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神獣の愛し娘はポーション屋を追放されたので、お茶屋になりたい  作者: とまと(シリアス)


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「少し口にしただけなのに、まるで……とろけるように……」

 少し口づけただけなのに、まるで体中がとろけるような……。

 なんて、ディールは言ってない、駄目。おかしい、私の頭、今、そんな恋だの愛だの言ってるときじゃ。

 え?

 恋?

 愛?

 驚いて思わずディールの横顔を見上げる。

「あ、町が見えてきた」

 ディールが唐突に声を上げる。

 町の前には、何人かの人が並んでいた。

 その中にはダーナの姿もある。

 それから乗合馬車に乗っていた人たちもいた。

「よかった、来なければ様子を見に行こうかと相談していたところなんだ」

 馬車の護衛なのか冒険者なのか乗っていた2人が歩み出た。

「そちらは……ディール様、その姿は?」

 ディール、様?

「ああ、ウルビアの群れが現れた」

 ディールの言葉に、町の人たちがざわめく。

「俺らを襲った群れに違いない、すぐに家の中に逃げられるように準備を」

「ギルドに報告しなければ、すぐに討伐に動いてもらおう」

 冒険者の男が口を開いた。

「そうだな、ギルドへの報告を頼む。現れたウルビアの数は48、すべて討伐した。だが、それほどの数の群れが人里近くに現れることは異常だ。調べてくれと。この町にはギルドがないだろう?あっちの町に伝えてくれ。他にも群れがいないとも限らないから警戒しろと。俺は、ブルーノの町のギルドに報告する」

 てきぱきとディールが冒険者に指示を出している。予定通り乗合馬車で移動するつもりのようだが、もしウルビアの群れに遭遇したときのことを考えていろいろ準備をするらしい。

 ダーナが私の顔を見た。

「そいつが、リョウナを助けてくれたのか」

 助けてくれる人がいる人間に、助けてもらえない人間の気持ちがわかるものかと、ダーナに言われたことを思い出す。

 ダーナがディールを見た。

「ディールは、皆を助けたんだよ、私じゃない。狼煙を上げて助けを呼んだのは私だけれど、ウルビアの群れを倒して皆を助けてくれた」

 ダーナが下を向いた。

「ああ、そうだ。リョウナも皆を救った……町の人だって、こんな私を……町まで連れてきてくれた……」

「何いってんだよ、ダーナさん。あんたが体を張ってウルビアの攻撃を防いでたの私ら、見てたからね」

「そうだ、ダーナ。あんたにワシらも救われたんだ」

 倒れていた人の一人が、ダーナの背中をぽんぽんとたたいた。

「馬車に必要なものは詰み終わった。出発するよ、あんたたちはどうする?」

 御者が私とダーナに声をかけてきた。

 そうだ。乗合馬車で次の町へ行く予定だったんだ。

「私は……」


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― 新着の感想 ―
[一言] 退治されたのは赤穂浪士+1か(笑) (失職しての憂さ晴らし&逆恨み) ダーナ、リョーナ。語感が似てる……
[一言] 施せし情は人の為ならず おのがこゝろの慰めと知れ\n\n我れ人にかけし恵は忘れても ですね(*´・ω・`)b
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