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----男は叫ぶ。
深く、暗く、
木々が騒めく闇の森。
得体の知れぬ轟音に声こそ、かき消されたものの…
視点は一点に注がれていた。
「大丈夫か!?メイデン!!」
メイデンは僕の幼馴染であり、恋人であり、将来を約束した人でもあった。
気が、動転していた。
メイデンに触れる事も出来ず立ち尽くしていた。
「メイデン!?どうしたの!?」
そこにアンジェリーが駆け寄って来る。
アンジェリーは、メイデンの友達。僕とも仲が良い。
「これはどういう事なの、松本!なんでメイデンがうつ伏せになって倒れてるの!?」
…なんでかって言われても解りはしない。
なんだかつい、さっきまで全く別の場所に居た様な…
しかし、この状況でうつ伏せかどうかは別に触れなくてもいいな。と思った。
必死にメイデンを看護するアンジェリー。
ここは一体何処なんだ?
なんで僕はこんな場所にいるんだ?
時間だけが過ぎていく。
その時、少し離れた場所から声が聞こえた。