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お化け少女と契約《エンゲージ》  作者: 探偵コアラ
お化け少女と契約《エンゲージ》
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第8話 潜入!!ミッションを成功させよ!!

「今から……人を怖がらせるんです」



 弥生の放ったその一言に、一瞬俺の頭が固まる。

 初めて会った時彼女は言っていた。怖がらせることが目的だと。だから、いつかは実行するだろうとは思っていた。しかし、まさかこのタイミングで来るとは思っていなかった。

 聞き間違いではないだろうか。そう思いながら恐る恐る確認する



「怖がらせる……?」


「はい。初めて会った時、お話しましたよね。それを今から実行するんです」



 弥生が頷く。やはり聞き間違いではなかった。

 弥生はこれから人を怖がらせようとしていて、それを手伝ってくれと俺に頼んでいる。

 もちろん拒否するつもりはいない。最初にそう約束したのだから。だが、いざその時になったと思うと、妙な緊張感が襲いかかった



「今から、なのか?」


「はい。ハル、一緒に来てください。その場所に案内します」


「あ、あぁ」



 いつもと違う雰囲気の弥生に俺は頷いた。そして俺たちは店を後にした




☆     ☆     ☆     ☆     ☆




 店を出て数十分、俺たちはとある建物の前に立っていた。巨大なそれは俺がよく見たことのあるものであり、その場所にいくまで弥生にも迷いはない。



「ここは……学校?」


「はい、ハルの通う学校です」



 弥生は頷いて言った。あいにく校門は閉まっており、中は基本的に真っ暗だ。とてもじゃないが人がいる雰囲気とはいえない



「だけど、こんな時間の学校に人なんて……あっ」



 その瞬間、ふと思いついた。この時間帯、学校に人は誰もいないのか。よく考えてみれば違う。少ないものの、人はいるはずだ



「そうか。学校の警備員……」


「そうです。ハルの学校には安全のため、夜でも警備員さんが歩いているはずです」


「でも弥生、そんな話し一体どこで……」


「さっき陽花とお話しをして聞きました」



 どうやら買い物の時に陽花さんと話していたらしい。

 しかし見ての通り校門は閉鎖されている。つまり普段と同じ方法では校内に入ることは出来ない



「だけど、どうやって入るんだ?校門ならしっかり閉まってるぞ?」


「フッ、フッ、フッ。甘いですね、ハル。こういう時にどうやって入るか……そんな事決まってるじゃないですか」


「……えっ?」



 俺は弥生が指を差した方向を見て驚く。

 そこにあったのは塀だ。ただの何の変哲もない塀だが、その高さは俺より少し高い。とてもじゃないが弥生は届くはずもない高さだ



「この塀を越えて行くんです。ほら、よく学園青春物語であるじゃないですか。青春を満喫している2人が塀を越えて学校の中に入って行く……みたいなシーンが」


「まぁあるとは思うけど、実際にそれをやろうってヤツはあんまりいないと思うぞ?」


「むぅ、ハルには夢がないですねぇ。こういう状況にはもっとドキドキワクワクしないとダメなんですよ?」



 なぜか説教をされる俺。どうやら弥生は意外と夢を見るドリーマーらしい



「まぁ状況が潜入だけじゃないからな。ドキドキはしてもワクワクはあまりしてこないかな」


「……まぁそれに関してはいいとして、早速行きましょう。ハル、ちょっと力を貸してくれませんか?」


「ハァ、ったく。持ち上げればいいのか?」


「はい、お願いします」



 両手を横に伸ばした弥生を俺は持ちあげ、塀の上に登らせる。そのあと俺もジャンプして塀に捕まって登った。

 視線を向けてみると誰かしらいるらしく、学校の1階には小さいが明りが付いている



「明り……付いてるな」


「むぅ、やっぱり警備員さんがいるってことなんですねぇ……」


「そうだな……って弥生?なんでそんなに不機嫌そうなんだよ。怖がらせることが目的なんだから人がいないとダメじゃないのか?」


「えっ?あ……あぁ、そうですね。その通りなんですけど……。と、とにかく行きましょう。善は急げってヤツですよ!!」


「これって……善なのか?」



 俺は少し疑問に思いながら、ちょこちょこ走って行く弥生を追いかけた



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



「そろーり、コソコソ。そろーり、コソコソ。そろーり……」


「なぁ、弥生」


「わっ!!ちょ、ちょっと驚かさないで下さいよハル!!」


「あ、あぁ、ごめんごめん。……って、今お前、そんなに怖がってる様子でもなかっただろ?」


「こ、怖いに決まってるじゃないですか。こんなに暗い場所なんですよ?オバケでも出たらどうするんですか!!」



 少し涙目になっているらしい弥生。「弥生はオバケでは無かったのか」とツッコミたかったが、俺はそれを止めた。

 耳を澄ますとコツコツという音が聞こえてくる。誰かの足音が近づいているのだ



「こ、この音……間違いなく警備員さんですよね?」


「たぶんな。だけど今は好都合だ。いきなり出て行って怖がらせれば目的は達成だ。ほら、早速……って、弥生?」



 見てみると弥生は後ずさりして顔を伏せている



「どうしたんだ、弥生?」


「……ハル」


「ん?」


「に、逃げましょう」


「……えっ?」


「この場から逃げましょう!!」


「お、おい、弥生!?」



 急に俺の手を握り、弥生が走り始めた。もちろん警備員のいる方向ではない。俺は弥生の力に抵抗せず、彼女のあとに付いて行く



「逃げるってなんでだよ。怖がらせるんじゃなかったのか!?」


「それでも今は待って下さい!!今はとにかく逃げて下さい!!」


「今は逃げろって……?」



 俺は走りながら考えるが、弥生の考えが全く分からない。弥生はあの店で確かに怖がらせると言った。それが彼女の目的ということは知っていたし、だからこそこの学校に入ったのだ。しかし現状逃げている。その理由はどんなに考えても分からない。

 けど―――



「……分かった。今はとりあえず逃げよう。教室の鍵が開いているはずだ。まずはそこに逃げ込むぞ」


「はい……」



 俺の言葉に弥生は頷いた。その時、月明かりに照らされ、弥生の顔が一瞬だが見える。その表情は



「……ッ!?」



 なぜかとても悲しそうだった



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