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第14話 ついに地上へ 修行の成果”ビビッドフレア”!!

 「あー、ここも違う…!」

 そう言って、扉を気づかれないように閉めた。ここは子供部屋か。中ではオークの子供が数匹じゃれ合っていた。


 食べ物とかの関係上、オークの巣は地上に繋がっている可能性が高いため、俺たちはその出口を探っているが、迷路のように複雑になっており、扉があるごとにしらみつぶしに調べている状況だ。

 もちろん、今の様に中に奴らがいることもあるが、感知能力が低いらしい、気を付けていれば大丈夫とのことだ。


 「ってことは、さっきの道を左っぽいですね!」

 俺はそう言ってイリスさんの方を向いたが、彼女は顔を背ける。

 「どうしたんです??」


 「……いや、その!--痛そうだなって…」

 彼女は俺の腫れた左の頬を見て、後ろめたそうに言った。

 先程の牢屋での話だが、どうやらキスはやり過ぎてしまったらしく、顔面に一発くらってしまった。

 

 「本当にすまない…君の作戦のお陰でこうして出られているのにな..何せ、あんなの初めてだったもので…」


 彼女は、唇を軽く押さえて、うつむく。中将と言えど中身は1人の女の子か、なんだかちょっと安心した。


 「いや、僕も悪かったし、全然気にしていませんよ..!それにしても、こっちの道、長いですね..」

 さりげなく話題を変えてみた。いつまた戦闘になるかもわからない。気を引き締めていなければ。


 「..そうだな、もしかしたら出口は、この道の先かもしれないな。」

 イリスさんはそう言って、自分の頬をパチッと叩いた。切り替えてくれたようだ。

 すると、見計らったかのように道の先にオークが3体、現れた。突然の出現から察するに、この奥には階段のようなものがあるに違いない。

 それに奴らの持ち物、木の実のようなものを抱えていた。


 「どうやら、ビンゴみたいですね!ジェシカを頼みましたよ!」

 俺は抱えていた少女を彼女に託すと、空気を目一杯吸い込んだ。

 敵数3、狭めの通路で逃げ場なし!敵もこちらに気づいたようだ、木の実を置いて金棒を構えた。

 よし、ここは教わった広範囲魔法で一気に片を付けるっ。


 「炎魔法 ”ビビッドフレイム”!!」

 俺が勢いよく吹き出した炎は、通路を隙間なく埋め、奴らのほうへと向かった。


 ***

 

 「すごいなセシル、こんな魔法を使えるなんて..」

 黒焦げになって倒れているオークを見て、イリスさんは言った。生命力の強い奴らのことだ、このくらいで死んだりはしないだろうが、当分は動けないだろう。


 壁に取り付けられた松明で照らされた階段は、先が全く見えないほど長く、上るのは骨が折れそうだ。

 しかし、何はともあれ、これでやっと地上に出られそうだ。


 *****


 「うーん..?あれ?私、また寝ちゃってた?」

 地上に出て数分、と言ったところか、ジェシカが目を覚ました。

 

 「おう、ジェシカ、どうだ?俺の背中の寝心地は。」

 俺の言葉に彼女は、子ども扱いしないでよっ、といった感じにふくれた。


 「ところで、イリスお姉さんは?」

 

 「ああ、あの人なら今、周囲の探索してくれてるよ。困ったことに、道がわからなくって..」

 そう、地上に出たはいいが、俺もイリスさんも、どっちがジェシカの村の方角なのか見当もつかなかった。


 「えー、スーパーヒーローなのに道わかんないの~??

 私のおうちはあっちだよ!じゅっぷんぐらいでつくから、助けてくれたお礼に、2人は私のお部屋に招待してあげる!」

 そう言って、ジェイカはうっそうとした木々が生い茂る方を指さした。


 「......ホントにあっち?」

 

 「...た、たぶん..」

 当の本人も、自信を無くしてしまったが、彼女の言っていたことが正しかったということはすぐに分かった。


 「おーい、セシル、あっちに集落を見つけたぞ!」

 ジェシカが指さしたのと同じ方向から、イリスさんが戻ってくる。


 「やったー、ほら、やっぱりジェシカ、あってたでしょ!」

 彼女は満面の笑みをこちらに向ける。


 「お、ジェシカ、起きたのか!君のおうちを見つけたよ!」

 イリスさんは、お姉さんをほめて、と言わんばかりにアピールする。


 「うん、ありがと、イリスお姉さん!セシルお兄ちゃんも!」

 彼女もそれに笑顔で答える。なんだかとても気持ちが和んだ。


 **


 俺たちは、彼女の集落につくまでの間、最後の散歩を楽しんだ。

 そして集落が見えてきたといったところで、ジェシカはふらふらと歩調が合わなくなった。イリスさんの闇魔法が効いてきたようだ。魔法と言っても、軽く眠気を誘う程度のもので、医療にも使われる安全なものだそうだ。


 「あれぇ?わたし、なんだかまた眠く..」


 「そんなに急がないし、少し休もうか、ジェシカ。」

 

 俺たちはちょうどいいスペースを森の中に見つけ、座り込んだ。


 「それにしても、今日はいろいろあったなぁ..」

 俺は他愛もない雑談を始める。

 しかし、ジェシカはこれからのことを察していたのかもしれない。


 「2人とも..どこにも行かないよね?ごめんなさい、ここで寝ちゃったら、もう会えなくなっちゃうような気がして..」

 そう、悲しそうな顔をしていったのだった。

 「--あっ....」

 何か言おうとしたイリスさんを止める。余計なことを言っても、別れがつらくなるだけだ。


 「安心しろ、ジェシカ。お前は俺たちが責任をもって送り届ける。そう言ったろう?」


 「..そうだね、じゃあ、約束だよ?」

 彼女は俺たちの小指を両手で握った。


 「ゆーびきーり、げーん...まー.....」


 「おっとっ。」

 そこまで言って、地面に倒れこみそうになったジェシカを、俺はキャッチした。


 「じゃあ、行ってきます。仮にもユーレリアの支配地区です、俺に任せて忍び込むなんて、バカなことしないでくださいよ。」


 「ああ..任せたぞ。」

 

 ***** 

 

 俺はジェシカの家に行き、両親にはばれないように、彼女を布団の上に寝かせてやった。

 彼女の家は、その辺にいた人に《子供探している人の家》を探していると聞いて一発だった。ジェシカのラストネームと同じだったので間違いない。

 そう、すべて夢だと思ってくれたら、彼女にとって、きっとそれが一番だ。


 ***


 さて、俺は、敵国の兵士を助けるため、上官の作戦に泥を塗った新兵なわけだが、帰還したら、どうなるんだろうか..

 そんなことを考えながら、俺はイリスさんの元へと戻る。

 あれだけ心配していたんだ、俺には無事に送り届けたことを報告する義務があるだろう。


 「そうか...よかった。」

 俺の報告を聞いて、彼女は心底安心したようだった。


 「...これで、俺たちの奇妙な関係も終わりですね。」

 

 「ああ..しかし、君には何度も驚かされたよ。絶体絶命のピンチから、私たちを救ってくれた。」

 彼女は真剣な面持ちでこちらを見つめた。

 

 「そんな..俺は大したことないですよ...何度も迷惑を掛けました。」


 「君の強さははっきり言って異常だ..戦闘力もそうだが...卓越した判断力、とても新兵は思えない。」


 「私はね、セシル、今回の件で思ったんだ、早く戦争を終わらせなければ....ガイル、ユーレリアに関わらず、民間人が危険に晒される、なんてあってはならない。」

 彼女は剣を抜いた。

 「それも、仲間のためにも、ガイルの勝利をもって、だ。君のような優秀な人材が、ユーレリア側に出てきては困るんだよ..」

 

 「冗談はやめてくださいよ..!」

 俺は彼女に向かって大声を出す。

 

 「冗談..??冗談かどうかは、私の剣を見て判断してよ..!」

 そう言って彼女は、俺めがけて剣を振りぬいた。


 

  皆さん、こんにちは!作者です。


 第14話いかがだったでしょうか?


 「怒涛のラストスパート!!」


 正直、この物語をどれ程の方に閲覧していただけているか、わかりませんが、もし、気に入ってくれた方がいらっしゃいましたら、【公告の下にある、★マークから積極的に評価】や、【ブックマーク】していただけると、大変励みになります。


 また、感想などもらえたら今後の執筆活動(ちょっと偉そうですが…)の参考にさせて頂こうと思っているので、時間のあるときにでも、ぜひ、お願い致します!


 以上、最後の戯れ言までお付き合い頂いた方、もちろん、物語を読んで頂いた方も、ありがとうございました。


 今後とも、よろしくお願い致します。


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