何でこうなった??
『なにが起こったんだろう?!』
小さくつぶやいた
右を見ると、可愛らしい満面の笑顔のリリーが腕に絡み付いてる
左を見ると、宰相の次男のフェルトが青い顔で固まってる
後ろからは側近の歓喜の声
周りからは、何とも言えない戸惑いのざわめき
『何を間違えたんだらう……』
自分の数分前に発した言葉への、後悔に心が潰されていく
ここは、王族、貴族、裕福な家の子供が通う学園の食堂
数十分前に起こった事
俺の婚約者である公爵令嬢であるエリザベスが
伯爵令嬢である、リリーにお茶をかけた…………
ちゃんと、知ってる
側近のフランクがエリザベスに足をかけて、
躓いて持っていたティーカップのお茶が少しこぼれた
と、言うのが正しい
それを大袈裟に騒ぎたてた側近たち
そして、健気に大丈夫だと悲しそうに微笑んだリリー
何かが弾けたのを感じた
そして、言ってしまった
「いったい、何をしているんだエリザベス
リリーに謝れ!!俺が今までの事を知らないと思っているのか?婚約者として恥ずかしい
婚約など解消だ!!」
知ってた、エリザベスの名の元、エリザベスと関係ないやつらがリリーに嫌がらせをしてた事を
それを陰で嗜めてくれてた事を
婚約者がいる王子である俺に対する行き過ぎた好意を、あからさまに示すリリーへの忠告してくれた事を
知ってた筈なのに…………
なぜだろう??
「申し訳ありませんでした。全ての責は私にあります。
婚約解消を承りました。
これより、家に帰り然るべき手続きをさせていただきます。」
満面の笑みで、そう答えたエリザベスは、最上級の礼をとり
部屋を出ていった
『何を間違えたんだろう』
今度は、声に出ていたのか左に控えたフェルトが青い顔のまま言った
「追いかけなくて、よろしいのですか??」
いま、追いかけてどうする?
何を言うのだ
公衆の面前で婚約破棄を言い切った俺に、何を