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妖精物語  作者: シャチ
ゾエ帝国の聖女

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13/32

魔物の襲撃を受ける

 マドレーヌがハセストから聞いた話では、明日の朝食を食べたら出発し、宿場町のトセで宿泊、翌日王都ロポーサに到着するというスケジュールだそうだ。

 道中はかなり整備されており、しっかりと舗装され安全も確保されているという。

 要所に馬の休憩場所と共に帝国軍が警邏しており、仮に魔物に襲われてもすぐに駆け付けてもらえるという。

 聖女を失った後のゾエ帝国は20年ほど魔物の被害であれたそうだが、屈強な帝国軍の活躍によって市民の安全が確保され、街の往来が活発になったという。

 さらに安全が確保できたことで大規模な穀倉地帯が広がっており、帝国における小麦の生産はホークトアのように食料を輸入に頼らざるを得ない地域からの外貨獲得に役立っているという。

 すべてマドレーヌからの受け売りだが。


「地平線のかなたまで小麦畑が広がっている風景というのは一度見てみたいですわ」

「ホークトアじゃ見渡しても山ばっかりだもんね」

「海の先ではなく、地の先が見えないというのはとても興味深くありますわ」


 マドレーヌ的に、ゾエ帝国は魅力あふれる土地であるらしい。

 婿探しでもあるのだけれど、普通に観光を楽しむ気でいる気がしてならない。

 まぁ婚約破棄された貴族令嬢が他国へ来ているのだし羽を伸ばすぐらいがちょうどいいだろうとは思う。


「それに、食事がとてもおいしゅうございますの。白パンはふかふかだし、肉類もおいしいかったですわ」

「船の料理がそれほど良くなかったから余計じゃない?」

「そんなことありませんわ! ホークトアではこんなおいしいパン食べられませんでしたもの」


私はパンを食べないからわからないけれど、マドレーヌ的には衝撃なのね。

今度試しに食べてみようかな?


*****

翌朝、朝食を済ませ馬車に乗り込むとゾエ帝国の護衛がついて、なかなか物々しい移動となった。

まぁ他国の侯爵令嬢ともなれば、国賓とまで言わなくとも要人であることには変わらないという事なんだろう。


「帝国ってこんな仰々しくするものなの?」

「いくら安全と言っても、用心するに越したことはありませんからね」


私とマドレーヌにメイド、そしてハセストは同じ馬車に乗っている。

未婚の令嬢が”男女と二人”というのは外聞が良くないからと、私以外にメイドも同席している。

私がハセストに聞くと、さも当然と回答が返ってきた。

何か怪しいんだよな。


「リア様、何か気になることが?」

「ハセスト、何かあるなら先に言ってよね」

「何もありませんよたぶん……さすがに他国の要人に手を出すようなバカはいないはずですから」

「うわーその物言いがすでに心配」


などと話していると、馬車が急に止まった。

言わんこっちゃない、何かがあったらしい。


「魔物が出ました! 護衛の騎士で討伐中です」

「まさか、魔物が出るとは」

「ハセスト、やっぱり何かあったじゃない」

「用心為だったのですが、正解だったようです」

「窓開けて、私が見てくるわ」

「リア様、危ないですよ!」


私が外に出ようとするのをマドレーヌが止める。

けど、私は妖精族なのよ。気配を消せば魔物になんて見つからない。


「では、リアさんお願いします」

「任されたわ」


私は口パクで「マドレーヌを守りなさいよ」と伝えると、ハセストは無言でうなずいた。

通じたようでほっとする。

ハセストに馬車の窓を開けてもらい外に出ると、少し前方で剣の音が響く。

気配を消して近づけば、巨大なカマのような前足を持つ8本足の魔物が騎士と戦っていた。

雰囲気的に騎士たちが優勢であり、問題なく倒せそうではある。


「久々に見たわあの大きさの魔物」


道中安全だという割に、魔物が出るなんてね。

しばらく見ていると街道の向こうから騎士たちが駆け付けた。

これが、帝国の警邏部隊なんでしょう。

彼らの加勢によって、魔物は瞬く間に倒された。


しかし、安全だと言われていたのにいきなりこの調子じゃ、先が思いやられるわね。



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