冤罪 戻る光
俺たちは夕飯のためログアウトしたが、なぜか早苗に詰め寄られている。兄が。
「上兄ぃ、何をしてるの」
「何がだ。私は何も悪いことはしていない」
「これを見てから言ってよ」
そういって、早苗が見せた動画は、兄が一人の男の首に刀を添えているのを映していた。そして、
男がべらべらしゃべった後、兄がそいつを斬り殺していた。
「それがどうかしたのか」
「どうかしたって、これを見ても何も思わないの!」
「ああ、人権のない人間のクズが死んだところで何とも思わないし、逆に感謝されてほしいぐらいだ」
「スラムの人だからって、ひどい人ばかりじゃないよ」
「こいつは、孤児院から金をゆすってたからひどいやつだと思うがな」
「でも、上兄ぃ魔族だし、それだって事実じゃない可能性もあるし」
「それともなんだ、勇者様は犯罪を犯してるやつより、魔族の方が悪いっていうのか。所詮お前の正義感なんてそんなもんだろ。どちらか、一方の状況で信じてしまうし、一度信じたら他の可能性なんて1ミリも考えない。やっぱりお前あのカグラとかいうやつと気が合うんじゃないか。二人で魔族狩ってればいいんじゃないか。ほれ、ここに魔族はいるぞ」
「兄ちゃん、それぐらいにしとけって」
まあ、兄の言うことも確かだしな。魔族だからって、いちいち難癖付けられてたらいやになる。
「わかったよ。そんなに言うなら信じてあげるけど。でも、一応聞くけど、魔物の汚染は兄さんたちじゃないんだよね」
「それこそ、冤罪も甚だしい。不愉快だ。我々だってあいつらには邪魔をされてるんだ」
食料的にね
「そう。じゃ、気を付けてね。今の二つのことから、みんな兄さんたちが悪いと思ってて、討伐隊が組まれてるから」
「ハハハハハ、それを漏らしてもいいのか」
「いいよ。だけど私が情報源だってことはいわないでよね」
「分かっている。碧、これからあそこは木陰の林から、破滅の林になるぞ。誰も生きて返すな」
「わかりましたよ」
「もう。せいぜいやりすぎないでよ」
「わかっている」
「じゃ、先に夕飯いってるね」
と、早苗は行く前に
「上兄ぃ、人はやり直せるんだよ。一度堕ちたら絶対に戻れないことはない。だから、今度からその戻れる道を閉ざさないで、大きくしてあげて。上兄ぃ見たいにもう戻れなくなっちゃった人の被害を出さないためにさ」
と、言って部屋を出て行った。
「じゃあ、なんであんなことになってしまったのだろうな」
「兄ちゃん」
「私は、いつも思うんだ選択を間違えたからあんなことになってしまったのかなと」
「それは、俺たちは悪くない」
「そうだな。だが、私はそれで間違えるのが怖くて、こんなにも冷徹になってしまったのかもしれないな」
「・・・」
「早くいくぞ。飯が冷えないうちにな」
「ああ」
最後暗くなっちゃったかな。
本当に人は、どこまでなら戻れるのでしょうね




