表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/97

26

 栄養が偏りそうだけれど、最悪作った青汁を飲めば野菜を補えそうではある。……青汁じゃなくてポーションだけれど。

 食べ終えたら早速ポーションづくり。借金分もあるからできるだけたくさん作らないと。

 昨日と同じように布に薬葉を包んで大きな木の器で挟んで踏み踏み。

「あ」

 同じようにハナも作り始めた。

「あの、駄目ですか?」

「ううん、全然問題ないよ」

 いつの間にかおきてきたのか、ダーナが私たちの姿を見て舌打ちした。

「問題に決まってるだろうっ!足で踏みつけたポーションを売っているなんて知られたら誰も買わなくなるでしょっ!」

 ミミリアもまだいたようで、怒りに満ちた顔で、私の頬をぱぁーんとぶった。

「私の国では、ワインもうどんも、足で作る食べ物はいっぱいあったわ」

「うわー、最低な国ね!気持ち悪っ!」

 ミミリアはそれだけ言ってぷいっと出て行った。

 何が最低な国よ。何も知らない癖に。この世界の方がよほど……と、いう言葉は飲み込む。

 よく知らないのに、決めつけては駄目。そういう先入観で見てしまえば、すべてが悪く見えてしまう。

 パズ君はかわいかったし、ディールさんは親切だったし。月の精はとても神秘的で、それに、ハナもいい子だよね。起こしてくれたし。

 瓶に詰めたポーションの数は午前中だけで40本。これなら1日の目標の50本を大幅にクリアできそうだ。

「チェックするわ」

 ダーナが私の作ったポーションを持って行く。

「これは駄目、これも駄目ね。これは、まぁいいでしょう。こっちも駄目、全然駄目」

「何が駄目なんですか?」

 そんな馬鹿な。昨日は店長に口の部分まで入れろと言われたからきちんと確認しながら入れたのに。

「あら、そんなの一目見れば一目瞭然じゃない、ねぇ?」

 ダーナがマチルダを見る。

「ん、あ、ああ」

 マチルダがあいまいな返事を返す。

「色、見て分かるでしょう?これがよくできたポーションの色、リョウナの作ったものは色が違うの、色が!」

 光にすかして、ダーナの作ったポーションと比べられる。

 確かに、色が違う。

 ダーナの作ったものは、薬研ですりつぶしたものを布で絞っている。割と葉が細かくすりつぶされているようで、荒い布目を通った葉のカスが混ざりこんで濁りが濃い。

 私が作ったものは、踏んで柔らかくして水分が出てきた葉を絞ったものだから、比較的葉のカスの混ざりが少なく色が薄い。

 んー、白いリンゴジュースと黄色いリンゴジュースとまではいわないけど、確かに同じものから作ったけれど違う?

「店長は何も言わなかったけれど……」

「そっ」

 私の言葉にダーナが口ごもる。

「そんなの、夜に回収だから、色なんて見えないわよ!とにかく、これはいいけど、こっちは駄目、全然駄目!」

 40本作ったものの、オッケーが出たのは2本だけだ。器の最後の方を注いだものだろう。

 ディールさんが言っていた。それなりの効果があるポーションを売っているところは腕のいい職人を雇っていると。やはり、いくら誰でも作れるといっても、差が出るのは仕方がないのだ。

 どうしようか。

 今の作り方をしていては、本数は増えてもダーナの言う濁りのあるものは作れない。ミカンやレモンをぎゅっと絞って出た果汁のような物ではなく、どちらかといえば、ジューサーで野菜を丸ごと粉砕した物を作らなければならないようだ。

 だから、すり鉢や薬研を使っていたのか……。

 ジューサー……。作れないかな。

 電気はない。ぐるぐる高速回転させる仕組みがあれば。

 刃になる部分の形は覚えている。上向きの刃と下向きの刃。


GWも終わっちゃいましたね。というわけで、本日より更新は1日1回です。のんびりお付き合いください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 果肉がたっぷり入ったネクター。 日本では野放しですが、欧米ではかなり細かな法令上の規定があるようですね。 ドイツのビール法、フランスのワイン法、英国のウィスキー法、米国のバーボン法等々に対…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ