教会の判断と、お手伝いの約束
地上に戻った私は隠ぺいの魔法をかけたままで教会へ向かう。
ああいった古代の遺物については教会の管理に任せてしまったほうが面倒もないことは有名。
逆に、個人でああいった遺物を扱おうとすると教会から異端者として裁かれることもあるというからなおのこと面倒くさい。
妖精族の場合隠ぺいの魔法なども使えることからばれずに研究している者もいるというけれど、それはそれで面倒だもの。
私は見分を広げたいだけで、そういうのに興味はない。
ダンジョンを出てまっすぐと町の中央通りを進むみ教会の入り口に到着した。
隠ぺいの魔法を解いて中に入る。
「ごめんくださーい」
「あら、妖精族の方ですか。妖精は信仰心があまりないので教会に来るのは珍しいと聞きますが」
出迎えてくれたのは少し背の低いシスター服を着た女性だった。
小さい割にグラマラスな体をしていて、本来はスタイルを隠すことを目的としているシスター服からですらその体のラインが分かるずいぶんエロスティックなシスターだ。
てか、彼女ドワーフ族よね?
「別にお祈りに来たわけじゃないんですドワーフのシスターさん。 ダンジョンで未発見っぽい古代遺物を見つけてしまって、教会に知らせようと思ったんです」
「あら、私のことドワーフだってわかるのね。さすが妖精族。 ……え?新しい遺物を見つけた?」
「そうよ。大きいし、道中私が通れるぐらいの狭い通路だったから持っても来られなかったの」
「なるほど、普通の冒険者では発見できない遺物ですか。 私はドワーフのキャトルと。ちょっと司祭と話してくるから待っていてくれる?」
「いいわ。私はリアというの。よろしくねキャトル」
私とあいさつを交わしたキャトルは教会の奥に消えていった。
見た感じ、彼女たぶん脳筋シスターっぽいのよね。
もしかしたらダンジョンに潜る仕事をしているのかもと思う。教会の中にはそいった古代遺物を探すことを仕事にする集団がいると聞いているので、きっとそれだろう。
第一、あんなにグラマラスでシスター服が意味をなしていないのも気になるし。
そういえばドワーフ族と会うのは久しぶりね。
地元にいたときは一年に一度ぐらいナイフや包丁などの金物を売りに来ていたのよね。
鍋の修理とかもしてくれるから、とっても助かっていた記憶がある。
ドワーフ族は器用でいろんなものを作ることに向いている種族だと聞いている。
逆に不器用なドワーフは戦闘に特化するとも聞いてる。
一年一度来ていたドワーフのおじさんは斧の一振りで魔物を倒していたもの。
「リアちゃん、お待たせ。明日あなたが見つけた古代遺物の場所を一緒にダンジョンに潜って確認したいのだけど、いいかしら?」
「いいわよ、暇だし。 そうだ、教会に泊まることはできる?」
「宿坊があるわよ。そういえばリアちゃんはどこから来たの? このあたりで見る妖精族は大体把握してるけれど、あなたを見たことないから」
「ホークトア王国のあたりに住んでいたの。今はいろんなところを回ってる感じ」
「なるほど、成人したばっかりなのね。ずいぶん若そうだもの」
「わかるの?」
「わかるわよ。ほかにも妖精族の知り合いがいるからね」
じゃあばれちゃうよね。今まで人生経験豊富みたいな面して回っていたけれど、妖精族について詳しい人がいたんじゃどうにもならない。
泊めてもらうし素直に協力することにしよう。




