十一度目の正直"多岐発見"
いつも短いですが、今回はもっと短いです。
すいません。
教室に戻っても多岐くんはいなかった。
結局、最後の授業が終わるまで帰って来なかった。
私と如月くんがずっと暗い顔をしていたせいか時々どうしたのか聞いてきた。
でも答えなかった。
私たちも何故だか知らないから…
放課後私は如月くんに部活に誘われたが断って校内を歩き回っていた。
教室を覚えるためでもあるのだが、姿が見えない多岐も気になったのだ。
私は屋上への扉に鍵がかかっていないことに気がつくと自然とその扉を開けていた。
屋上は街全体が見渡せるほどの高さでかなり広かった。
フェイスに指をかけ街を眺めていると近くで物音が聞こえた。
その場から扉があった上を見ると人の足が見えた。
私は上に登るためにハシゴを上がって行った。
顔を覗かせるとそこには壁に寄りかかって寝ている多岐くんがいた。
私はそこに登りきり多岐くんに近づいた。
「あっ…」
多岐くんの頬には涙が乾いた後があった。
私は多岐くんの頬にそっと手を添えた。
すると多岐くんの目がカッと開いた。
びっくりした私は後ろに倒れそうになった。
すると多岐くんが腰を支えてくれた。
「ありがとう…」
多岐くんは私はお礼を無視して私を離した。
「何しに来た」
「えっ…いや…」
私は学校探検をしていたことを告げた。
すると多岐くんは私を押し倒した。
「えっ…?多岐…くん?」
私が見た多岐くんは少し悲しそうな顔をしていた。
「ちょっと…期待…したんだぜ…」
「えっ…」
多岐くんは弱々しく笑ってから私から離れて壁に寄りかかるようにして座った。
私も起き上がって多岐くんの横に座った。
「すまなかったな。突然あんなことやって」
「ううん、大丈夫。ちょっとびっくりしちゃったけど」
私は苦笑いしながら言った。
多岐くんは前を向いたまま静かに言った。
「過去の俺の話を…聞いてくれるか?」
私は静かに頷いた。