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妖精物語  作者: シャチ
ダンジョンの街へ

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22/32

神聖ゴーショ教国の北、クレンダンシーの港

 ゴーショ行きの船は順調に航行していた。

 道中ホークトアのマントガー領近くに寄ったときは曇り空だったが、何とか天候が悪くならず、帆船は3日ほどで申請ゴーショ教国領内のクレンダンシーの港に着いた。

 南に降りてはきたが、肌寒さの残る地域だった。


「思ったより寒いわね」

「リアさん、パンジャン海はどうしても南に比べるとまだ寒いんですよ」

「海って全部暖かいと思ってたわ」

「ゾエ帝国の東では海が凍るらしいですよ」

「それってどんな寒さなの? 生きていけないわよ」


 フェナの解説を聞きながら下船する。

 ゾエ帝国へ行くときは暖かかったのもあり外にいることが多かったけれど、今回はほとんど船内にいた。

 何より寒いのだ。

 風は強いし、下手に浮遊しようものなら風に飛ばされて”海のモズク”ってのになってしまうかもしれないので外になるべく出なかったのだ。

 船室からでも外の景色は見られるのでそれで満足することにした。

 なによりフェナの入れてくれるお茶はおいしいかったので満足した。

 中々快適な旅だったわ。


「しかし、宙に浮けるというのはやっぱり便利そうですね」

「船酔いはないわね。でも浮いてるとずっとユラユラしてるから人間には大変じゃない?」

「そうかもしれませんね」


 今回の船旅、部屋にいることも多かったので普通にいすやテーブルに座って過ごしたりもしていたが、その揺れ方は宙に浮いているときとあんまり変わらなかったのだ。

 これで酔う人間は空は飛べないと思う。


 到着したクレンダンシーは入り組んだ入江の奥にある港町だ。

 周りは山が多く、港からすぐに山が始まるような地形だった。

 船からは次々に荷物が下ろされてくる。

 人の手で降ろさないといけないのは多変そうだけれど、そのまま馬車に積まれて行ってる。


「あれって何を積んでるの? 交易品だとは思うけれど」

「ニシンという魚です。ゾエ帝国近海では大量にとれるそうで塩漬けにされたり干物にされたものがこうしてゴーショに送られてくるんです」

「ゴーショって食べ物ないの?」

「食べるだけでなく、肥料としての用途もあるそうですよ」

「そうなのね」


 私たちは港近くで昼食を食べてから宿を探すことになった。

 ここからゴーショまでの移動も徒歩となるため、今から移動すると夜中に山の中という最悪な状態となるためだ。

 さすが港町だけあって魚料理ばかりだった。

 この時期は果物も多くて助かるのよね。山ぶどうの盛り合わせがなかなかおいしくて助かったわ。

 魚を食べろって言われたら結構きつかったと思う。

 そして翌朝、私は北の港の洗礼を受けていた。


「朝はさらに冷えるのね……」

「もう少し洋服を着てはいかがですか?」

「私が着られるサイズの防寒着なんてないでしょ?」

「まぁそうですが……何もタオルにくるまらなくても」

「ほかに方法がないんだもの」


 私は、宿泊していた宿でもらったタオルでぐるぐる巻きになりフィナに運んでもらっている。

 あまりにも寒いのだ。秋も半ばとはいえ、雪でも降るんじゃないかって寒さだ。

 私たちが住む集落でも冬は雪が降るため秋は木の実や果物を集めて冬ごもりの準備をする。朝の寒い時間帯は家の暖炉の前でゆったりとした時間を過ごすものなのだ。

 現在、旅に出ている私に冬ごもりという選択肢はない。

 何せマドレーヌの住む寮だって朝寒かったのは暖炉の大きさの割に家が広すぎて空気が温まらないからだった。

 私はフィナのカバンに潜り込んでこうしてタオルにくるまりながら馬車に乗ることになった。

 早いところ暖かい地域に行かないと凍え死んでしまうわ!

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