七王の邂逅
いつもよりちょっと長めで3000文字です
「ふー食べた食べた」
「どう考えたって食いすぎだろ!」
「ふっふっふ、それが私が暴食たる所以だよ」
それにしたって食い過ぎだ。何人前食ったんだ。1、2、3・・・15人前か。三十分もたったか?
「こんなに美味しそうに食べてくれれば、私の旦那も一生懸命作ったかいがあるってもんさね」
「ねえねえ女将さん、こんなに美味しかったら人たくさんくると思うけど、やっぱり僕たちのせいかな?」
「ま、それもあるけどね。さっきあんたの弟がカリンちゃんと来てたからねみんな野次馬しに行ってんだよ」
「む、アルスがか」
「ええ、あんたらがくる30分くらい前かな」
「そうか」
まあ、あいつが何をしようと迷惑をかけてなければ問題ないから気にすることでもない
「それにしても、あんたよくこいつにこんな扱いできるな。こんなのでもこの国の王だ。あれだ、不敬罪とか怖くないのか」
「ま、あんたら兄弟、そこまで仰々しくされるのも好きじゃないでしょ。そんな感じがするよ。ヤーエスのとこの長男と雰囲気が似てるからね」
「女将、あそこの長男を知っているのか」
「知ってるも何も常連さんだったよ。あそこにいても良かったんだけど、親の方がね。ここ最近は亜人差別がひどくなっててね、あんたに面子潰されて怒ってたから。だけど彼は差別もしないしいい人だよ。ただ次男と長女は気をつけたほうがいいよ。あの二人は親の影響を強く受けてるし、かなり腕は立つって話も聞くよ」
「なるほど、中々、面白い話が聞けた。それにしてもどうして我々に丁寧に話を?」
「あんたらの様子見てたらわかるけど、あそこを支配するつもりだろ。ヤーエスは確かにある程度は大きい街だけどこの状態が続くといずれ、悲惨なことが起こるのはあそこに住んでりゃ殆どの人が理解してるよ。それなら、この国の方がいい気がちゃんとしてくれるのに期待してるってわけさ」
「その中で犠牲をできるだけ減らしたいってことですね」
「ま、それぐらいなら聞いてあげてもいいんじゃない」
「そうだな。民の望みを叶えてやるのも王の務めよ。それでは女将、我々はここらで退却する。代金はイブが払うのでな」
「はいよーそれじゃざっと900ゴールドだよ」
「うん、それじゃはい!本当、美味しかったよ!またくるね」
「ありがとね」
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「ふぅ、もうお腹いっぱいだよ。それじゃノワールの研究所に行こうか」
「いいですぞ。それに周りは空き地ですからな。そこを私たちの住処にしてしまいましょうか」
「いいんじゃないか。それにしてもお前の研究所って城に結構近い位置にあるんだな」
「ええ、なんせ土地が必要でしたからなほとんどの所持金を使ってしまいましたがね。いやはや、トーナメントでなんとか準々決勝まで運良く進めたのが助けになりました」
「あ、ノワールも人間だったんだね」
「慣れてる体の方が実験しやすいですから」
「そういえばクロムは?聞いてなかったね」
「あ、俺か?俺は魔人だ」
まあ、このゲームは種族よりもプレイヤースキルの部分が大きいからな。自らの体をうまくつかえば勝てるだろう。それにしてもヤーエスの長男か。彼を仕留めてしまう事態になるのは一番避けなければならない状況だ。あそこの衛兵、騎士については問題ないとしても長男以外の二人は実力が未知数すぎる。一度、掲示板を見たときに次男は斧使いで破壊力が高そうだという情報だけは見たがそれ以外は不明だ。もう少し考える必要が、、、
「ゴフッ」
「おい!おめえ誰だよ。俺たちに喧嘩でも売りにきたのか」
「見つけた。ルシフ、一直線で、ここに来たよ」
「君の知り合いかい」
「我にはタックルしてくるような知り合いは・・・おお!もう来たのか!あー」
「ルナ」
「ルナか。ルナ」
第2陣がくるのは昨日だったはずだが。
「敵無視して突っ切った」
「そうか」
「ねえ、ルシフ。そろそろ、彼女の事を紹介してくれないかな」
「先ほども聞いたと思うが彼女はルナだ。彼女はええ・・・」
「ルシフの彼女」
「ああ、と言うわけだ」
こいつら全員、口をぽかんと開けてこちらを見てるが失礼じゃ無いか。いや、ノワールとメアは変化なしか。まあ、あいつは寝てるだけだ。
「そんなに、意外?」
「だ、だって彼だよ、掲示板とか色々見てるけど、性格も良さそうじゃ無いし、人のこと言えないけど七王に選ばれるのも納得の言動だし」
「それに、失礼ですけどルナさんがルシフさんと相思相愛になることはむずかしいんじゃいかってほど性格が違うように見えますし」
「ちゅうか何だよお前、そんな大事な仲間はいらんみたいな雰囲気出しておきながら、ちゃっかり恋人作ってるしじゃねえか」
「ほんとだね。今日1日でもう3日分ぐらい驚いちゃったんじゃ無い?それにしても、大丈夫ルナさん?ルシフ君に脅されたりとかしてない?」
「貴様らが我に対してどう思ってるのかよぉく、よぉく分かった」
いつか、我自ら手討ちにしてくれるわ
「大丈夫。それより、ルシフの背中に乗ってる子は誰?まさか、手篭めに?」
「待て待て待て、そんな人聞きの悪い事言うな」
「ああ、メア。よりにもよってこんなのに見初められてしまうとは。私はもう泣くことしかできないよ」
「おい、イブ。お前も乗っかるな。というかこんなのってなんだ!」
「大丈夫。私は、理解、ある方だから、ね。ただ、ばれて醜聞に、ならないように気を、つけて?」
「だーかーらー、違うと言ってるだろ。そもそもなんで我に聞いて・・・」
「ようこそ、ここが私の家でございます。若干一名、お疲れのようですが大丈夫ですかな」
「貴様らが全員悪ノリしてきたからだろ」
「はて、何のことやら」
ノワールの家は、ほんとに普通の家という感じで研究をするという場所には見えなかった。まあ、主に外で研究してたのだろう。その証拠に屋内には野宿用のセットのようなものや、積まれたケージが見えている。
「一応、地下をつくれるそうなのでいざというときにと思っていましたが、あなた様のおかげで大きい七王の拠点と研究所ができますから、地下は当分見送りでいいですな」
どうだろうか、地下があったほうが物が盗まれる確率は落ちる気がするが、まあこんなとこで盗まれるようなこともなかろう。ただ、ここに警備を雇うのは優先事項だな。
「ところでルシフ様、私と少し共にギルドへお付き合いいただいても?」
「ああ、いいが。何か用事か?」
「今現在は国の施設ができるまでギルドが土地管理をしていましてなそれの申請に行くのですがルシフ様がいた方が話が早く済むかと」
「それならば行こう。それとルナを連れて行ってもいいか」
「もちろん、大切な婚約者でございましょう」
「ま、まあな」
それにしても人が来てすぐに旅立ってしまったからな。カリン達には迷惑をかけた。それに王が国の情況を把握していないのも問題だ。この時期に出て行ってしまったのは少し軽率だったか。対策も考えていかねばな。
「ルシフ、失敗したら、その分取り返す以上の、仕事する。これから、集中できるから」
「お前には隠し事はできないな。分かってるとも、私は私にしかできない事をして見せるとも」
それにしてもルナの容姿は本当に美しいな。種族はまだ聞いてないが、白銀の長髪に青と黄色のオッドアイ、それでいて可愛らしい顔に無表情でいて少しだけ感情を出してくる様子。嗚呼、彼女がいれば何とかなる気がしてくるものなあ
「ゴホン、惚気るのは後にしてくだされ。それとルシフ様。一人称が変わってしまってますよ」
「ん、まあ善処しよう。それとそんな細かいところまで気にするな」
「いやはや細かいのが気になってしまうんですよ」
「まあ、仕方ないか。知り合いにも貴様みたいなのがいた」
「おやおや、多少は気楽に過ごせそうですな」




