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プロローグ
処女作です!
―――――最近、妙な夢を見る。終わりの無い階段をずっと…、ずっと上り続ける夢だ。此処はきっと塔の中なんだろう。窓から見える景色は、見渡す限りの雲海と青空が広がっている。
俺は、上るのを止めない。この先に何かを予感しているから……。
―――――――――。
―――――。
グラっ。
―――っ!?
視界が揺れた瞬間、俺は夢から覚めた。目に映るのは高速に通り過ぎていくモミジ林。
「ここは……」
周囲を見回し、状況を確認する。
「そうだった。俺は“紅羽”向かう電車に乗って……」
“紅羽”とは、モミジの名所と知られる観光地で、『モミジと異能の未来都市』というキャッチフレーズがつくほどに発展した町である。
俺はそこにある“紅羽崎学院”に入学するためにそこへ向かっている。
「次は終点、紅羽駅。紅羽駅になります」
車内にアナウンスが響く。
車窓の向こう側には、夕日に染まった海と綺麗な町並みが映っていた。