5 生徒会入りですか?
「生徒会……? 俺たちが?」
嵐ヶ丘会長の言葉を、オウムのように復唱する。
隣の雨宮さんも可愛くきょとんとしていた。
なんだこれは、急展開だ。
会長は隙のない笑みのまま、ニコニコと理由を語る。
「知っているかもしれないけど、今季の生徒会は三年の生徒会長である私と、同じく三年の副会長くん。それから一年で書記の雲雀ちゃんしかいなくて、会計と庶務の席が空いているの」
「な、なぜそんな空きが……」
「ん? 私が生徒会メンバーにしたいと思うような、気に入る相手がいなかったからよ」
なにか問題が?
……と、普通のトーンで返す嵐ヶ丘会長は、見た目も話し方もおっとりしているのに、実はけっこう暴君なのかもしれない。
「ええっと、それはつまり会長が、俺と雨宮さんを気に入ったということで……でも、どうして俺なんですか」
雨宮さんならわかる。
頭もいいし、可愛いし、先生方からの評判もいいし、可愛いし。生まれ変わった影響で、今注目の人物という点もあるだろう。
一方でhikariにならない俺なんて、嵐ヶ丘会長の目に留まる要素はなにもないはずだ。モブの一般男子生徒なのだから。
けれど俺のもっともなはずの疑問に、会長は「私って面白い子が好きなの」と笑みを深める。
「雨宮ちゃんも、晴間くんも、傍目で見ているだけでもとっても興味深くて面白いわ。今まで気付かなかったのが残念なくらい」
「は、はあ……」
「それに晴間くんは魅力たっぷりよ。ねぇ、雨宮ちゃんに雲雀ちゃん?」
スッと会長は、固い面持ちで耳を傾けていた雨宮さん、それからちょうどトレーを携えて戻ってきた雲雀に、視線を順番にやる。
先に答えたのは雨宮さんで、「そっ! それはもちろん!」と拳を握って前のめりになった。
「晴間くんは本当に凄い人なんです! 優しくてカッコよくて、いつも眩しくて、暗かった私を変えてくれたのは彼でして……! うちの家族にも懐かれていて、それは晴間くんが面倒見もいいからで……っ」
「あ、雨宮さん、雨宮さん……どうかそのくらいで頼む」
必死な顔で言い募る雨宮さんの褒め殺しに、俺は素で照れて顔が熱い。雨宮さんもスイッチが切れたようで、カアアアッと効果音がつきそうなほど一気に真っ赤になってしまう。
ふたりして茹で上がる俺たちを前に、会長は非常に楽しそうだ。
「あらあら、ラブラブなのね。雲雀ちゃんはどうかしら? 晴間くんの魅力について」
「……まあ、おかしな人ですよ。鈍いところは腹立ちますが、一緒にいて嫌ではない……ところは、魅力と言えるんじゃないですか」
ツンッと言い放って、雲雀はさっさと紅茶の淹れられたカップを並べていく。お高そうなクッキーの載ったお皿も真ん中に置くと、艶やかな黒髪を揺らして、さっさと会長の横に腰かけた。
今のは俺、褒められたのか……?
「雲雀ちゃんの方は素直じゃないわね」
「うるさいですよ、会長。それより本題の続きを」
雲雀に促されて、会長が話を戻す。
「あなた達のお仕事は、そう難しくないわ。会計さんの方がちょっと業務は多いかもしれないけれど、毎日活動するわけではないから。主に月末恒例の部活動の監査や、行事ごとで働いてもらうくらいかしら。あとは私の気分次第ね」
「最後のが意味深で怖いんですが」
「もちろん無理強いはしないけれども、生徒会に入ればいろいろ特典もあるのよ?」
俺のツッコミは華麗にスルーされた。
やっぱり手強いぞ、この人。
本日、書籍発売ですー!!!
よかったらWEB版との違いを楽しんでもらえたら嬉しいです!





