七王へ訪問
「で、ここが拠点か」
「そうだよ」
「よくこんなの建てられたな」
もともと強欲であるノワールの所有物だった家はカリンが興味をもって支援したとはいえ、周りの家と比べて――土地が高いためほとんど建ってはいないが――立派としか言いようがなかった。
中に入るとそこは外の見た目通りの内装で、質のいい素材が使われているのが見るだけで分かる。まあ、実際後で聞いてみるといいやつばっかりだったしな。
「確かにすごいはすごいが、拍子抜けだな。もっと研究所してるかと思ったけど」
「これは、一般客用。私たちは、地下に、行く」
「あ、やっぱりこんな普通の場所じゃないのね」
「ついてきて。あ、あと、ほかの部屋に、入らないこと。ほかは全部、ノワールの、研究室と七人の部屋だから」
「りょうかい」
七人全員の部屋があるとかここの土地おかしくないか?それともゲームだから家の空間が若干広めになる可能性もあるか。
地下は天井がそこまで高くないこと以外は地上部分と雰囲気は変わらず、ただ通路が長く伸びて部屋につながっていた。少し歩くと一番奥の部屋まで来たが、ドアの間隔からこの部屋が一番広いのかな。
「この部屋に、大抵、暇な人は、いるから。」
「そうなのか。じゃあ、失礼しまーす」
部屋の中には、誰もいなかった。
「あらら、残念。待つ?」
「しばらくは時間あるからそうするかな。サファとディアブロは適当で部屋で遊んでな」
「きゅ!」
「じゃあ、私は、一度会ったから、その時の、それぞれの感触、話そうか?」
「あ、お願いします」
「まず、屋敷の所有者ノワールから。彼は、・・・」
ルナから一人一人の様子を聞き、癖が強いという彼ら彼女らに一応の心の備えをしておこうと考えていたが、聞けば聞くほどきつそうな気しかしてこない。というか、下手に考えるより兄上レベルの奴が含めて7人いるって思ったほうがいいってルナに言われるとそのほうが楽な気がしてくる。
「!」
「どうしたルナ」
「あれ・・・」
指をさしたほうを見ると。サファとディアブロが少女がくるまっている布団を宙に浮かせて揺り動かしていた。
「メアだ。下手に、すると、落とすかも。起こしてくる」
そういったとほぼ同時に、あいつらはその布団をこっちに投げてきやがった。俺たちはなんとかよけれたけど、投げられた本人は床に投げ出されて転がっていた。
「ちょっとひどくない。寝てる人投げ飛ばすとか」
「いや、うん。俺の従魔達がすまなかった」
「まあいいけどさあ。あ、ルナじゃん。おはよー。で、君は誰だい」
「ああ、俺は、」
「まあ、ルシフの弟のアルスだってのはわかってんだけどね」
「わかってんのかい」
「ま、投げられたから、これくらいの冗談はねってことでね。それで何の用だい?」
「七王って呼ばれるのがどんな奴か、顔見せついでに来ただけだ」
「私は、遊びに」
それを聞いて、メアは「ふうん」とだけ興味なさそう言い、また布団にくるまって寝てしまった。
「まあ、彼女はいつもそんな感じだから」
「お、おう」
「そうだ、寝る前に教えてあげるけどノワールはログインしてるから多分ここから右にずっと行ったところにいるんじゃないかな」
「わかった。じゃあ、サファ、ディアブロ行くぞ」
一人目から癖が強いやつだったな。これが下手すると6人か、面倒だな。まあいいか、ノワールには会う目的があるしな。右の突き当りだろうからここかな。
「『関係者以外立入禁止』か。蹴破るのは得策じゃあないな」
「あまり褒められた行為ではありませぬな」
「!?」
いつの間にか俺の後ろには紳士然とした老人がいた。
「ちょうど自分の部屋にものを取りに戻ってましてな。そしたらそこにあなたがいたのですよ」
タイミング悪く、入れ違いか。じゃあ、この人がノワールだな。なんだろう、さっきのメアに比べたらすごくまともそうなんだけど。そんなことをかんがえていると、ノワールがこっちをじっと見ていることにようやく気が付いた。
「あ、すいません。俺、アルスっていいます。あなたがノワールさんですよね。ああ、それとさっきのは冗談ですよ」
「ご紹介どうも。一応、ノワールでございます。それにしてもあまりジョークのセンスがよろしくないようですな。それで、こちらにはどのような用件で?」
誰かに聞かれてると思ってないしそれはしょうがないとして、
「ご挨拶を、それとここの研究所に一人子供がいたと思うのですが、そいつの様子をちょっと」
「ああ、あの子を連れてきてくれたのはあなた方でしたな。優秀な人材を連れてきていただいて本当に感謝しております。彼は研究者の卵ですよ」
「それは良かったです。それではお邪魔しても?」
「ええ、これからもご自由に来てくださってかまいませんよ」




