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妖精物語  作者: シャチ
ゾエ帝国の聖女

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14/32

帝都ポローサ

 戦闘が終わり、兵士たちが魔物の解体をしている横を馬車は通り過ぎることになった。

 そこそこ大きさの魔物なので、いい魔石が手に入るのではないだろうか。


「まさか魔物を見ることになるとは思いませんでしたわ」

「えぇ、私も驚きました。この街道で魔物が出るのはひと月ぶりだと思いますよ」

「では普段はよほど安全なんですわね?」

「はい、今は聖女様もいますから王都からこの辺りまでは聖域といわれていますので、魔物の発生はいつもより少ない状態なのです」


 この話だけを聞くと、聖女は聖女としての仕事をしているように思えるけれど、一体に何にハセストは引っかかっているのかしらね?

 馬車は旅程通り順調に進み、翌日には帝都ポローサに到着した。

 あの魔物の襲撃以降、同じようなことは起こらず、無事に学園の寮についた。

 ここからはしばらくマドレーヌと別れてハセストと一緒に行動することにした。

 彼女はこれから入寮手続きだとか色々あるので忙しいのだ。


「というわけでハセスト、少し王都を案内してよ」

「一応私はマドレーヌ嬢の御付きという仕事があることをお忘れですか?」

「忘れてないわよ。でもあなたじゃ女子寮には入れないでしょう? 今日はこのあと暇になるんじゃない?」

「はぁわかりました。どこへ案内してほしいのです?」

「大神殿へお願い」

「……まさかと思いますが聖女ですか?」

「そのまさかよ」


 妖精族は存在を消せる。

 相手がエルフでもない限り、隠蔽魔法を使った妖精族を見つけることはできない。

 ならば、私が見に行けばいいのだ。


「エルフじゃ大きすぎて仮に隠蔽魔法を使っても侵入は難しいでしょ? 私が行けば解決するわよ」

「たしかにそうですが、なぜあなたがそこまで?」

「私も聖女が気になるからよ。この国に聖女が誕生していなかったら、わざわざ北になんて来ないわ。本当はあったかい南に行きたかったのに」

「そういうことですか……ではご協力いただければと思います。ついでに街をご案内いたしますよ」

「よろしくねハセスト」


 ゾエ帝国の帝都はホークトアのセントペデスタルとはまた違う雰囲気が漂う街だ。

 ホークトアは木造の家が多かったけれど、こちらはレンガか石造りの家が多いように思う。


「ポローサは雪が多いですからね、木造では雪の重さに耐えられずに倒壊してしまうのです」

「ホークトアより降るってこと?」

「軽く1m以上になりますよ。ほら、あの家に二階にドアが付いてるでしょ?」


 馬車から見える街並みの家々には確かに二階にはドアがついている。

 冬場はあそこから出入りするのか。

 そしてしばらく馬車が進むと、豪華絢爛な建物が見えてきた。


「あれがゾエ帝国の大聖堂です。魔物たちとの戦いにおいてからも被害を逃れ、増築を繰り返した結果あのような形になったのがちょうど百年前と言われています」

「聖女がいなくなる前まで相当な権力があったでしょうね」

「えぇ、少なくとも皇帝よりは上だったでしょう。実際聖女が政治に口を出したという記録はありませんが、その代弁者として大司教や教皇が実権を握っていたのは間違いありません」

「それは権力争いに聖女が利用されるわけだわ」

「そして、帝都の加護が失われたわけです。とはいえ人は神を敬うのをやめない。結果いまだにあそこまでの絢爛さが維持されているわけです」


 そのまま大聖堂の馬車どめまで直接乗り込むことができた。


「大聖堂で祈りを捧げること自体は、貴族であっても美徳とされますから、入ることはできますよ。

 その奥には無理ですが」

「じゃあここからが私の出番ってわけね。隠蔽魔法をつかうから目で追いかけないでよ?」

「気をつけます。そしてよろしくお願いします」

「任せなさい」


 ハセストの肩にのり隠蔽魔法を発動する。

 さて、大聖堂にいる聖女、どんな女なのかしらね。

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