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第5話 ルイはホームを手に入れた

「ねえ、シュリ。なんで役所に来てるの?」


 めでたくシュリが私たちの仲間入りをした次の日、私たちはシュリに連れられてハローワークのある役所に来ていた。


「なんでって、ホームがいるから。……郁哉さんいる?」

「はい。郁哉です。……シュリ様ではないですか。お久しぶりです。今日はどういったご用件でしょう」

「ホーム見に来た。3人用で格安の。なんかいいのある?」

「少々お待ちください……。そうですね、こちらの物件なんかどうでしょう」

「もうちょい利便性あったほうがいいな。こっちは?」

「そちらですか……。少々高くつきますが」

「構わん。これでこの値段なら安いくらい。はい、これでちょうどだな」

「はい、確かに。ではこちらが鍵になります」


 ……あれ、私がリーダーだよね。なんか勝手にサクサク話がまとまってるけど、私がリーダーなんだよね?


「お前に任せてたら一生決まんないし」

「はう!? 私の心読んだ!?」

「お前は分かりやすいんだよ……」


 私とシュリのやり取りをアユは呆れた、郁哉さんは微笑ましげな目で見ている。


「随分と親しくなられたのですね。あのシュリ様が……」

「それ以上は言うな。……世話になった。また来る」

「はい。お待ちしております」


 シュリと郁哉さんの会話……。昔シュリに何かあったのかな。

 私たち3人は役所を出て、シュリの先導のもと歩き始めた。


「ねえ、シュリさん。ホームって何ですか? 役所で買うみたいでしたけど」

「ストップ。シュリさんじゃなくて、シュリ。敬語も止めて。もう仲間なんだから」

「それもそうですね。分かった。じゃあ、シュリ。ホームって何?」

「ホームっていうのはだな、……」


 あれぇ。なんか、私が知らぬ間にアユとシュリは順調に仲を深めている? ねーねー。私はー?


「というような感じだ。だいたい分かったか?」

「うん。確かにそれは必要だね。ところでその代金は?」

「一応あたしが出しとく。というか今度からはこのパーティでお財布共有になるからね。そんなに関係ないし。お前ら無駄遣いすんなよ。特に……」


 あ、シュリがこっち見た! やった、構ってもらえる?


「お前には絶対財布持たせないからな」

「何でー!?」

「何で、ってそりゃあお前が一番無駄遣いしそうだからに決まってるだろうが」

「わ、私そんなに無駄遣いしないもん!!」

「じゃあ、市場行ってもお菓子買わないからな」

「ウッ……」

「(ガキ……)」


 何故かすごく冷たい目で私を見るアユとシュリ。わ、私だってお菓子ぐらい我慢できるんだから!!(涙目)


「分かった。月300円お小遣いあげるからそれでお菓子買いなさい」

「やったー☆」

「(それで喜ぶの!? 小学生並み!!)」


 そんなこんなで私たちがたらたらと歩いていると、20分ほど歩いたところでシュリは足をとめた。郁哉さんからもらった資料と見比べながらきょろきょろとあたりを見回している。


「っと、ここか。んじゃ入るぞ」

「ちょおっと待ったぁ!! 私がやるー!!」

「あー、はいはい。どーぞ」


 シュリがものすごーく面倒臭そうな目で私を見ると、鍵を手渡してきた。しかーし! そんなことでへこむルイ様ではない!


「なあ、こいつってホントにアユと同い年なのか」

「書類に嘘が無ければそのはずだけど……」

「絶対こいつ年齢詐称してるって。ホントはまだ小学校卒業してないんじゃないか」


 あのー、こそこそしてるつもりかもしれないけど、バッチリ聞こえてますから……。それに私は年齢詐称なんかしてません! 失礼な!!


 私がジトっとした視線を送っていると、2人はそそくさと部屋の中へと入っていった。もー、私だって常にへにゃへにゃしてるだけじゃないんだからね!


「んー、だいたい揃ってるからすぐに買わなきゃいけないものは特にないな。んじゃ部屋割り。そこアユで、そこがルイ。こっちはあたしが使うから。じゃ、各自荷物は自分で運ぶように」

「ねー。私だけ明らかに子供部屋の作りなのはどうして?」

「んなことないって。ほら、さっさと引っ越し!」


 それだけ言うと、シュリにさっさと追い出されてしまった。仕方がないので村長に頼んで荷物を送ってもらう。


「……お前、さりげなく金持ちだったんだな」

「んー? そんなことないよ。村長んちに居候だったんだもん」

「いや、明らかに家具が高価だから……。こういうのをネコに小判と言うんだろうな」

「ん? 『ネコに小判』?」

「分かんなくてよろしい。アユは家具どうすんの? あたしは前から使ってるの持ち込むけど」


 シュリがちょうど割り当てられた部屋から出てきたアユに声をかけた。アユは立ち止まってこちらを向くと、ちょっと考えてから口を開いた。


「私は備え付けでいいや。特に必要なモノも困ることもないし」

「んじゃ、みんな買い物とかは行かなくても平気なんだな。うし。じゃあ、依頼でも探しに行くか」

「「おー!」」


 ん? あれ? それって私のセリフじゃ……。

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