第13話 オークの巣
「うっ……」
頭が痛い。
気がつくと薄汚いベッドの上に寝ていた。
俺は起き上がって周りを見渡す。目の前に鉄格子がある。どうやら捕まってしまったようだ。部屋の広さは10畳ほどだろうか、オレンジ色の明かりでぼぅっと照らされている。
「起きたか!セシル。」
格子の側にいたイリスさんが、こちらを振り向く。
彼女は、あれから何があったかを説明してくれた。
「すまない、ジェシカを人質に取られてしまって…どうしようもなかった。」
そう言って彼女は隣のベッドに目を移す。
見ると、ジェシカはすやすやと眠っていた。良かった、無事だった様だ。
「イリスさんは悪くないですよ、簡単に敵の手に落ちた僕のミスです…」
俺は、そう言って立ち上がると足の違和感に気づいた。
見れば、足首の辺りに石の輪っかのようなものがついていた。
逃げにくくするための重石のようなものだろうか?しかし、気にしてもいられない。
「とりあえず、この格子を破りましょうか。イリスさん、ジェシカをお願いします。」
俺たちのいる牢屋の前には、看守なのだろう、オークの姿があったが、あれくらいなら問題なく倒せるだろう。
魔力を手のひらに集める。“アクアブレッド”の準備だ。
しかし、いつものようにいかない。魔力はまだ残っているはずだが、うまく変換できなかった。
「足についている、《封魔石》の影響だよ、それが体に触れていると魔法が出せなくなってしまう。じゃなきゃ、私が今までじっとしていたと思うか?」
そんなものがあるなんて....しかし、今回は八方ふさがりというわけではなさそうだ。
「イリスさん、あなたの協力があればこの状況、打開できるかもしれないです..!ちょうどジェシカも寝ていることですし、大人の作戦といきましょう。」
*****
「あーあ、俺もここまでかぁ、でも、最後に女とおんなじ牢屋に入れてくれるとは、あんたもわかってんなぁ!」
そう言って、俺は部屋の前の見張りへと語りかけた。そう、ポイントは、オークであること。こいつらはどんな世界でも、単細胞で性欲が強いって相場が決まってる。
「なあ、イリスさん、どうせ後で汚れちまうんだ、その前に少しくらい、いいだろ??」
俺は精一杯悪い顔をして、彼女をベッドの上に押し倒す。もちろんこれは演技だ。本当にこんなことをしたら、ぶん殴られて気絶するのがいいところだろう。
「アー、ヤメテーッ」
いつでも抵抗できるからか、彼女の演技には全く真に迫ったものがない。
そこで俺は、とっさに彼女の唇を奪った。申し訳ないとは思ったが、作戦の成功には欠かせないプロセスだ、もちろん、下心はみじんもない、たぶん。
「んあっ..//も、もう少し優しくしてくれないか..?」
突然のことで驚いたのか、彼女の頬は紅潮し、力ない声を出した。
やばい、可愛いすぎる..しかし、これならいけるっ!
「おい、あんた!一緒にどうだ?そんなところにいないで、しっしょに盛り上がろうぜ!」
俺はこちらを凝視していたオークを誘う。すると、奴は思惑通りこちらに来て、牢屋のカギを開ける。
室内へと侵入した巨体は、俺の体をベッドから投げ飛ばした。
「おぶべぶわぁぁ!!」
奇声を上げてイリスさんの上にのしかかろうとするオーク、しかしその首を、彼女は容赦なくへし折ってみせた。
先ほどの奇声でほかの魔族が集まってくるとまずい、俺はオークが座っていた場所から発見した鍵で、3人分の”封魔石”を外した。
眠そうなジェシカを抱え、俺たちは先へと急いだ。
皆さん、こんにちは!作者です。
第13話いかがだったでしょうか?
「13という数字が何を示すかわかりますか?
--決して話数に合わせたわけではありませんが、
正解は、俺が今日、呪ったリア充カップルたちの数です。
あんなにかわいい幼馴染がいながら、ほかの女性に手を出したセシル君も、いつか僕が呪います!」
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