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神獣の愛し娘はポーション屋を追放されたので、お茶屋になりたい  作者: とまと(シリアス)


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「新入り33本、ノルマ+3本か。せっかく銅貨10枚にしてやったのに、たったの3本。ほらよっ!」

 店長がやってきて銅貨を30枚と初めての夕飯を手渡される。パン半分に、シチューのようなもの1杯だ。

「ダーナはノルマの25本+1本、ハナは今日はノルマ達成か。マチルダはずいぶん多いな。ノルマ20本に、34本もプラス……どういうことだ?」

 店長が不審な目をマチルダに向ける。

「新しい作り方を試しただけです」

「ふん、まぁいい。新しい作り方で数が増やせるなら他のやつらもマチルダを見習え。ダーナ、お前が一番少ないんだ。一番長くいるくせに。しっかりしろよ」

 店長に小言を言われたダーナが怒りに満ちた目を私に向けた。

 私のせいじゃないよね。他の人は私の足踏み式を見て取り入れた。ダーナは自分で今までのやり方を貫くことにしただけ。

 いつものように、ダーナとマチルダが仕事へと出て行く。

 そのあとでハナが籠を手にした。

「リョウナも行く?」

「あれ?ハナ、今日は作った分を全部出したんじゃないの?」

「ふふ、マチルダだって、全部で50本以上作れてたでしょ?私ももっとたくさん作れるわ。前にも言ったけれど、店長は借金を作らせていることで安心させるの。今日はちょっといつも通りの本数じゃ不審がられるかなってノルマ分提出したけどね」

 ハナがぱちんとウインクを飛ばした。

「私は今からもうちょっと作るから。行ってらっしゃい」

 ハナも考えてここから抜け出そうと努力している。

 板の下の穴に隠してある手動ミキサーセットを取り出し、ポーションを作り始める。

 今日の目標も300本。ディールのおかげで、言いがかりをつけてポーションの納品数をごまかされないで済みそうだから、毎日ノルマ分を達成しちゃえば、借金は増えていかないから、あっという間に返済できちゃう。寧ろ、もう少し長くここにいれば貯金もできるのでは?

 ガチャリとドアの開く音が聞こえる。

「あれ?忘れ物?」

 ハナが戻ってきたのかと振り向くと、そこにはダーナの姿があった。

 手動ミキサーに布をかぶせてとっさに隠す。

 ダーナがゆっくりと私に近づいてきた。

「助けを待って何が悪いの?」

 怒りに満ちた目だ。

 グイッと胸倉をつかまれた。

「何、見下した目をしてんだよっ。お前だって、ここに来るしかなかった同族だろ?同族のくせに……」

 すごい力で引っ張られ、服で首元が閉まる。

「助けてもらえるなら助けてもらえばいい、何が自分の力でだ。助けてと言っても誰も助けてくれない人間の気持ちがお前に分かるものかっ」

 グラグラとゆすぶられて、余計に首が閉まり、息ができない。苦しい。

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― 新着の感想 ―
[一言] ×助けを待つ 〇不幸仲間を増やして見下しゲラゲラ笑う …擦り切れたらとことん擦り切れるな…。
[一言] 助け出されるのを期待するといえば、ネズミの灰被り等の作品群についてアメリカの識者(支配階層の人たち)は自分の子供には見せないと言われています。 画一的な価値観を幼少の頃から押し付けて(庶民/…
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