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【書籍&コミック4巻発売中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
一章

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21/111

16.5 雨宮さんの迷走②

 まさかの問いかけに素っ頓狂な声を挙げてしまう。


 モデルって、hikariさんと同じように、ブランドの顔としてお洋服を着て写真を撮られてサイトに載って……ってことだよね?



 私は「無理無理無理、無理です!」と首を激しく横に振る。

 私がモデルなんて身の程知らずもいいところだよ!



「まあ、今はそう言うだろうけどさ。雫ちゃんならイケると思うんだよね、hikariの相方役も」

「hikariさんの相方……?」

「うちの社長、つまり光輝くんの従姉妹のお姉さんね。彼女がさ、hikariとセットで活動する新しいモデルの子を、前からずっと探しているの。だけどお眼鏡に叶う子がなかなかいなくて困っていて」


 それは難しいだろうなと、私も思う。

 だってhikariさんに並ぶくらい可愛くなくちゃいけないんだよ? そんなの難題すぎる。


「もし雫ちゃんがその気になったら、光輝くんに申し出るでもいいし、私に連絡するでもいいし、ぜひ教えて欲しいな! 今はまだ社長には秘密だけど、そのときは私からも推薦するから。これ、私の名刺。一応渡しておくね」


 車が赤信号で止まったときに、ココロさんはどこからともなく名刺を取り出して、サッと私に差し出した。

 会社支給の名刺ではなく個人用のようで、真っ赤なカードに星やドクロマークが散っている。


 そして、人生初の名刺をおずおず受け取る私に、ココロさんは楽しそうに言ったのだ。



「あの光輝くんがさ、女の子にあそこまで『可愛い』って連呼するの、私は初めて聞いたよ。仕事柄、他のモデルさんとだって会う機会はあるんだけど、光輝くんは『でも俺が一番可愛い』が定型文だったから。だから雫ちゃんは、もっと自信持てばいいよ」



 ※



「自信かあ……」


 安物ベッドに転がって、ココロさんの名刺を電球の明かりに透かす。


 ああ言ってくれたココロさんには申し訳ないけど、私にモデルなんて100万年早いって思う。

 hikariさんの……晴間くんの隣に立てることには、夢見ちゃうけど。


「……そうだ、晴間くんに今日のお礼のメッセージを送らないと」


 何度もお礼を言うのも鬱陶しいかなと悩むけど、何度言っても言い足りないし……『メッセージのやり取りは勇気を持って小まめにするべし!』って、hikariさんが表紙を飾った雑誌の、なにかの特集ページにも書いてあった気がする。

 なんの特集だったかな?


「前に送った文面は固すぎたから、もっと気軽な感じで……ま、また遊びに行きたいとか、書いちゃっても大丈夫かなっ? 厚かましくないようにさりげなく……あ、あれ、変換がおかしく……!」


 固すぎる文を書き換えたり、私の願望のくだりを消したりまた書いたりを繰り返していたら、手が滑って気付けば誤字だらけの酷い文が生まれていた。


 慌てて修正していこうとしたのに、誤ってそのまま送信ボタンを押してしまう。


「ああっ!」


 私のバカ!


 急いで『ごめんなさい! 誤字です!』『正しく送りたかったのはこちらです!』と謝罪して、今度こそ打ち直した訂正文を送る。

 その訂正文にも送ったあとに誤字が発覚して、なんかもう土に埋まりたくなったけど、晴間くんはあえてスルーして返信をくれた。



『俺も楽しかったよ。またぜひ行こう』



 ……晴間くんは、やっぱり優しい。



 そうしみじみと感じると同時に、ココロさんに遮られて言えなかったことを、いま聞かれなくてよかったと安堵する。

 私自身でもわからないことなんて、答えようがない。



 あのとき私は本当に、なんと言おうとしたのかな?



 悶々と考える。


 明日は学校があるのに。

 どうも今夜はなかなか眠れそうにないよ。



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書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
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