祭の時には男に自分の仕事を押し付け、他のクラスの女の子の仕事を手伝って自分の評価を上げようとしたり、勉強が少し出来るからといって、俺の周りの友達を見下した態度を取ったりと本当に解せない奴だ。


 極めつけは女にはめっぽう優しくて、同性の男にはめっぽうキツく当たるいわゆる最低の(クズ)だ。


 俺もそんなあいつが気に食わなくて極力関わらないようにしていたのだが

 加瀬は俺がひかりと付き合っていると知っていてちょっかいを出しているのだろう。


 おそらく目的はひかりの身体だということは分かっている。

 ひかりの顔は周りよりも小さくて、整った顔立ちで可愛い。しかも黒髪のサラサラの髪を後ろで結んでいてポニーテールにしている。

 これがまた似合っていて彼氏の俺がいうのもなんだけど超絶ドストライクでめちゃくちゃ凄い可愛い、それに加えスタイルまでいいから人気が出るのも当然な存在なのだが

 その大事なひかりに加瀬は毒牙にかけ、飽きたら簡単にやり捨てるつもりなのだろう。


 くそっ。考えたら無茶苦茶腹が立ってきた。


 本当に加瀬以外に好きな人ができて、どうにもならないのなら俺も断腸の思いで身を引くという決断もあるにはあるが、加瀬ならば話は違ってくる。


「なあ。 ひかりは俺の事は好きじゃなくなったのか? 俺はひかりの事を今でもずっと好きで、一緒にいたいと思ってる。 俺じゃ駄目なのか?」


「駄目じゃない。 京ちゃんは悪くないの。私が全部悪い。 加瀬君に心がなびいてきてる私が……」


「なら、まだ俺にもやり直せるチャンスはあるって訳だ」


「それは……」


 おそらくひかりは俺とちゃんと別れてから、加瀬と付き合うつもりでこの話を切り出したのかもしれない。

 二股はよくないからな。そういう正直なところが俺が好きになったひかりの良さでもある。


 確かに加瀬と比べ俺はどこにでもいるような平凡な顔、成績も普通と幼馴染を抜いたら彼女と関わる事すら出来なかったようなモブ的存在、それが俺、今井(いまい)京介(きょうすけ)だ。


 そんな俺だが、加瀬には死んでも絶対に譲りたくはない。


 しかし、今ひかりの前で加瀬は最低な奴だと言っても余計俺への印象が悪くなってしまう。


 加瀬は女子が好きな事や、やってほしいことなどを熟知していて相手の心理にスッと入り込んでくる。

 その子の趣味や行動、好きな男性のタイプを調べ、口説く相手によって髪型や服装まで変えてくる。

 顔はとびきりかっこいい訳ではないのだが巧みな話術でどんどん女子は引き込まれ加瀬に洗脳されていく。


 本当にそんな事で? と思うかも知れないが、加瀬の評判を女子から前に聞いた時、加瀬の悪い話が出てこなかったのだ。


 そう。 男子からの評価とは全くの真逆ということなのだ。


 俺は何度かやり捨てた女子の話を自慢気に他の男子に話をしていた事を、離れた席から聞いていた事がある。


 どのクラスの女子か、別の高校の女子なのかは分からないが泣かせた子が何人もいるはずだ。


「ひかり。 この件は一旦保留で頼む。 返事は必ず聞くし、俺もするからさ。 だからもう少しだけ待っていてくれ」


「京ちゃん……」


 ひかりの言いかけた言葉を遮り、俺は席を立った。こう伝えておけばひかりは素直だから加瀬と何かを起こすリスクは少なくなる。加瀬がもっと動き出す前に止めなくては、そう思って俺は動くことにした。


 翌日


「なぁ隆史。 加瀬の元彼女ってこの学校にいるのか?」


「加瀬の? そりゃいるだろ。 あの犯罪者は一組の恵ちゃんも食べたって言ってたし。 2年のバスケ部の平山友香っていう次期エースもヤリ捨てしたって聞いたことあるぞ」


「俺は他の高校の子もヤッたって聞いたことあるわ」


「おいおい。 まじかよ。 ほんと最低クソヤローじゃねーか。 そんな奴に俺のひかりが奪われたら洒落にならんわ」


「おい京介! まさか加瀬にひかりちゃんがちょっかいかけられてるのかよ!?」


 俺は二人に事情を説明した。ひかりが加瀬に狙われている事。ヤリ捨てにされるかもしれないと言う事を。俺の為に2人には協力をして欲しいと頼んだが、ふたつ返事で協力してくれると返してくれた。

 やっぱり持つべき者は友だな。


 俺は放課後、加瀬を誰もいない屋上に呼び出した。階段を登り、後ろからついてきた姿はまるでチンピラかよと思わせる様な明らかに不服そうな顔つきだ。


「んだよ今井こんなとこに呼び出してよぉ。 俺と決闘でもしようってか? お前と違って俺は忙しいんだ。 お前みたいな何処にでもいるようなモブに構ってる時間なんて1秒たりともないんだが」


「なぁ加瀬。 俺の彼女のひかりにちょっかいかけてるみたいだな」


「ああ? ひかり? ひかりってあの間宮ひかりちゃんの事か? つ〜かお前の彼女だって? まじでお前の勘違いだろ。 ありえねぇわ」


「勘違いじゃない。 正真正銘俺の彼女だよ。お前だって俺とひかりが一緒に登下校してるの見たことあるよな」


「あぁ? そうだったのか? つ〜か見たことなかったわ」


 (ちっ。ほんとに男の前だけだと、いちいち感に触るやろうだ。ここはグッと堪えなくては)


「加瀬、頼む。 ひかりから手を引いてくれっ!」


 俺は頭を下げ渾身(こんしん)のお願いを加瀬にした。


「俺はひかりが大好きなんだ。 小さい頃から何をするにもずっと一緒で、ひかりをずっと見てきたんだ。 今もこれから先も俺の気持ちはずっと変わらない。 将来結婚する気でいるくらい、ひかりの事が大好きなんだ! だから頼む加瀬、ひかりから身を引いてくれ」


「………く……くくっ。 はっ、ははっ」


 笑いを堪えているのか加瀬は空を見上げた後、ズボンのポケットに手を突っ込んだままの姿勢で俺に上機嫌に応えてきた。


「クソ気持ちわり〜よ今井。 そんなんで俺がひかりちゃんから手を引くと思ってんのかぁ?」


「思ってないさ。 だけど俺にはこうするしか方法がないんだよ。 土下座でも何でもする。 だから頼む」


「だよなぁ。 頭の悪いお前じゃあそれくらいしか思いつかねぇよなぁ。 尚更ひかりちゃんとは俺と付き合った方がいいわ」


「俺にはひかりしかいないんだ。 でもお前は違うだろ。 顔もいいし、勉強も出来る。ひかりじゃなくたって付き合える子はいくらでもいるだろ」


「あぁ。 いるよ。 俺と付き合いたいって言う女はごまんといるわ」


「だったら、なんでひかりなんだよ。 お前くらいカッコよくてモテれば女になんて困らないだろ」


「ふっ……くくっ。んなもん決まってるだろ。 ひかりちゃんの身体だよ。 あのエロい身体、たまんねぇんだわ。 他の女とは違う妙なエロさがある。 それにお前がひかりちゃんの身体を独占するなんてずりぃだろ。 童貞顔のお前には勿体ないんだよ。だから俺が貰ってやるよ」


「そんな。 それだけの為にひかりにちょっかいかけてるのか。 もしかして、他に付き合ったって子もそうだったのかよ」


「あぁ、そ〜だよ。 俺がちょっと甘い声をかければ、あいつらなんて簡単に股を開くんだ。 マジでチョロ過ぎんだろ。 それにお互い同意の上だ。なんも問題ないだろうが。 これからてめぇが寝取られて、泣く姿を想像すると最高に気持ちいいわ!」


「やめてくれそれだけは!! 頼む加瀬、ひかりを取らないでくれ!! そ、それに今言ったことをひかりには話すぞ!」


「いいぜ別に。 お前みたいなクソモブみたいな奴が嘘の話を1つしたところで、ひかりちゃんは俺を信じ込んでるんだから何も変わらねぇよ。 顔を見れば分かるんだよ俺は。ひかりは俺に夢中なんだよ。 だからお前の戯言なんて誰も信じねぇんだよ。 ばぁ〜か!!」


 そう言って加瀬は笑いながら屋上から足取りを軽くして消えていった。

 想像はしていたがとんでもないない奴だ。

 俺はあいつからしたらモブに見えたのか。

 確かにそうだ。

 俺は普通だ。何の取り柄もないよな。


 静けさを取り戻した屋上に俺は1人(たたず)んだ。

 ダメだ。抑え込んでいた口角がどうしても上がってきてしまう。


「ふふっ………あっはっは」


 可笑しくて笑いが込み上げてくる。

 決して頭が狂った訳ではない。

 これで加瀬の本心が聞けたかと思うと笑いが込み上げずにはいられなかったからだ。



 ほんとお前は人を見下すのが大好きだもんな。


「加瀬、馬鹿なのはお前だよ」


 俺が情けなく頭を下げて、阿呆みたいに下手に出て、これでもかってくらいお願いしてきたから、お前は超気持ちよくなって自分に酔っちまったんだろ?


 そうだよな。お前はすぐ調子に乗るタイプだもんな。

 普段から周りに自分のぼろを出すくらいだ。

 少なからず何か一つでもぼろを出すと思ってたよ。

 お前から見たら俺は単純にお願いしに来た馬鹿に見えたんだろ。

 そんな単純な訳がないだろう。今どきスマホにボイスレコーダーがあることくらい知ってるだろ。お前は俺に嵌められたんだよ。そうとも知らずに機嫌よく帰って、本当に滑稽だよ加瀬。


 ポケットにしまい込んだスマホのボイスレコーダーを確認すると音声がバッチリ録音されている。念の為に山田と石川の2人からも携帯を借りて、見えない所に事前にセットさせて貰っていた。


 これであいつもお終いだ。


 覚悟しろよ加瀬。お前に騙された女の子達の綺麗な思い出を、俺が全て塗り替えてやる。そしてひかりを含めて全て制裁させてやるよ。

 俺は回収した携帯を手に、山田と石川に協力して貰い【被害者の会】を名乗ってヤリ捨てたという被害者の女の子達をあたった。

 


「えっ……嘘っ。 ほんとに悠太君がこんな……まじで……許せないっ」


 始めは女の子達もヤリ捨てられたとは思っていなかったが、ボイスレコーダーを聞かせると自分がやり目的で捨てられた事に気付かされ、たちまち顔色を変えていった。

 それは落ち込んだショックよりも激しい怒りの感情だった。騙されていた。加瀬にかけられた甘い言葉や、楽しく過ごしたあの時間は、ただやりたいが為だけの撒餌だったのかと。加瀬の手のひらで転がされ、簡単に騙されてしまった自分への激しい怒りと同時に、恋を踏み(にじ)られたの怒りの感情は当然、加瀬に向いた。



 調べた結果、被害者は数人に留まらず他校の生徒を合わせると何十人もいた。

 噂は怖い。瞬く間に広がり、ネットでも加瀬の悪行が叩かれ、終いには顔と家の住所まで晒され、それを知った加瀬は直ぐにアカウントを停止していたが全てがもう遅い。

 お前は彼女たちの逆鱗に触れたんだ。

 軽い気持ちでやっていたんだろうが、誰もお前を許してくれる人はもういない。偉そうに誰かを従えていたお前を助けてくれる奴は1人もいなくなったんだよ。


 想像通りの結末に俺達は互いに手を取り喜んだ。


「何なんだよっ。 何がどーなってるんだよ」

 

 あの時の加瀬の血の気の引いた顔は傑作だったな。俺達が裏で動いていたなんてバカなお前は知りもしないだろう。


 最終的には学校にまで連絡が入り、加瀬には知らない人からの非通知電話が鳴り止まずどんどん追い詰められていった。一部の親からは訴えられているとまで聞いた。

 そして加瀬は学校に来られなくなった。


 自業自得だ。

 俺が天罰を下したなんて思ってはいない。

 いつかはこうなっていただろうよ。


 お前は真剣な気持ちで向き合う女の子を(もてあそ)んだ。

 その罪を重く受け止めろよ。って、まぁ今のお前にはそんな余裕一つないと思うが。


 そして俺にもやらなくちゃいけないことがある。



「ひかり。 返事を聞く前に俺から伝えたい事があるんだ」


「京ちゃん、私……」


「俺はひかりが好きだ。 昔も今もずっと変わってない。 だから俺とやり直させてくれ」


「もう……できないよ京ちゃん……私は京ちゃんを裏切ったもん。 大好きだって言ってくれる京ちゃんの心を傷つけた。 だから……私に付き合う資格なんてもうないよ」


「資格とか必要ないよ。 ひかりはちゃんと好きな人が出来たと始めに俺に伝えてくれた。 それに今も加瀬の事が気になるのか?」


「ううん。 加瀬くんの事、分かって本当にあの時の私はどうかしてたって今では思ってる」


「なら俺の事、今でも思ってくれているのなら、俺に償ってくれ。 俺の事をもっと好きになってくれ。 反省なんていらない。 俺に分かるように好きと伝えてくれ。 俺はそれ以上にひかりを好きだって伝えるから。 だからこれからも俺と一緒にいてくれよ、大好きだひかり」


 うるうると涙を溜めていたひかりは堪えきれず俺の胸に飛び込んできて想いを伝えてくれた。


「京ちゃん……ごべんなさいっ。 私ちゃんと一生かけて償うから。 今まで以上に好きって伝えるし、行動でも示します。 浮気もしないって誓います。 だから許してほしいです」


「何もアイツとは始まる前だったろ、だから許すよ。 これで寝取られてから戻ってきたいって言われても困ってたけどな」


「京ちゃん、ありがとう。えへへ」


「好きだよひかり」

「うん。 大好き京ちゃん……」




 こうして俺とひかりは元通り彼氏と彼女になった。

 加瀬は、その後引っ越したと聞いた。親にも迷惑をかけて、その後の人生どうなるかは分からない。馬鹿は死ななきゃ直らないって聞くしな。生まれ変わって1からやり直した方がアイツの為にもいいかもしれないな。

 まぁ、でもこれで俺があいつの事を考える事はもう二度とないだろう。

 自業自得。ざまぁみろだ。



良かったなと思った方はブックマークをと評価を付けて頂けると本当に嬉しいです。

『元A級冒険者のおっさん少女を拾う。〜アイテムボックス持ちのエルフ少女と一緒に王都で自由気ままにスローライフ〜』

https://ncode.syosetu.com/n1904kf/

連載中ですのでこちらも宜しくお願いします。


聖女モニカは婚約を破棄されたので暴れることにします〜私を嵌めようなんて100年早い。権力?、いや、武力行使しますわ〜

https://ncode.syosetu.com/n5387kj/

こちらも、宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もう義理は果たした ここでさよならだろう
今回は取り戻せたけど証拠突き付けられて相手に幻滅して戻って来ただけだし 口でいい感じの事言ってもこの程度の相手に気持ち持ってかれた程度の関係だし結局長続きしなそう感
つまんね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ