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神獣の愛し娘はポーション屋を追放されたので、お茶屋になりたい  作者: とまと(シリアス)


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ダーナ視点

 もし、こいつらが本当に聖騎士だったとして。リョウナを探している理由が、作り出すポーションの力にあるということならば。

 間違いなく、リョウナは利用される。

 あれほど効果の高いポーションを大量に作り出せるリョウナだ。

 利用しない手はない。

 そして、リョウナは……人がいい。すぐに騙されて、いいように利用されてしまうのだろう。

 人々を救うためにポーションを作れと言われれば、ほいほいと……いくらでも作るのだろう。

 それが、自分たちの権力を盤石なものにするために、人々を逆に苦しめるために作らされているなどと疑いもせずに。

 聖騎士たちが、リョウナを手に入れれば……命を助けてもらいたければ言うことを聞けと、聖騎士たちが権力を強めるのは容易に想像できる。

 リョウナは……もしかするとポーションを作るためだけに、どこかへ閉じ込められ、もう二度と外の空気を吸うことができないような立場になってしまうかもしれない。

「なんだい?もしかして、リョウナを探してるのかい?」

 だましやすそうな、背の低い男の腕を取り、ねっとりと絡みついて、耳元で声をかけてやる。

「放せっ」

 思った通り、背の低い男は迷惑そうに私を振り払った。

 本当に、単純だねぇ。

 振り払われた私は、ちょっと大げさによろめいて、地面に手をついた。

「あーあぁ、どうしてくれるんだい、せっかく教えてやろうと思ったけれど、やめだ、やめ。帰っとくれ」

 しっしと追いやる仕草をしながら、地面についた手から、血が流れているのを見せる。

「ケガしちまったじゃないか……あーあ」

 ニタリと笑って、リョウナがくれたポーションを作る道具を取り出して指を入れる。

 中に残っていたポーションは、瓶にうつして村長に保管して貰うことになったけれど、ポーションの瓶の数が十分ではなく、まだこの道具の中に少し残っているのだ。

 けがをした手のひらを男たちに見せながら、ぺろりと指につけたポーションをなめる。

 見る間にけがはふさがり治ってしまった。

「なっ!」

 男たちが驚いた顔を見せる。

 そりゃそうさね。初級ポーションならこれくらいの傷、血は止めることができるだろう。

 だが、そこに傷があったことさえ分からないほど綺麗に一瞬で治すようなことはできない。

「今舐めたのは、まさかポーションか?」

 背の低い男が唾を飛ばしながら聞いて来た。

 まったく、本当に権力を振りかざすのが好きな人間っていうのは頭にくる。

「そりゃ、あんたに怪我をさせられて痛いからね。ああ、痛かった。あんたに怪我をさせられちまったからね」

 謝りもしないことを責めるように2度繰り返してやる。


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