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吟遊詩人の忘れ語り

-欲塵を食む槌子の蛇腹-

作者: -Sare-
掲載日:2016/12/23

 はい、今日は。クリスマスを前に人殺しの話を書いてます、筆者です。あ、今回VORE(丸呑み)表現ありますので御注意を、と最大のネタバレをしつつ。いやー今頃街のイルミネーションにリア充がわらわらと羽虫の如く群がってるんでしょうね。何か怪物か化物の数匹でも投下したいです。

 あ、逆に人を排除して化物の聖地にしても良いですね。化物が恋をしちゃいけないと言う道理はないでしょう。此処は二頭でも召還してしっかり暴れて互いの絆を結んで欲しい物です。え、病んでますか?何時もの事です。

 さて、今回は何故か槌子さんです。まぁ仏教にクリスマスは野暮でしょう、妖怪なんで然う言う事にして下さい。槌子は胴がぷっくり膨れた蛇さんです。尾を銜えて転がる様に移動すると言われています。日本酒が好きで、チーと鳴く然うです。・・・其丈ですね、はい。何か此の子、一番怪異の中で実現可能っぽいですよね、筆者としては全ての妖怪、幻獣、UMA、神の様な心霊現象や存在は全て肯定する派です。否定したらつまらないですし、そんなに世界を理解し、精通していると自惚れてはいません。でも此の子は単に小さな蛇に兎でも食わせたら、将又妊娠していたら・・・?と思わなくもない。何と言うか、妖怪って本当に動物としていそうですよね、猫又や送り狼とか、身近と言うか、肉があると言うか。翼の生えた馬とか、鏡が額にある獣とかファンタジー感満載です。でも何方も可愛い、其の不思議さが良いんです!

 趣味の話をするとすっかり長くなってしまいましたが、どうぞ御先へ。槌子の彼の腹に何が詰まっているか、皆さんは御存じでしょうか。

 蕭森(モリ)に棲(ス)む槌子(ツチノコ)、彼(カレ)は迚(トテ)ものんびりとした性格(セイカク)の持(モ)ち主(ヌシ)だった

 雑多(ザッタ)な欲(ヨク)等(ナド)持(モ)ち合(ア)わせず、只(タダ)気(キ)の向(ム)く儘(ママ)に生(イ)きていた


 そんな槌子(ツチノコ)が漫(マン)然(ゼン)と山林(サンリン)を這(ハ)っていると何倍(ナンバイ)もある里(サト)回(マワ)りに出会(デクワ)した

「やぁ槌子(ツチノコ)、偉(エラ)く腹(ハラ)が膨(フク)れているが何(ナニ)か良(イ)い物(モノ)を見付(ミツ)けたのかい?」

「いや、元(モト)からこんな形(ナリ)なんだよ。」

「おやおや此(コレ)は。這(ハ)って行(ユ)くには不便(フベン)ではないかい?」

「いやいや此(コ)の腹(ハラ)が大事(ダイジ)なんだよ。」

「然(ソ)うかい然(ソ)うかい。」

里(サト)回(マワ)りは獲物(エモノ)を探(サガ)す為(タメ)、さっさと藪(ヤブ)の中(ナカ)へ消(キ)えてしまった


   ・・・・・

 槌子(ツチノコ)が散策(サンサク)を続(ツヅ)けていると片(カタ)耳(ミミ)の垂(タ)れた黔(クロ)兎(ウサギ)が駆(カ)けて来(キ)た

「やい槌子(ツチノコ)、其(ソ)の腹(ハラ)の様子(ヨウス)、さては皓(シロ)兎(ウサギ)を喰(ク)らったな。」

「いや、此(コレ)は生(ウマ)れ付(ツ)きさ。」

「然(ソ)うか。まぁそんな胴(ドウ)では僕等(ボクラ)には追(オ)い付(ツ)けまい。疑(ウタガ)って済(ス)まなかったね。」

「いやいや其(ソ)の通(トオ)り、現(ゲン)に私(ワタシ)は今(イマ)空腹(クウフク)ではあるけれども君(キミ)を捕(ト)らえる事(コト)も出来(デキ)ないんだ。」

「然(ソ)うかい然(ソ)うかい。」

黔(クロ)兎(ウサギ)は其(ソレ)でも警戒(ケイカイ)を解(ト)かない儘(ママ)、そそくさ曠野(コウヤ)を抜(ヌ)けて行(イ)った


   ・・・・・

 槌子(ツチノコ)が木々(キギ)も疎(マバ)らな荒野(コウヤ)を眺(ナガ)めていると下卑(ゲヒ)た笑(エ)みを浮(ウ)かべた男(オトコ)が近付(チカヅ)いて来(キ)た

「おう槌子(ツチノコ)、随分(ズイブン)機嫌(キゲン)が良(ヨ)さそうだが何(ナニ)を食(タ)べたんだ。」

「いや、此(コレ)は生(ウ)まれた儘(ママ)の姿(スガタ)なんだ。」

「冗談(ジョウダン)は止(ヨ)せ。さては良(イ)い餌場(エサバ)を知(シ)ってるな。見(ミ)た所(トコロ)兎(ウサギ)か雉(キジ)か。」

「いやいや私(ワタシ)は空腹(クウフク)なんだ。そんな場所(バショ)も知(シ)らないよ。」

「嘘(ウソ)を付(ツ)くな。次(ツギ)言(ユ)うと御前(オマエ)を酒(サケ)に浸(ツ)けるぞ。」

「・・・仕方(シカタ)ない。此(コレ)も縁(エニシ)だ。餌場(エサバ)へ連(ツ)れて行(イ)ってあげるから付(ツ)いて来(コ)い。」


槌子(ツチノコ)が木蔭(コカゲ)へ這(ハ)って行(ユ)くので男(オトコ)も付(ツ)いて行(ユ)く

「所(トコロ)で人間(ニンゲン)さん。君(キミ)は何(ナニ)を食(タ)べたいんだい。」

「鼠(ネズミ)でも鳩(ハト)でも何(ナン)でも良(イ)いさ。出来(デキ)れば鹿(シカ)か兎(ウサギ)が食(タ)べたい気分(キブン)だが。毛皮(ケガワ)も欲(ホ)しくてな。」

「はぁ随分(ズイブン)と卑(イヤ)しい食(ショク)だねぇ。欲(ヨク)の乗(ノ)った人間(ニンゲン)だ。私(ワタシ)なんて食(ショク)すのは常(ツネ)に一級品(イッキュウヒン)と決(キ)めているよ。」

「ほぅ、其(ソレ)は何(ナン)だい。もっと旨(ウマ)い物(モノ)を知(シ)っているのか。」

「今(イマ)から味見(アジミ)をする所(トコロ)さ。」

槌子(ツチノコ)は突然(トツゼン)跳(ト)び上(ア)がると男(オトコ)を頭(アタマ)から丸呑(マルノ)みしてしまった

 突然(トツゼン)の事(コト)に男(オトコ)は完全(カンゼン)に不意(フイ)を突(ツ)かれ、声(コエ)一(ヒト)つ上(ア)げる事(コト)なく腹(ハラ)で大人(オトナ)しくなった

「此(コ)の腹(ハラ)の御蔭(オカゲ)で私(ワタシ)は欲(ヨク)が少(スク)ないのさ。欲望(ヨクボウ)と言(ユ)う餌(エサ)に誘(サソ)われて勝手(カッテ)に腹(ハラ)は満(ミ)たされるのだから。」

槌子(ツチノコ)は満足(マンゾク)気(ゲ)に舌(シタ)舐(ナメズ)りをすると尾(オ)を銜(クワ)えて何処(ドコ)へともなく転(コロ)がって行(ユ)くのだった


  -Fin-


 超短編!槌子の一日を御送りしました。人を食わせたかった丈だよね?正に其の通り!

 何気に余ないんですよね、人が食われたの。結構筆者然う言うの好きですけど。つい食う前に殺しちゃいます。飽く迄も人が死ぬのは自業自得ですから、喰われるのは其を彼等に利用された丈ですから。人は彼等に振り回され、とばっちりを食らって奔走する位が丁度良いです。次回も其の調子で行きたいですね。

 さてさて御次の子は驚霆を司る者、冷酷な旻の支配者です。ムフフ・・・。

 では良い物語を。


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