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妖精の工房

 

 「やっと来た。これがマントだけど改心の出来だと思う」


 もらったマントはすごく丁寧に織られており、非常に長持ちしそうであった。また、金の糸で織られた刺繍も精密に縫われており今にも動き出しそうだといえばわかるだろうか、見るものを圧倒するようなものである。


 「ほう、実にいいマントではないか。これは重厚感があり一生ものになるな。特にこの刺繍、我が帝国の国旗にしたいくらいに素晴らしい!」

 「気に入ってもらえてうれしい。刺繍はあの金の糸がたくさんあったから作ることができた。なかなか手に入れる機会がないから使うことができて僕も勉強になった」

 

 やっぱりあの値段の糸は簡単には買えないよな。


 「確かにこいつらは信頼できそうな人たちだな」

 「誰だ貴様は」

 「おいおい、いきなり貴様呼びはないんじゃないか。私はセーニャだ。ドワーフだから背が小さいけど成人してるからな」

 「セーニャか。ではなぜここに」

 「彼女は僕たちのクランのマスターだから。僕に依頼した人を直接確かめるって」

 「そうさ私こそ、トップ生産クランの『妖精の工房』のクランマスターさ」


 俺たちはなかなかすごい人たちに装備を作ってもらってたんだな。


 「まあ一応我々も紹介しておこう。アインザムインペリアルの帝王、ルシフである」

 「弟のアルスだ」

 「私はローズです。ここの町の領主の娘ですね。それと一つだけすみません。ロワさんは男性ですか?先ほどから僕とおっしゃってたので」


 確かにそれは気になった。


 「ギャハハハハ。やっぱりロワは女にしか見えないよな。私も初めは間違えた」

 「僕は男だ。なんでみんな間違えるのかな」


 そりゃあこれは女かと見間違えるような顔だよなぁ。なんというかクールな人みたいな感じの。



 「そんなことよりルシフ、このマントつけるなら鎧変えないと不格好になるんじゃないかな」

 「確かにそうですね。この銅の鎧だと格好悪いですね」

 「お前なら、黒で統一した方がいいと思うぞ!ほら私のクランホーム兼店に来い!」

 「セーニャ急ぎすぎだよ。追いつけるわけないじゃん」


 ロワは肩をすくめて俺たちの案内をしていたが、もうセーニャはどこにいるのか全く分からなくなってしまっていた。昨日も思ったけどこの通りはにぎやかだな。あの屋台に売っている小物なんかは家に飾るにはいいかもな。実用性がないものでもホームみたいなのも持っていれば飾りつけなんかもできるかもしれないし。


 へえ装飾用の剣ねえ、俺たちの城がでかくなったら設置してみるのもいいかもしれないな。それなら近くに鎧とか甲冑か。それとも軍服みたいなものを作るのか。まあ軍服は絶対にこの世界観に合わないから作るわけないな。



 「着いたよ」


 クランホームは通りの中心のようなところにあり、店前に掲げている妖精であろう看板が一際目立っていた。店に入るとセーニャの周りに人が集まっており何か話していた。


 「ロワ、今帰った」

 「遅いじゃないかお前たち、私なんかとっくの昔についてるぞ。おい、どうしてお前たちはそんな目で私を見るんだ」

 「大将。お客人を置いて1人で帰ってくるなって言ってるでしょう。今回はロワがいたからよかったですがね。ああ、お客さんいらっしゃい。あっしはカールと申しやす。ここではたいてい鍛冶をしてやす」

 「カールは、あと刻印とかいうもので魔道具を作っている。学べる刻印が少なくて今のところ活用はできてないけど」

 「そんなことよりルシフの装備だ。こっちに黒っぽい色の装備をそろえたから似合いそうなものを選んでやる」


 兄上はセーニャに引っ張られて店の奥に行ってしまって俺たちは取り残されてしまった。


 「ローズ、適当に店内を見てきたらどうだ、というかロワに案内してもらえ。どうだ」

 「そうですね。ロワさん案内していただいても」

 「私たちが連れてきたんだから案内することは当然」


 ふう、やっとローズが離れたぞ。この話はローズがいるとまずい気がしたから、いい口実ができたよ。


 「なあ、カール。魔道具の刻印ってできるって言ってたよな」

 「へえ、それがなにか」 

 「この魔道具を見てほしいんだけど、どうだ解析できるか」

 「これは火の刻印ともう一個がなんでやしょうか。少し待ってもらっても」

 「いいよ。時間は十分にあるし」


 カールは本を取り出しページを調べ始めていた。


 他の人たちは店の奥に戻っていたからいろいろなものを作っていったのだろう。ここに俺たち以外にいるのは販売員と客だけになっていた。客の内の何人かは俺たちの姿を見た瞬間にびくっとなっていたからあの戦いでやられた人なんだろうな。店の人や話しかけてきたプレイヤーと会話をしていたらロワが屋台を出して依頼を受けているのは珍しいらしい、たいていはこの店でしか受けないだとか。たしかにロワの腕だと屋台なんかで依頼受けてたら人がさばききれないほど来るだろうし、店があればそこでいいもんな。


 「アルス、これが何なのかわかったでやす。多分これは射出の刻印。この刻印は属性刻印と呼ばれる、刻印の中に属性の刻印を入れるという刻印なんでやすが、これは刻印師としてはすごい発見でやす」

 「そうなのか」

 「あまり興味がない感じでやすか。何がすごいかというと、今まで無属性しか作れなかったものが他の属性でも作れるかもしれない」

 「それってもう革命的じゃないか」

 「そうでしょう。そうでしょう。他にも持ってるんで?」

 「ほかにも持ってるけど兄上たちが終わりそうだからまた今度な」

 

 

 

 

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