表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
激安特価!ヤマムラ電機 異世界店〜異世界の生活変えちゃいます!〜  作者: アタホタヌキ
第一章「異世界に現れた、ただの家電屋さん」
13/19

第十三話「約束されし聖戦〜お正月大特価セール〜」

「皆様、あけましておめでとうございます!!」


「今年もー。ヤマムラ電機をー」


「「よろしくお願いいたします!!」」




 と、言うわけで今日は一月一日。元旦だ。


 基本的に西暦と同じ時間軸を示しているティエアにも元旦と言う文化はある。だが日の丸の国とは違い基本的にみんなおやすみだ。


 なので、元旦にお店を出しているところなど、この店くらいなもんだ。


「よぉ!! あけましておめでとうな!!!」


「剣士さん!! 今年もよろしくお願いします!!」


「おう!! ……にしても開店前だろ?ずいぶん賑やかだな」


店の前はすでに長蛇の列が並んでいる。


「本日はお正月大特価セールですからね。いろんな人種の方が来てますよ?」


「海竜族に獣人族……翼人に魔族……おお、エルフにドワーフまでいるぞ」


「お正月は、私の祖国ではセールの時期!! 特に家電量販店では一番大変な時期なのです!!」


「……ちなみに、今日はなにが安いんだ?」


「特に注目は福袋です!!」


「福袋……なんだそれ?」


「中身は買ってからのお楽しみな、赤字価格まで落とした袋入りの商品の事で、僕の祖国ではいろんなお店がやってるんですよ!!」


「へぇ……中身が見えないねぇ」


「ま、家電量販店の福袋は大体中身バラしてるところもあるんですけどねー。うちもバラしてますし」


 剣士がズッコケた。


「お、おいおい……それ福袋って言っていいのか? よくわからんが」


「…………細かいことはどうでもいいんですよ!!」


「おい、なんの間だ今のは。お前も薄々「これ違うくね」とか思ってたんじゃねぇのか?!」


「だって!! 見えないのは見えないでクレーム来るんですもん!!! 「家電はずっと使うもんだからー見えないと困るんっすよね」って!!!」


「うーん……言われてみりゃそうかもしれないがよ……」


「というわけで、この冷蔵庫福袋買いませんか?価格はなんと十万ゴールドです」


「冷蔵庫二台はいらねーよ!! ……エアコンならちょっとは考えるがな」


「すみません、エアコンの福袋は整理券配布終了しました」


「え!? まだ開店前だろうが!」


「当店では並んでいるお客様のために先に整理券をお配りしてます。三十分前に」


「……出遅れた……」


「こういうのは早いもの勝ちです……勝負は既に始まってるんですよ?」


「……まじか、おい」


「なお、エアコンの福袋とかその辺は時期的な意味もあって、めっちゃ速攻で無くなります。お求めの場合は早めにした方がいいですね」


「……ちなみに他にどんなのが売れるんだ?」


「地域にもよるんですが……そうですね……当店では取り扱いがないですが、ゲームなどは大体秒殺ですね。毎年あっという間に消えていきます。次にエアコン、パソコン関連、次に黒物家電、白物家電の順ですね」


「黒……白……?」


「あ、ああ。すみません、前の世界でのくせで……黒物はAV、つまりテレビ、レコーダー、カメラなどの娯楽家電を指して白物家電は冷蔵庫、洗濯機、炊飯器などの家事関連の家電のことですね。家電ができた当初はそれぞれそんな色をしていたから、そんな名前がついたんだとか」


「ほう……そういえば冷蔵庫売り場大体白いのばっかりだったな」


 などと話していると、列の最後尾からレイラが戻ってきた。


「整理券ー配り終わったよー」


「おつかれレイラ。余りはどんな感じだい?」


「デジカメと、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、シェーバー、ドライヤーは残ったよー」


「加湿器はまだ認知度が足りないから難しいかなと思ってたけど、案外売れたな……加湿空気清浄機も来年から追加するか」


「あとー、デジカメの体験会ツアーは完売だねー」


「お! 意外と成功したな!!」


 デジカメ体験会ツアーとは、ティエアの有名な観光地を巡ってデジカメを体験するという企画だ。交通費等もあるから流石に有料にしたのだが、これが意外にも大好評。おそらく、この世界には旅行代理店等がないため、そういった楽さも売れ行きが好調な理由だろう。宿とかの手配はヤマムラ電機で手配だし、食べ物も予約を取る。


「……今年からバイト取らないといけないかもなぁ……だいぶ忙しくなってきたし」


「そだねー……せめてカメラ体験会の時に営業しないとだしー」


 そんなユキオ達の会話を呆然と見ていた剣士が急に声を荒げた。


「だ、誰だ!! お嬢ちゃん!!!」


「なにー? 剣士さん?」


「誰って……レイラですよ?」


「いや!! それはわかるんだが……喋り方激変してるじゃねーか!! 前までは「あとー? デジカメ体験会ー? 完売ー??」って感じだったじゃねぇか」


「むぅ……私ーそんなんじゃないよー?」


 いや、割と的確なのだが……と言いかけて喉元で止めた。


「まぁ、色々とあったんだよ……あ、あと来店記念でホームベーカリーで作ったおもちを配布してるから食べてくれよ」


「あ……ああ……って、ホームベーカリーでもち? ……ベーカリーどこいった?」


 とツッコミながらも、剣士は最後尾に歩いていく。




「さぁて……いらっしゃいませ! 今年もヤマムラ電機元気にオープンです!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ