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栄養が偏りそうだけれど、最悪作った青汁を飲めば野菜を補えそうではある。……青汁じゃなくてポーションだけれど。
食べ終えたら早速ポーションづくり。借金分もあるからできるだけたくさん作らないと。
昨日と同じように布に薬葉を包んで大きな木の器で挟んで踏み踏み。
「あ」
同じようにハナも作り始めた。
「あの、駄目ですか?」
「ううん、全然問題ないよ」
いつの間にかおきてきたのか、ダーナが私たちの姿を見て舌打ちした。
「問題に決まってるだろうっ!足で踏みつけたポーションを売っているなんて知られたら誰も買わなくなるでしょっ!」
ミミリアもまだいたようで、怒りに満ちた顔で、私の頬をぱぁーんとぶった。
「私の国では、ワインもうどんも、足で作る食べ物はいっぱいあったわ」
「うわー、最低な国ね!気持ち悪っ!」
ミミリアはそれだけ言ってぷいっと出て行った。
何が最低な国よ。何も知らない癖に。この世界の方がよほど……と、いう言葉は飲み込む。
よく知らないのに、決めつけては駄目。そういう先入観で見てしまえば、すべてが悪く見えてしまう。
パズ君はかわいかったし、ディールさんは親切だったし。月の精はとても神秘的で、それに、ハナもいい子だよね。起こしてくれたし。
瓶に詰めたポーションの数は午前中だけで40本。これなら1日の目標の50本を大幅にクリアできそうだ。
「チェックするわ」
ダーナが私の作ったポーションを持って行く。
「これは駄目、これも駄目ね。これは、まぁいいでしょう。こっちも駄目、全然駄目」
「何が駄目なんですか?」
そんな馬鹿な。昨日は店長に口の部分まで入れろと言われたからきちんと確認しながら入れたのに。
「あら、そんなの一目見れば一目瞭然じゃない、ねぇ?」
ダーナがマチルダを見る。
「ん、あ、ああ」
マチルダがあいまいな返事を返す。
「色、見て分かるでしょう?これがよくできたポーションの色、リョウナの作ったものは色が違うの、色が!」
光にすかして、ダーナの作ったポーションと比べられる。
確かに、色が違う。
ダーナの作ったものは、薬研ですりつぶしたものを布で絞っている。割と葉が細かくすりつぶされているようで、荒い布目を通った葉のカスが混ざりこんで濁りが濃い。
私が作ったものは、踏んで柔らかくして水分が出てきた葉を絞ったものだから、比較的葉のカスの混ざりが少なく色が薄い。
んー、白いリンゴジュースと黄色いリンゴジュースとまではいわないけど、確かに同じものから作ったけれど違う?
「店長は何も言わなかったけれど……」
「そっ」
私の言葉にダーナが口ごもる。
「そんなの、夜に回収だから、色なんて見えないわよ!とにかく、これはいいけど、こっちは駄目、全然駄目!」
40本作ったものの、オッケーが出たのは2本だけだ。器の最後の方を注いだものだろう。
ディールさんが言っていた。それなりの効果があるポーションを売っているところは腕のいい職人を雇っていると。やはり、いくら誰でも作れるといっても、差が出るのは仕方がないのだ。
どうしようか。
今の作り方をしていては、本数は増えてもダーナの言う濁りのあるものは作れない。ミカンやレモンをぎゅっと絞って出た果汁のような物ではなく、どちらかといえば、ジューサーで野菜を丸ごと粉砕した物を作らなければならないようだ。
だから、すり鉢や薬研を使っていたのか……。
ジューサー……。作れないかな。
電気はない。ぐるぐる高速回転させる仕組みがあれば。
刃になる部分の形は覚えている。上向きの刃と下向きの刃。
GWも終わっちゃいましたね。というわけで、本日より更新は1日1回です。のんびりお付き合いください。