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神獣の愛し娘はポーション屋を追放されたので、お茶屋になりたい  作者: とまと(シリアス)


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「快調、快調!」

 あっという間に、昨日の倍。200本はできたかな。合計で300本。……って、まだ借金返済には足りないのか。うーん。そもそも、今日は2本だか28本借金して、280本分。うえぇ。まとめてたたきつけてやるとか思ったけど、もしかして、無理げー?却下される分もあるだろうし。困ったな。

「いやいや、大丈夫でしょう。最大で1日300本の借金600本作れれば……」

 1時間ほどで200本。3時間ずつ作れば600本楽勝!よし、問題ない。

 いや、いちゃもんつけて品質に文句言われなければだよね。あとは、うん、そんなに大量の置いておく場所はないよなぁ。まとめてたたきつけるは無理か……。

 寝床用の板をめくって地面に掘った穴を見つめる。

 穴を拡張するにしても、板を支える面はいるわけだし、限界があるよねぇ…。1000本入るか入らないかってとこだよ。うーん、どうしたものか。

 カチャリとドアが開く音がした。

 やばい、やばい。見つかる。

 慌てて板を伏せて布をかぶせる。

「あ、ポーションを作っていたの?」

 しまった!

 まだ板の下にしまっていないポーションが20本ほど机の上に出しっぱなしだ。見つかった。

 月の淡い光を受けて、ポーションの瓶が浮かび上がっている。しっかりと、中に緑の液体が入っているのも見える。

 幸い帰って来たのはハナだ。内緒にしておいてとお願いすれば内緒にしておいてくれるよね?

 と、思ったら、ハナがすごい勢いでテーブルまで近づき、持っていた籠の中にポーションを放り込んだ。

「え、あの、ハナ?」

「時間が無いわ。来て!」

 ハナが戸惑う私の手をつかんでドアを開いて出て行く。

「ハナ?」

「しっ。静かに」

 はい。言われるままに口を閉じて、訳が分からないままハナに手を引かれて街中を進んでいく。

 裏通りらしい人気のない、月明かりも陰ってくらい道を進んでいく。

 コンコンッと、一つの小さなドアをハナがノックする。しばらくしてドアが内側に開いた。

「ハナ?さっき来たばかりだろう?何か忘れ物かい?」

 腰の曲がった老婆が姿を現した。

「追加でポーションを売りに来たの。作ったのはこの子。店長からクレームはないから品質に問題はないから」

 へ?売る?

「ああ、わかったよ。純度100%ポーション1本銅貨10枚、全部で20本あるね。銅貨200枚。銀貨でいいかい?」

 老婆が銀貨を2枚ハナに差し出すと、ハナは籠に入っていたポーションを老婆に渡した。

「いつもありがとう」

 ハナが小さく頭を下げると老婆がいししと笑う。

「いいってことよ。純度100%のポーションがあれば4本廉価ポーションが作れるからね。銅貨40枚になる。宿に泊まってる冒険者に飛ぶように売れるから何本あったってありがたいよ。またよろしく頼むよ」

 老婆が嬉しそうに笑ったままバタンと扉を閉めた。

「はい、これ。リョウナのお金よ」

 ハナが、老婆から受け取った銀貨を私の手に握らせた。

「え?あの?」

 急ぎ足でポーション屋に戻りながらハナが話始めた。

「あそこでは買い取り価格銅貨1枚でしょ。売りに来れば銅貨10枚になるの。私はノルマ25本。もし30本作ったとしたら、ノルマ25本と銅貨5枚にしかならない。でも売りに行けばノルマ25本と銅貨50枚になるわ」

 うん。確かにそうだ。

「だいたい、毎日10本~15本を売りに来ているの」

「え?でも、ノルマ……」

 ハナは毎日ノルマを達成できずにいたよね?私がポーションを渡した時以外。

「うん。分かるでしょ?店長はノルマを達成させたくないのよ。だから、達成できてないフリをしてるのよ。それで、売ってお金を貯めているの。あそこに居続ければ、薬葉もポーション瓶も自分で手に入れなくても済むから。もうとっくに借金返済のお金は貯めてあるわ」

 ハナがふふっと笑った。


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― 新着の感想 ―
[一言] 皆、脱出せずに続けているのは配偶者のDV受け入れている夫や妻みたいな精神状態なのかな???
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