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【書籍&コミック4巻発売中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
二章

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37/112

12 雨宮さん家の双子は小生意気

「え、ええっと、雨宮さんの妹だよな? 双子の……」

「うん、私は霞」

「そして私は澪」

「うわっ!」


 ひとりだけかと思ったら、もうひとり横からヌッと現れた。

 揃った双子の顔は一卵性なのかそっくりだが、後から現れた方は髪型をポニーテールにしている。 


 ツインテールなのは霞。

 ポニーテールなのは澪。


 髪型が違っていてくれて助かった、じゃないと服もお揃いのターコイズブルーのパーカーワンピースなので見分けがつかなかった。



「おにいさんは? 雫姉のなに?」

「お名前は?」



 双子らしい連携で交互に尋ねられる。


 一階に下りた雨宮さんとはすれ違いになったのか、霞ちゃんも澪ちゃんも、俺がここにいる事情を雨宮さんから聞いていないみたいだ。


「えっと、俺は晴間っていうんだ。雨宮さんの学校の友達で、服が不幸なアクシデントで濡れたから、ちょっと着替えを借りているところ。……というかいい加減、君たちも部屋の中で話さないか?」


 双子は警戒しているのか、ドアの隙間から覗き見ている体勢のままだ。不審者として扱われているようで地味に心にくる。


「ねえ、霞。晴間って……」

「うん、あの晴間だと思うよ、澪」



 いや、どの晴間?



 双子はなにやら不穏なやり取りをしたあと、ようやく部屋に入ってきた。


 小学校五、六年生くらいだとは思うのだが、近くで見るとふたりとも雨宮さんに似て、将来有望そうな美少女だ。

 むしろリトル雨宮さん。

 だけど雨宮さんより勝ち気というか、どちらも小生意気な雰囲気なので、小さい双子の女王様って感じがする。 


 そんな双子の女王様たちは、俺をじろじろと値踏みするように凝視してくる。


「うーん、第一印象は42点かな。雫姉が『カッコよくて優しくてあと可愛い』なんてべた褒めするから、どんな人かと思ったら普通じゃん。普通の男子じゃん」

「雫姉を騙しているなら許さないし、私は35点。この人が本当に、雫姉の大好きな『晴間くん』なの? 偽物じゃない?」


 小学生の口から出るとは思えない辛辣な言葉に、グサグサめった刺しにされて、俺はなにやらもっとすごいことを聞き逃した気もするが、チーンと撃沈する。



 今時の小学生女子ってこんな怖いのか?

 これなら合法ロリ妖怪なココロさんの方がまだ人間味があるぞ。


 むしろ俺、なんか敵視されている……?



「え、ええっと、俺は君たちと初対面のはずだけど、君たちに嫌われるようなことしたかな?」

「ふむ、性格は今のところ悪くなさそうだけど、私たちが小学生だからって舐めているのかも。プラス5点してやっぱりマイナス8点」

「私もプラス8点してマイナス10点」


 おい、どっちも結局マイナスじゃねえか。


「でもね、澪。大事なのは雫姉にとって害を及ぼすかどうかだから」

「そうだね、霞。うるさいブラコンの零の代わりに、私たちが見極めなきゃ」


 双子は体を寄せ合って、丸聞こえなヒソヒソ話をする。

 どうやら俺は、雨宮さんの友人としてふさわしいかどうか、ごきょうだいによる審査を受けている真っ最中らしい。


 そういうことか。

 ならば受けて立とう。


「俺は雨宮さんに害なんて及ぼさないよ。逆に及ぼす奴を排除する心構えだ!」

「ふーん。今のが本当ならプラス30点だけど、じゃあテストね」

「ズバリ、雫姉のことはどう思っている?」

「可愛い。マジで可愛い。この世で一番可愛いと言っても過言ではないほど可愛い」

「雫姉のいいところ言える?」

「最低十個ね」

「そんな簡単でいいのか? まず優しいし、人への気遣いが女神だし、可愛いし、頑張り屋だし、真面目だし、可愛いし……」

「雫姉の好物は知っている?」

「これくらいは知っていて欲しいよね」

「いや余裕だろ、どら焼き!」


 質問攻めにあいながらも、俺も一歩も退かずに答えていけば、どうにか俺への点数評価はふたりとも60点代まで跳ね上がった。


 それでも厳しい。なんだこの厳しさ。


「ふんっ、意外とやるじゃん、おにいさん」 

「じゃあ次は……」


 双子がまだまだ続けようとしたところで、開きっぱにしてあったドアから「こ、こら! 霞も澪もなにしているの!」と雨宮さんが戻ってきた。


 雨宮さんが携えるシックなお盆には、グラスに入った麦茶に、袋入りお煎餅が。俺へのおもてなしセットだよな。その実家のお母さんみたいなセットに、素朴な雨宮さんらしさを感じて妙にほんわかする。



 一方で、雨宮さんの登場に双子はツインテールとポニーテールを跳ねさせ、ギクリと体を強ばらせる。



「ちょ、ちょっと噂の晴間くんを試しただけだもん……だって『また』、ろくでもない男に、雫姉が傷つけられることあったらイヤだし」

「事前調査は大切だって、学校の先生も言っていたよ。雫姉はお人好しだから、私たちが守らなきゃいけないんだもん……」


 雨宮さんの前では急にしおらしくなる双子。

 こうしていると、多少愛らしくないこともない。



 しかし、ろくでもない男とは……?

 雨宮さんの過去をほのめかす言葉に、俺は自然と眉が寄る。



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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[一言] また……?と不穏な空気を匂わせるものの、でも作者肌さんだしなぁと思うと鎮火する。これが作者追いによる信頼、あるいは手癖読み……!
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