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妖精物語  作者: シャチ
ゾエ帝国の聖女

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16/32

偽りの聖女

 部屋の中をさらに探索すると、檻と思われる中にガラス管の中にいる少女と同じ顔の少女がいた。

 特に何をするでもなくぼーっとどこかを見ている。

 これが稼働個体で、他のは予備という事だろう。

 妖精族の書物にはこれら禁忌のことは乗っている。


 かつて人は、自然に存在しない物を無理やり合成し、あらゆるものを作り、この星のすべてを破壊せんとした。

 世界を統べる女神はついに我慢の限界に達し、人々に神罰を与えた。

 そして魔物が生まれ、人が住む地域は制限された。

 女神は自然に存在しない物を作ることを禁じ、残された選ばれし人々だけが禁忌を犯す事さえなければ平穏に過ごせるという掟を作った。


 これは、人間族の教会が発行してる聖書にも乗っていること。

 妖精族やエルフ族はこの禁忌を臭いで感じ取れる能力がある。

 他の地域の教会ではエルフは異端審問官としての役職を持つ者もいるというので、間違いないだろう。

 ハセストのことを考えると、ゾエ帝国で異端審問は機能してないという事がわかる。


 檻に入れられた聖女を眺めていると、急に扉があいた。

 誰かが入ってきたらしく、私はより魔法を強めにかけた宙に舞う。

 入ってきたのは男二人、一人は豪華絢爛な司祭の服をきており、もう一人は白衣の男だった。


「もう壊れたか」

「申し訳ありません、やはり制御が難しく」

「黙って立っていることぐらいできないのか?」

「この状態です。まともには見えないでしょう」


 つまり、この子はこいつらの操り人形ってことか……聖女を操り人形にするとはなんとも罰当たりなことをするものだ。


「こいつは廃棄だ。次を起こせ」

「わかりました」


 身なりのいい男が出ていき、白衣の男が残る。


「まったく、都合の良いことばかり言いやがる。この技術だって誰のお陰で復元できたと思ってるんだ……廃棄っつったって、ここまで育った個体を捨てるのは簡単じゃないんだぞ」


 愚痴りながら一つのガラス管の前に立つと何かを作業始める。

 これはいい情報を得た。この聖女の紛いものを助ければ、ゾエ帝国教会の闇を暴けるかもしれない。

 私は物音を立てないようにこっそりとこの部屋を抜け出した。

 抜け出してしまえば風に流されようが多少は問題ない。

 あえて飛ばずに急速に落下しながらハセストを探す。

 あいつ軽い隠蔽魔法を使ってるからわかりやすい。

 私は教会の周りを歩いているハセストを見つけ肩に降り立つ。


「なにかわかりましたか?」

「この教会、禁忌にふれてる。人を複製してるんだ」

「確かですか?」

「近い内に聖女として発表されたであろう ”偽りの聖女” が廃棄されるから、それを助けられれば証明できると思う」

「死体になっているかもしれませんよ?」

「それはないと思う。血の匂いは分かる人にはわかるもの」

「たしかに、普通に考えれば外に連れ出して消しますね」

「なんとか作戦立てられる?」

「ハコダ家として動いてみましょう」


 私達はまた馬車に乗りマドレーヌのいる学園へ戻る。

 なんとか偽りの聖女を助けられればいいのだけれど、私じゃ何もできないのよね。

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