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妖精物語  作者: シャチ
ダンジョンの街へ

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旅の終わり

 サイカーン共和国での居場所を得てから、私は許可をもらいまずはこの教会の書庫に入り浸ることになった。

 聖書の中身を見たこともなかったというのもあり、私はまず聖書の中身を確認し始めた。

 大まかには妖精学校で習った内容ではあったが、キャトルの話を聞いた後で読むと意味が変わってくる。

 品行方正だとか倹約だとか清廉潔白だとかいった道徳的なことを問うているだけだと思っていたものが、禁忌の理由が”人間”と人造人間との混血を増やさないためであることが読み取れ始める。

 さらには、科学文明の発展を妨げることに主眼が置かれた、過去の出来事を物語形式で書かれている旧約部分については、実際に起こったことであるというのがわかってくる。

 実際にサイカーン共和国の東、不毛の大地とされるカイートの地区には大きなクレーターがあり、今も人が近寄ると奇病により死に至ると言われているが、その地は神の怒りによって消滅したとされている。

 神の怒りの残り香が人を殺すと言われているが、正しくは2000年以上前に起こった戦争による”特殊な爆弾”によるものだとわかる。

 これは教会の禁書庫にあった経典解説書に記載されていた内容だ。

 1万度を超える爆熱と、それによって膨張した空気の爆発によってすべてが消し飛ばされたという。


 ほかにも木や、燃える石、燃える水により発生した気体によって地球が熱くなりすぎ作物が育たなくなったなど、様々なことが書かれていた。

 そして、一部の人間は宇宙へ逃げ、一部の人間は眠りについた。

 

 私たちが住んでいるこの大地は昔”ニホン”という土地だったようだ。

 王族や皇族と呼ばれる地位の人間が黒髪に黒い瞳を持つのはこの土地に住んでいた人々のもともとの特徴だという。

 逆に、平民たちがピンクや水色、黄緑など薄い色素の体毛を持つのは血が白いから。

 作られた人間だからだという事もわかってくる。


 ある程度の事柄を頭に入れた私はゴーショへ戻った。

 ゴーショを探索すれば幾人かの妖精族と出会う事が出来た。

 彼らと話をする機会を得た私はいろいろなことを聞けた。

 平民たちへ禁忌を課しておきながら、自分たちは古代技術を使って優雅に生活する貴族、教会の枢機卿などがいること。

 私たち妖精族数人でゴーショの状態を確認しているという。

 仮に”経典”についての違反を繰り返すようであれば、他国をけしかけ頭を挿げ替えるような動きをするのだとか。


「私は地元の学校でそんなこと習わなかったのだけど」

「まぁ子供には教えない内容だよ。真実に気が付いた妖精族だけが別の指令をもらうんだ。君も地元に帰れば別の指令を受けるはずさ」


 出会った妖精族の一人は私にそういった。

 逆を言えば、新しい指示を受けたくないなら地元に帰らないことだ、とも言われた。


 私は知る側になってしまった。


 この先は本当に自分で決めなくてはならない。

 

 私はここで旅を終え、一時家に戻ることにした。


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