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お化け少女と契約《エンゲージ》  作者: 探偵コアラ
お化け少女と契約《エンゲージ》
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第7話 ハルの試練(2)

 この戦場に足を踏み入れて数分後、俺とリクは早くもそこから脱出していた。

 今いるのは近くのベンチ。そこに腰を下ろして、一息ついている



「まったく……ホント、あそこは色々焦るな」



 俺は買った缶コーヒーを飲みながら小さく呟いた。

 さっきあの場で起きた事、それを思い出していつの間にか溜息をついている。

 そう、あの場でつい数分前「色々な事」があったのだ




☆     ☆     ☆     ☆     ☆




「これなんてどうかな、弥生ちゃん?」



 陽花さんが近くにあった下着を手に弥生に見せた。一方の弥生は「うーん」と見て判断している。

 そんな彼女たちを見ている俺とリク。他に目線をやるところがなく、彼女達を見るしかないのだが、彼女達は俺達を気にしていないのか、極々普通に話を進めている



「おっ、私としてこんなのも好きだなぁ」


「えーっと……っ!?よ、陽花……やっぱり大人さんなのですね……」


「ふふ、そう?」



 陽花さんの好みと思われる下着を見て弥生が妙に感心している。それを見て微笑む陽花さん。

 そんな彼女は戸惑っている俺達に気づき、声を掛けてきた



「この雰囲気に固まってるね、2人とも」


「そ、そりゃそうですよ。目の前で女の子達が下着買ってるのをどうやって見ろって言うんですか」


「大丈夫、ここは他の人に見えにくい場所だからジロジロ見ちゃっても問題ないよ」


「問題大アリです!!っていうか陽花さん、なんかちょこちょこ自分の下着も見てません?」


「おぉ、よく観察してるんだね。目を向けないふりしてしっかり見てる……。もう、エッチだなぁ」


「いや、さっき明らかに言ってましたからね!?しかも俺達の前で好みの物とか言ってましたからね!?」



 必死な反抗を見て、先輩は「ふふ」っと笑っている



「もう、春人くんったら動揺しすぎ」


「だ、だってそうじゃないですか。そんなの男なら誰だって動揺しますよ」


「そっかぁ。ちょっと春人くんには刺激が強すぎたかな?なんだったら向こうのベンチに座ってる?」


「……そうします」




☆     ☆     ☆     ☆     ☆




 そうして俺とリクはあの戦場から脱出してきたわけだ



「なぁリク。陽花さんって家でもあんな感じなのか?」


「うん。あんまり変わらないと思うよ。いっつも優しく笑ってくれるの」


「そっか。リクは陽花さんのこと大好きなんだな」


「うん!!すっごく大好きだよ」



 俺の買ってあげたリンゴジュースを飲みながらリクは微笑んだ



「陽花といるとすごく楽しいんだ。この前のお休みにも公園に連れて行ってくれてね、一緒に遊んだの」


「一緒に遊ぶか……。けどそれじゃあ、陽花さんが1人で遊んでいるように見えるんじゃないか?」


「うん、そう思ってねぼくも陽花に言ったんだ。そしたら「夜に行けば人はいないから平気だよ」って言ってくれたの」


「なるほど、夜か。それなら確かに人も少ないもんな」


「けどね、それでもやっぱり何人か人はいて……。ぼくはいいよって言ったんだけど陽花は「リクと遊ぶ時間が大切だから」って言ってくれたの」


「そっか……陽花さん、そんな優しいこと言う人なんだな」



 俺は自然と陽花さんに視線を向ける。

 彼女はさっきと変わらず、弥生と一緒に買い物をしている。今の話やその姿を見る限りどうやら面倒見はかなり良いらしい。本当に「お姉さん」といった感じなのだろう



「陽花ってね、最初からすごく優しかったんだ。初めて会った時にも「おいしいご飯作ってあげるね」って言ってくれたの」


「いきなり登場でその反応って……すごいな」


「最初はちょっとビックリしてたけど……だけどそのあとおいしいご飯を作ってくれて、それを食べながらぼくの事情を説明したの」


「あぁ、事情……か」



 弥生と初めて出会った時の事を思い出した。つい昨日のことにも関わらず、なんだか懐かしく思えてくる



「……なぁリク」


「ん?どうしたの?」


「いや、その……事情に関してなんだけどさ……」



 俺がそこまで言った時、俺の首筋に冷たい何かが直撃した。その冷たさに驚いた俺は「うわっ!?」と驚き振り向いた。

 するとそこには、缶ジュースを持った陽花さんと弥生がいた



「弥生。それに陽花さん……?」


「ふふ、ハルくん驚かし作戦成功だね、弥生ちゃん」


「はい!!陽花のナイス作戦、大成功です」


「び、ビックリしたなぁ……」



 俺の驚く様を見て、二人がハイタッチをしている。後ろに座っていたリクもその様子に笑っていた。そんな雰囲気に俺も思わず微笑んでしまう。幸い周囲に人はいない。これなら不審者には見られないだろう



「それで弥生、いいのは見つかったのか?」


「はい。と言っても最終的に陽花が選んでくれたのですが……」


「任せてハルくん。とってもセクシィなのを選らんでおいたから」



 俺に向かってウインクをしてくる陽花さん。

 そんな彼女を横から弥生が「ちょっと陽花ー!!」とポカポカ叩いている。しかし俺にウインクをされてもどうしようもない。そう判断した俺は話をすぐに切り替えた



「っというか陽花さん。いつの間に俺の呼び方変わったんですか?」


「あ、ごめんね。弥生ちゃんが「ハル」って呼んでるからハルくんでも良いかなぁって思ったの。お気に召さなかった?」


「いや、そういうわけじゃないですよ。ただ変わってたんで、なんでなのかなと思ったんです」


「なるほど。要するに「ハルくん」って呼ばれて照れてるわけだね」


「そ、そんなんじゃないですよ」



 イタズラな笑みを浮かべた陽花さんに俺は顔を背けた。もしかしたら、少し赤くなっているかもしれない。そんな顔をこの人に見せるわけにはいかない



「そ、それより用事が終わったってことで……ありがとうございました、陽花さん」


「ううん、私も弥生ちゃんとお話出来て楽しかったから。こちらこそ楽しい時間をありがと。……ほらリク、おいで」



 陽花さんの近くにリクが寄り添うと彼女は出口の方を向いた。

 少し長めのスカートがフワッと宙を舞う。彼女はそれを少し抑えて微笑んだ



「それじゃあ。ハルくん、弥生ちゃん。また学校でね」


「はい、ありがとうございました」



 それから陽花さん達は俺と弥生に見送られ角を曲がって行った。

 そして残ったのは俺達二人。そうなると、俺達のすることは自然と決まってくる



「それじゃあ俺達も帰るか。な、弥生?」


「あ、あの……そのことなんですけどね、ハル」


「ん?どうかしたのか?」


「帰る前にあと少しだけ……付き合ってくれませんか?」


「付き合うって……何に?」



 俺の何気ない質問に、弥生の表情が真剣になる。一気に周囲の雰囲気が変わる。

 そして彼女は……それを口にした



「今から……人を怖がらせるんです」



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