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「ううん、ポーション職人を雇いませんかって、交渉する。1日20本程度しか作れない純度100%のポーションを、50本以上作れる優秀な人材を雇いませんかって。50本で銅貨500枚の元手、それを4~5本にして売れば儲かりますよって」
ハナが顔を輝かせた。
「ねぇ、その1日50本作れる人って」
「うん、そうよ。ハナもマチルダも、あの方法なら50本以上作れるでしょう?」
マチルダがぼんやりと空を見つめている。
「まさか……交渉って……私のために?」
握っていたマチルダの手を放して、バンバンと背中をちょっと乱暴に叩く。
「思い上がらないでマチルダ。あなたのためじゃない。皆のため」
マチルダは黙ったまま俯いた。
「ありがとう、リョウナ!私、やめた後のこと、本当はちょっと不安だったの」
ハナが私に抱き着いてきた。
「1日50本以上のポーションが作れる、しかも不純物が少なくてさらりとして飲みやすいものが……と、それを売りにして就職先を探してみるわ!この街を出てもやっていけそうよ!」
ハナも荷造りを始めた。
もう借金返済分はたまったと言っていた。
「マチルダ、あと借金はどれくらい?」
マチルダが、顔を上げた。
「はっ、あと3か月あれば返せるよ。ポーションの買い取り価格が1本銅貨10枚になった。1日に50本作れるんだ。夜の仕事も続けるし。すぐだよ。私をあまり甘く見ないでくれ」
「ギルドに行けば冒険者以外も仕事の相談ができるようにならないか、交渉してみる。だから、3か月後、ギルドに行ってみて」
「ははは、そうだね、期待せずに行ってみるよ。交渉失敗してたって、責めやしないからね。私だって、ハナのように就職先くらい自分で探せるさっ」
うんと頷く。
「そうだね。きっと二人はできるよ……。でも、私は……。だれかが助けてって助けを求められる場所を作りたい……だから頑張る」
ギルドが冒険者だけではなく冒険者を助けるための仕事をする人たちのカバーもしれくれれば。
ギルドのイメージは公平だ。ゲームや漫画のイメージがそのまま当てはまるのかは分からない。でも、イメージのままなら。
冒険者を中心に他のことにも手広く公平に手を出してもらえれば。
……まてよ?冒険者ギルド以外にギルドってあるのかな?商業ギルドとか魔法ギルドとか?ああ、まずい、まずはそれからだ。




