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【書籍3巻&コミカライズ連載中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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35 雨宮さんの涙

大変お待たせ致しました……!

こちらの連載も再開させて頂きます!

 プロモーションタイムは十分程度ながら、まさに大成功な出来で終了。


 しかし俺は、驚天動地な光景をステージから目にしてしまい、それどころではなかった。

 何故か、本当に何故か……。

 hikariである俺の姿を見上げながら、観客席にいる雨宮さんが泣いていたんだ。


 一大事である。


 絶えない歓声を背にステージから下りた俺は、浴衣をたくし上げてすぐさま猛ダッシュしようとして、まだhayateモードの会長にすかさず止められた。


「こらこら、着替えもせずどこに行くんだい?」

「雨宮さんのところですよ! 何事かわかりませんが泣いていたんです!」


 ここは舞台裏でスタッフさんたちもいるため、俺の方は小声で素だ。あんな雨宮さんを目撃したら素になるしかない。


「泣いていた……って、ステージから見えたのかい?」

「俺は百万人いても雨宮さんなら裸眼で見つけられるんで!」

「君って想像以上に愛が深いな」


 hayateが感嘆の息を吐いている。


 百万人が誇張表現だったとしても、あんなわかりやすい位置にいる雨宮さんを俺がスルーするものか。


 水着+青シャツの雨宮さんは華奢な感じがより出ていて可愛かった。とんでも柄のシャツとかじゃなかったのもよし。


 ただ雨宮さんに意識を取られすぎてはいけないので、頑張ってhikariな俺をキープしていたのだ。


 しかし……パフォーマンス代わりに抹茶ドリンクを飲んでみせた後、パチッと雨宮さんと目が合った。彼女の瞳は潤んで確実に泣いていたし、ラストの方は雷架たちに気遣われながらそそくさと退場していた。


 いったい彼女になにがあったのか。

 今すぐ駆け付けて様子を確かめねばならん。


「まず慣れない浴衣と下駄で、全力疾走は無理があるよ。雨宮ちゃんのもとに早く行きたいなら、せめて服装だけは着替えておいで。それスタッフ用だしね」

「おおう……正論」


 美少年の正論パンチでいったん冷静になった俺に、会長も声を潜めて素に戻る。


「……本当に、晴間くんのおかげで上手くいったわ。私の父、離れたところからステージを見ていたのよ」

「あ……親父さん、ちゃんと居たんですね」

「クリスティーナがお父様の傍についていて、どんな反応だったかもさっき教えてくれたわ」


 サッと忍者のように舞台裏に現れたクリスティーナさんは、主人に報告だけしてまた姿を消している。

 格好はhayateでも、会長はあどけない少女の表情で笑う。


「クソ親父は此度のプロモーションに大満足! ステージにいたモデルふたりの情報は後で欲しい、今後も我が社で使いたいって」 


 おお……よかった。

 無事に親父さんの目に留まったらしい。まさしく会長が望んだ通りの成果だ。


「それは俺のおかげじゃなくて、会長のこれまでの努力が報われただけですよ」

「……そうかしら?」

「男装して親に復讐してやろうなんて、強い意志がないと貫けません。同じ性別詐称モデルとしてリスペクトしています」

「晴間くんって……相手が求める言葉をくれる、いい男よね。雨宮ちゃんや雲雀ちゃんが惚れた理由、少しだけわかったわ」 


 俺はありのまま想ったことを伝えただけで、会長の反応はよくわからなかった。なぜ雲雀が出て来たのかも。


 スッと会長は浴衣の右袖から、ハンカチを取り出して俺に差し出す。

 よく見ると共に行ったゲーセンの帰り道、垂れるアイス対策で会長に貸していた、俺の安物ハンカチだ。


「返すのが遅くなってごめんなさい。これで今度は雨宮ちゃんの涙でも拭ってあげなさい、世界で一番可愛いカレシくん」

「了解です!」


 会長の粋なエールを受け、俺はしかとハンカチを受け取った。

 あくまで冷静に更衣室へと駆け出す。


 待っていろ、雨宮さん!

 今すぐそっちに行くからな!



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【お知らせ】
GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
再開 待ってました‼️ありがとうございます 予想外の展開に驚いてますが...それは続きを楽しみに待つとして とりあえず再開を喜びたいと思います
ウェブ再開ありがとうございます。 最終巻の4巻も楽しみにしてます。
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