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松本{ハァ…こんな夜中に犬とカツ丼食うなんて、ホントわけ分かんねえよ…}
そう心で呟きながらカツ丼チェーン店の自動ドアが開く、
……!!?
ガタン、
ゴトン、
女「あらまぁ、吠えなくって大人しくってお利口さんなワンちゃんだこと!
お名前なんてぇの?」
松本「…!?…」
女「それにしても坊や、ずいぶんと見慣れない恰好をしているね、
どっから来たんだい?」
ガタン、
ゴトン、
ブラックムーン
「松本、こうゆう時は会話を楽しむんだ」
小声なブラックムーン。
子供たち「知ってる!お兄ちゃんのその恰好
昔話の絵本で見たことあるよ!
確か~…え~っと…に~…、 ほ~…」
女「こらこら、みんな絵本の読みすぎね!
そんなおとぎ話の国が本当に在るわけないでしょ」
「アハハハッ」
乗客達の笑い声。
ガタン、
ゴトン、
松本「何がどうなってんだ一体!?
おい、ブラックムーン!ちゃんと説明しろよ!」
ブラックムーン
「戯言を抜かすな、小僧、ここは様々な人が行き交う異邦列車、
そして私達はその乗客、
時期に分かる…
それまで外の景色でも見て少しは気を落ち着かせろ」
松本「チッ、この豆柴が!…」
言われるままに窓の景色に目をやると、そこにはまるで遠い異国の様な、おとぎ話の様な光景だった。
一面に広がる、黄金がかった身をたくさん実らせたライ麦畑。
そのずっと向こうには綺麗な青い海。
海岸線の崖には風車小屋と、離れにある立派な灯台。
ガタン、
ゴトン、
その雄大さに目を奪われていたとき、
向こうの車両から歩いて来る男