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【書籍&コミック4巻発売中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
二章

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41/112

16 私だけを

「距離近すぎ! 雫姉にセクハラ働きすぎ! マイナス100点!」 

「でも雫姉の気持ちをちゃんと考えていることはわかった! 悔しいけどプラス100点!」

「あとはなんやかんや」

「総合して」

「「とりあえず0点!」」



 結局0点かよ!  


 という俺のツッコミも虚しく、双子は俺にキシャー! と荒ぶる猫のように飛びかかってきた。

 そしてコイツら、さっきまでの俺と雨宮さんのやり取りを盗み聞きしていたな!?



「あんたが雫姉を変えてみせるっていうなら! 応援してやらないでもないけど!」

「思っていた以上にいい感じなのが腹立つのー! このこの、このモヤシ野郎!」

「うわ、リコーダーをピーピー耳元で鳴らすの止めろ! 不快だ! おい、その赤いシートを頬っぺたにくっつけるな! こっちも不快だ! あと俺は別にもやしじゃねえ!」



 女装に適したしなやかな体型と言ってくれ!



 双子にもみくちゃにされながら、俺は地味な嫌がらせを受け続ける。

 そんな俺たちを見て、雨宮さんは「いつの間にか仲良くなったんだね、よかった」と胸を撫で下ろしているようだった。



 どこからどう見ても仲良くはないが。

 うん、ちょっと天然な雨宮さんも可愛いからオーケー!



「デレデレするなー!」

「するなー!」

「うわ、やめろって」


 それからしばらく双子たちと格闘して、解放される頃には俺はヨレヨレだった。

 ひどい目にあったぜ……。


「澪ちゃんと霞ちゃんが、晴間くんに懐いてくれてよかった。あのふたり、すごい警戒心強いからなかなか初対面の人には懐かないんだけど、さすが晴間くんだね」

「警戒心強いのはわかるけど……」


 あれは懐かれたのか?


 今、俺はそろそろいい加減お暇しようかと、雨宮さんに見送られる形で玄関に立っている。

 弟くんの服はこのまま借りて、後日洗って返すことにした。濡れた俺の服は、ビニール袋に入れてちゃんと右手に携えている。


 上がり框に立つ雨宮さんは、どこか吹っ切れたような表情で俺を見つめている。


「あ、あのね、晴間くん。私ね、頑張るから」

「おう」

「変わりたいって言葉、明日から……ううん、今この瞬間から、ちゃんと実行する! いつか晴間くんと、お、恐れ多いけど、hikariさんとも並べる『可愛い』人になってみせるから!」


 もうすでにhikariを超えているんだけどなあ……と、hikari本人としては思うのだが、余計なことは言わず「雨宮さんなら余裕だ!」とグーサインを出しておく。


「だ、だからね」

「ん?」


 ちょいちょいと雨宮さんに手招きされ、俺は玄関の戸口にかけていた手を離し、反射的に近付いた。雨宮さんは内緒話でもするように、俺の耳元でこそっと囁く。



「それまで晴間くんは――私だけを、見ていてください」



 頬に雨宮さんの髪が触れてこそばゆい。



 ああ、本当に雨宮さんは可愛いなあ。

 それまでもその先も、俺はずっと雨宮さんしか見えていないのに。



「ご、ごめんね! じゃ、じゃあ、気をつけて帰ってね」

「お、おう」


 ぎこちなく体を離し、俺は今度こそ戸を開けた。

 しかしそこで次は、雨宮さんの後ろから双子がバタバタと慌ただしく駆けてくる。


「なになに、もうアイツ帰っちゃうの?」

「まだ零にも霰にも会わせていないのに?」


 双子は雨宮さんの後ろにサッと隠れて、右から澪ちゃん、左から霞ちゃんが、こちらを窺うように顔だけ出している。



「で、今度はいつ来るわけ? ……ハレ兄」

「まだ合格点を取ってないんだから、取りに来なよね、ハレ兄」



 ……驚いた。

 俺はマジのマジで懐かれたらしい。


 

「まあ……また機会があればお邪魔させてもらうよ」

「さっさと来てよ! 私たちより厳しい零の審査が待っているんだから!」

「ハレ兄じゃ絶対クリアできないだろうけど、私たちがちょっとは応援してあげてもいいかもなんだからね!」

「わかった、わかった」


 素直ではない双子の言葉に苦笑しながら、ふふっと微笑ましそうに笑っている雨宮さんに手を振って、俺は雨宮さんハウスを後にしたのだった。

次で2章ラスト、あとオマケに雷架視点あります!

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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど小学生ハーレム。なるほど。 ここらで変化球をと考えた結果、世間的な代表作でヒロイン殺してますし、そろそろヒーロー殺しとく?って選択肢が頭をよぎったんですがどうですかね。
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