様子見
許可はもらい入ってみると、そこはザ・実験室といったところだった。現実と違うところといえば魔物がケージに入っていることと、
「...」
12,3ぐらいの子供が黙々と一人で作業していることだろうか。彼は俺たちが入ってからもずっと右においてあるメモとにらめっこしながら、紙に何かをまとめていた。
「ねえ、何を、まとめてるの」
「...」
「終わるまで待ってるしかないな」
「ん」
「これでよしと。あ、すみません、集中しちゃうと周りが見えなくなっちゃって。たしか、アルス様とルナ様でしたよね」
「そうだけど、様づけじゃなくていいぞ。公式の場以外で呼ばれるのはあまり好きじゃないからな」
「わかりました。ノワールさんがみんなを様付けで呼ぶから影響されちゃったんですよね」
えへへ、と笑う様子は普通の子供でしかないように感じるが彼の研究への意欲は目を見張るものがある。父の商会が続いていたら、もっと好きなように研究をできただろう。
「ところで、今日はどうしたんですか」
「あ、ああ。元気にやってるかなと思って」
「ええ、やってますけど?」
「アルス、たぶんよく、わかってない」
疑問符が浮かんでいる顔をしていたのでルナに説明してもらった
「なるほど、そういうことですか。確かに父と母と別れてしまったのは辛いですし、恨んでないかって言われたら多少はあります。何かするにもツヴァイにいたときよりはお金はないですし自由にはできません。でも、ここには七王の皆さんがいて、会った時には相手してくれるし、何よりノワールさんは目的のある研究を一緒に考えてくれました。今まで観察するって言ってもただまとめてるだけだったし、誰かの役に立てるかもって思えたもここに来てからです。感謝とか充実とかのほうが大きいですよ」
「そうか...強いな」
「そうなんですかね。それに家族のうち全員がなくなったわけじゃないです。兄さんはツヴァイで商売を次いで。姉さんも行商をしてたはずですし。ですからアルスさん、ルナさん。心配しなくても大丈夫ですよ」
「わかった。なにか、困ったこと、あったら教えて。あなたの、研究は面白そうだから。協力して、上げる」
「ありがとうございます。それと、一ついいですか」
「なんだい」
「どうしてルシフさんはあんなに人を寄せ付けない態度をしてるんですか?あの人、話してみたら優しい感じしたんですけど」
「...ある程度嫌われてるほうが都合がいいからだよ」
「え」
思ったより冷めた声をしていたからだろうか、彼は気圧されたような感じだった
「いま、いえるのは、それだけだから」
「はあ」
納得はしてないだろうな
「それじゃ、何かあったら言ってくれよ」
「わかりました。それでは」
「なあ、情がわくのが嫌だからあんな態度してるってのはどうなんだろうな」
「まあ、いいん、じゃない。もともと、人と、かかわらない、ようにしてたし、私たちに対しては、昔から変わらないし。それにここだと、いいほうでしょ」
「そうだな」
少ししてノワールが来て、何人かログインしてきたことを知らせてくれたので挨拶をしに行くことにした。
「どうでしたかな。彼はよい研究者になると思うのですが」
「ああ、彼はしっかり者だよ。見習いたいぐらいだ」
「ほほう。弟子が褒めらるのはなかなかどうしてうれしいものですな」
「彼の、研究って、何なの?」
「スライムです。私の研究を引き継ぐ形で行っています。ちなみにこれが彼の研究結果の一つなんですがよければどうぞ。ルシフ様の分までありますぞ」
「ありがとう。これは湿布か」
「おおー、スライムでひんやり」
「ええ、スライムの液を抽出して薬草と混ぜました。私自身、そんな簡単にいくかと思いましたができてしまいましたね。一応、どこに張っても効果はありますが、攻撃を受けたところに貼れば少し効果が上がります。確認しましたので間違えありません」
「じゃあ、こいつは戦闘後のほうが役に立つな。それとこれは数があるのか」
「すでに、ギルドの方に作り方を教えました。彼らすぐに交渉をはじめてきましたよ。料金の一割がライセンス料ですので資金的には困らなくなるでしょうな。いやはや本当に彼は優秀ですな」
「あの子が、生きてて、よかったね」
「ええ、同感です。さて、先ほどの部屋に戻ってきましたのでご案内はここまでさせていただきます。私は自分の研究室にいますので何かあればおたずねください」
「わかった。ありがとな」
さて、中には誰がいるのかな。




