-欲塵を食む槌子の蛇腹-
はい、今日は。クリスマスを前に人殺しの話を書いてます、筆者です。あ、今回VORE(丸呑み)表現ありますので御注意を、と最大のネタバレをしつつ。いやー今頃街のイルミネーションにリア充がわらわらと羽虫の如く群がってるんでしょうね。何か怪物か化物の数匹でも投下したいです。
あ、逆に人を排除して化物の聖地にしても良いですね。化物が恋をしちゃいけないと言う道理はないでしょう。此処は二頭でも召還してしっかり暴れて互いの絆を結んで欲しい物です。え、病んでますか?何時もの事です。
さて、今回は何故か槌子さんです。まぁ仏教にクリスマスは野暮でしょう、妖怪なんで然う言う事にして下さい。槌子は胴がぷっくり膨れた蛇さんです。尾を銜えて転がる様に移動すると言われています。日本酒が好きで、チーと鳴く然うです。・・・其丈ですね、はい。何か此の子、一番怪異の中で実現可能っぽいですよね、筆者としては全ての妖怪、幻獣、UMA、神の様な心霊現象や存在は全て肯定する派です。否定したらつまらないですし、そんなに世界を理解し、精通していると自惚れてはいません。でも此の子は単に小さな蛇に兎でも食わせたら、将又妊娠していたら・・・?と思わなくもない。何と言うか、妖怪って本当に動物としていそうですよね、猫又や送り狼とか、身近と言うか、肉があると言うか。翼の生えた馬とか、鏡が額にある獣とかファンタジー感満載です。でも何方も可愛い、其の不思議さが良いんです!
趣味の話をするとすっかり長くなってしまいましたが、どうぞ御先へ。槌子の彼の腹に何が詰まっているか、皆さんは御存じでしょうか。
蕭森に棲む槌子、彼は迚ものんびりとした性格の持ち主だった
雑多な欲等持ち合わせず、只気の向く儘に生きていた
そんな槌子が漫然と山林を這っていると何倍もある里回りに出会した
「やぁ槌子、偉く腹が膨れているが何か良い物を見付けたのかい?」
「いや、元からこんな形なんだよ。」
「おやおや此は。這って行くには不便ではないかい?」
「いやいや此の腹が大事なんだよ。」
「然うかい然うかい。」
里回りは獲物を探す為、さっさと藪の中へ消えてしまった
・・・・・
槌子が散策を続けていると片耳の垂れた黔兎が駆けて来た
「やい槌子、其の腹の様子、さては皓兎を喰らったな。」
「いや、此は生れ付きさ。」
「然うか。まぁそんな胴では僕等には追い付けまい。疑って済まなかったね。」
「いやいや其の通り、現に私は今空腹ではあるけれども君を捕らえる事も出来ないんだ。」
「然うかい然うかい。」
黔兎は其でも警戒を解かない儘、そそくさ曠野を抜けて行った
・・・・・
槌子が木々も疎らな荒野を眺めていると下卑た笑みを浮かべた男が近付いて来た
「おう槌子、随分機嫌が良さそうだが何を食べたんだ。」
「いや、此は生まれた儘の姿なんだ。」
「冗談は止せ。さては良い餌場を知ってるな。見た所兎か雉か。」
「いやいや私は空腹なんだ。そんな場所も知らないよ。」
「嘘を付くな。次言うと御前を酒に浸けるぞ。」
「・・・仕方ない。此も縁だ。餌場へ連れて行ってあげるから付いて来い。」
槌子が木蔭へ這って行くので男も付いて行く
「所で人間さん。君は何を食べたいんだい。」
「鼠でも鳩でも何でも良いさ。出来れば鹿か兎が食べたい気分だが。毛皮も欲しくてな。」
「はぁ随分と卑しい食だねぇ。欲の乗った人間だ。私なんて食すのは常に一級品と決めているよ。」
「ほぅ、其は何だい。もっと旨い物を知っているのか。」
「今から味見をする所さ。」
槌子は突然跳び上がると男を頭から丸呑みしてしまった
突然の事に男は完全に不意を突かれ、声一つ上げる事なく腹で大人しくなった
「此の腹の御蔭で私は欲が少ないのさ。欲望と言う餌に誘われて勝手に腹は満たされるのだから。」
槌子は満足気に舌舐りをすると尾を銜えて何処へともなく転がって行くのだった
-Fin-
超短編!槌子の一日を御送りしました。人を食わせたかった丈だよね?正に其の通り!
何気に余ないんですよね、人が食われたの。結構筆者然う言うの好きですけど。つい食う前に殺しちゃいます。飽く迄も人が死ぬのは自業自得ですから、喰われるのは其を彼等に利用された丈ですから。人は彼等に振り回され、とばっちりを食らって奔走する位が丁度良いです。次回も其の調子で行きたいですね。
さてさて御次の子は驚霆を司る者、冷酷な旻の支配者です。ムフフ・・・。
では良い物語を。